麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年01月27日(水)
榊林銘「あと十五秒で死ぬ」読了。死神から与えられた余命十五秒をどう使えば「私」は自分を撃った犯人を告発し、かつ反撃できるのか? 被害者と犯人の一風変わった攻防を描く第12回ミステリーズ!新人賞佳作受賞作「十五秒」他、「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」など全四編収録。
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posted at 19:05:52
作者のデビュー作「十五秒」に合わせたと思われる〈十五秒後に死ぬ〉というトリッキーな状況設定をコンセプトにした作品集。但し「十五秒」以外の収録作に関してはそれほど〈十五秒後に死ぬ〉という設定に必然性が感じられず、個人的には無理に合わせる必要はなかったような気がする。
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posted at 19:06:14
ベストはやはり「十五秒」であり、死神の介入によって成立することになった十五秒という限られた時間の中で展開される犯人と被害者の頭脳戦もさることながら、その頭脳戦を制した者に待ち受ける皮肉なオチが堪らない傑作と言っていいだろう。
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posted at 19:06:37
次点は「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」で「十五秒」がプロット本格の傑作なら本作は差し詰めロジック本格の傑作。首が取れても十五秒間は死なない一族を巡る異色の首切り(?)物の本作は、発想自体は恐らく国内作家Mの某作からきているのだろうがノリは完全に白井智之のそれである。
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posted at 19:06:52
不可能犯罪のハウダニットに関してはその設定から何となく読めるもののフーダニットの方は白井ばりのロジックを駆使することで一筋縄ではいかない異形のパズルを作り上げているのが素晴らしい。一部これはなくてもいいのではと思われる要素もあるが、いい意味で力ずくのオチがそれをフォローしている。
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posted at 19:07:10
その他の二編「このあと衝撃の結末が」は仕掛け自体は凝っているが肝心のドラマが面白くないのが難、「不眠症」は幻想的なことがやりたかったのだろうがいまいちピンとこなかったものの、前述した二編だけで充分お釣りがくる作品集である。
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posted at 19:07:26