麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年09月29日(水)
東川篤哉「居酒屋「一服亭」の四季」読了。密室から消失した血まみれの胴体、目撃証言と食い違う首なし死体の出現、片足を切断された男の死体、火事のあった離れで見付かった細切れの死体……鎌倉の路地裏にある居酒屋「一服亭」の女将・二代目安楽椅子(あんらくよりこ)が四つの猟奇殺人の謎を解く。
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とある理由で続編は無理と思われていた連作ミステリ「純喫茶「一服亭」の四季」のまさかの続編。純喫茶だったのを居酒屋に、探偵役を二代目にといった変更はあるものの、扱う事件は全て猟奇殺人というコンセプトはそのままに手を替え品を替え、なぜ切断したのかというホワイダニットで魅せてくれる。
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ベストを挙げるなら第二話「首を切られた男たち」でシチュエーションの奇妙さもさることながら発見された時の状況とある人物の目撃証言の食い違いを丁寧に検証することで見えてくる意外性と首切りの理由が素晴らしい。些か苦しい部分はあるもののあえてこの仕掛けに挑戦した作者の意気込みを買いたい。
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次点は第一話「綺麗な脚の女」で、この手のトリックではなかなか斬新かつ、きちんとそれを活かすシチュエーションを作り上げている点が○。尤も連作としての仕掛けという点では前作より劣ると言わざるを得ないが、それでも猟奇殺人に特化したネタの見せ方に関しては前作にも引けを取らない佳作である。
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宇佐美まこと「子供は怖い夢を見る」読了。幼い頃、新興宗教の犠牲になって死んだ航の妹を救ってくれたのはクラスメイトの蒼人とその家族だった。二十二年後、世界に未知の感染症が蔓延しつつある中、奇跡的に生き別れていた妹と再会した航はある理由からあの家族が感染症と関わっていることを知り――。
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新興宗教といじめの板挟みになっていた幼い頃の主人公を救ってくれた不思議な家族を巡るホラーミステリ。といってもホラーとしての怖さはそれほどでもなく、どちらかというと主人公の悲惨な過去が描かれる前半からイヤミス要素を感じる人の方が多いかもしれない。
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一応ミステリとしての本作の見所はコロナ禍から着想を得たと思われる未知の感染症と主人公が出会った不思議な家族がどう関わってくるのかという点なのだろうが、それとは別に実はミステリ的サプライズが幾つか仕掛けられている。
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但しそのサプライズが成功しているかと言われるとやや疑問で丁寧すぎる伏線が災いしサプライズはおろかオチまで透けて見えるのが難。しかしながらそれらに途中で気付いてしまったとしても作者の絶妙な語りと演出のおかげで感動的な物語は損なわれておらず最後まで安心して楽しめる良作と言えるだろう。
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posted at 23:03:24