麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
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» 2021年10月10日
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2021年10月10日(日)
芦辺拓「大鞠家殺人事件」読了。斬りつけられた血まみれの美女、夜ごと舞いおどる赤頭の小鬼、酒で溺死させられた死体――昭和18年。大阪の船場にある、婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁いだ陸軍軍人の娘・中久世美禰子は夫の出征後に大鞠家で起きた怪異と連続殺人の謎に挑むことになる。
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posted at 03:23:50
太平洋戦争の最中に化粧品問屋の一族を襲った連続殺人の顛末を描いた長編ミステリ。本作の最大の特徴は何と言っても戦時下でしか描けない探偵小説である点であり、例えばそれは個々の事件で使われた小道具や犯人の動機からも窺えるだろう。
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posted at 03:24:07
だが尤も顕著なのは事件に隠されたある意図であり、それが大空襲後の謎解きや前述の動機と結び付いて、戦争という残酷な現実を前に探偵小説が見せるひとときの夢に縋らなければいけなかった人々の姿を強烈に描き出している。
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posted at 03:25:04
加えてエピローグでのある人物の告白が何ともやるせなく、その叫びはどことなく近年の辻真先作品にも通じるものを感じさせてくれるだろう。本作は探偵小説に賭ける作者の想いが見事に結実した、作者の新たな代表作と言うべき傑作である。
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posted at 03:25:24
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