麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年07月26日(木)
島田一男「熱海魚見坂の殺人」読了。人で賑わう熱海サンビーチで全裸の女の死体が発見され、呼び出された監察医のおれを待っていたのは全身に三百を越える傷を持つ髑髏のような顔の死体だった。その後、何とか被害者の特定に成功するが、今度はその殺された筈の女が生きているという奇妙な事態に――。
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posted at 16:16:23
粗筋の不可解な謎に惹かれて手に取った本作だが、結論から言うと謎解き重視の作品ではなかった。メインだとばかり思っていた三百を越える傷の謎は序盤であっさりと判明し(しかもそれが物語に殆ど活かされていない)、殺された筈の女が生きていた謎にしても一番つまらない解答でガッカリさせられる。
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posted at 16:16:53
2012年07月27日(金)
飛鳥井士朗「カルロッツァの翼」再読了。竜幻は見た。墜落直前の気球に助けを求める突々の姿があったのを。だが、墜落した気球から出てきたのは突々と思われる首なし死体だけ。そして二日後、十数キロ離れた湖畔の別荘の窓を突き破って、突々の生首が現れた。それはまるでカルロッツァの奇蹟のように。
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posted at 00:14:10
法月綸太郎、我孫子武丸と同期である作者が残した唯一にして、最大のインパクトを秘めた怪作。作者は本作について「大技に挑戦した」と語るが、その大技の衝撃度は「翼ある闇」の某トリックに匹敵すると言っても過言ではない。
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posted at 00:14:34
その一方で本作は「ささいな伏線が解決にいたって次々と説明されていく」緻密さも併せ持つ。勿論、デビュー作ゆえに文章や展開に硬さが見られるものの、このトリックの贅沢な使い方は一読の価値あり。何よりこの懐かしい新本格の香りは、その手の作品が好きな読者には格好な贈り物になることだろう。
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posted at 00:15:15
村瀬継弥「水野先生と三百年密室」読了。四国にある私立万松学園女子高等学校に国語教諭として採用された水野光一は一年六組の担任になると共に探偵の才を買われて理事長から先日学園で起こった殺人事件の犯人探しを依頼される。学校や警察は一年六組の生徒の中に犯人がいると睨んでいるようだが……。
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posted at 17:37:50
一言でいえば、本格ミステリ版金八先生。殺人事件の犯人探しをやりつつ、一方で殺人クラスと陰口をたたかれ、不遇な扱いを受ける生徒たちを元気付けようと頑張るというのが主な話の流れなのだが、いかんせん生徒一人一人の人物描写が薄いため、一切思い入れが湧かないのが難。
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posted at 17:39:10
また中盤でタイトルの由来にもなっている「人喰いの蔵」の謎が出てくるが、メインの殺人事件と何ら関係がないのも微妙と言わざるを得ない。例えるなら二つの短編ネタをとりあえず合体させてみた印象で、個々の仕掛けとして見れば光るものがあるだけに全体の作り込みの甘さが惜しまれる。
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posted at 17:39:22
2012年07月30日(月)
遠藤武文「天命の扉」読了。長野県議会中に議員が何者かに射殺された。だが密室状況だった議場からは凶器の拳銃はおろか誰かが逃げた形跡すら見付からない。そして犯人が残した紙片には「善光寺を開帳せよ」という謎のメッセージ。城取刑事はかつて自分が担当した冤罪疑惑事件との関連性を疑うが……。
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posted at 16:14:36
一言でいえばダメミスではない「プリズン・トリック」。密室状況下で起こった不可解な殺人事件の謎、刑事や記者など複数視点で進行していく物語、そして浮かび上がる過去の事件を通して社会的テーマを描いていく構成は「プリズン・トリック」とかなり似通っているもののその出来は段違いと言っていい。
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posted at 16:14:48
整理された視点、落ち着いた筆致、よく練られた殺人方法……それらは「プリズン・トリック」の時にはなかったものであり作者の成長の程が著しいが、一方で「プリズン・トリック」と似た欠点も抱えている。もし作者が本作を社会派ミステリとして書いたなら正直この真相は失敗だったのではないだろうか。
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posted at 16:15:09
またツイッターを導入するにしても、この書き方では実際に使っている人以外には何のことか全く伝わらないと思う。とはいえ、本作が作者の最高作であるのは間違いない。
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posted at 16:15:26
麻生荘太郎「少年探偵とドルイットの密室」読了。ひょんなことから人気アイドル、カレン・スマイリーをスコットランドに住む彼女の父・スマイリー博士の許へ送っていくこととなった深町麟。だが、その行く先々で密室殺人事件が連続し、しまいには博士自身も何者かに惨殺されてしまう……。
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posted at 22:51:58
島田荘司推薦の「闇の中の猫」でデビューした作者の二作目。島田荘司によると「年間数百冊を超えるミステリーを読破する氏の本格への造詣は、専門家の水準を超える」とのことだが、その割りにトリックが全体的に古臭く現代ミステリを読んでいる感じが一切しないのは加賀美雅之に近いものがある。
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posted at 22:52:39
また事件の構成にしてもかなり難があり、本格ミステリ特有の端正さからは程遠いと言わざるを得ない。かといって物語が秀逸と言うわけでもなく、悪い意味で作者の都合よく展開し過ぎていて、常に登場人物の行動原理に?マークが付きまとう。
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posted at 22:53:01
一応どんでん返しは多い方だが、それも効果的とはとても言い難く、個人的には終始居心地が悪い気分を味わうこととなった。正直ここまで合わない作品も珍しいような気がする……。
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posted at 22:53:21