麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2015年09月12日(土)
「ピエロがお前を嘲笑う」観了。100%見破れないという煽りとは裏腹に仕掛けはかなり素直で、ミステリをそれなりに読んでいる人間であれば早い段階で真相が分かってしまうのが難。とはいえ映画の出来としては悪くないので過度な期待はせず、大らかな気持ちで観た方が楽しめる作品である。
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posted at 22:29:06
2015年09月13日(日)
鳥飼否宇「非在」読了。奄美大島の海岸に流れ着いた一枚のフロッピー。そこに記されていたのは、ある大学のサークルが人魚などが現れる伝説の島へ渡った調査記録だった。だが日記の最後には殺人事件を告げるSOSが――。フロッピーを拾った写真家の猫田は先輩の鳶山たちと共に幻の島探しに乗り出す。
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posted at 23:49:41
観察者シリーズの二作目。海岸に流れ着いたフロッピーを手掛かりに人魚のいる幻の島を探すという始まりも魅力的だが、本作のメインはやはり島に辿り着いてからの展開だろう。調査記録の中に張り巡らされた伏線から遺骨の主に迫っていく点もさることながら、極限状況ならではの仕掛けが秀逸。
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posted at 23:50:01
また人魚という要素が真相の絶妙な目眩ましになっている点も巧い。本作は探偵が島にやってきたことで終わっていたはずの事件が再び動き出す、変則クローズド・サークルとも言うべき内容が面白い佳作である。
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posted at 23:50:55
アガサ・クリスティー「ポアロとグリーンショアの阿房宮」読了。ミステリ作家の友人・オリヴァ夫人に呼び出された名探偵ポアロは彼女から祭りの余興である犯人探しゲームの最中に起きるであろう事件を防いでほしいと頼まれる。だがポアロが引き受けたのも束の間、被害者役の娘が殺されてしまい――。
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posted at 23:51:06
「死者のあやまち」の原型となった作品。地味な事件とは裏腹に真相の破壊力はなかなかのもので、何気ない場面や人間関係の中に隠されたパズルのピースを組み合わせることで浮かび上がる犯罪の構図が素晴らしい。短いながらも切れ味が半端ない秀作である。
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2015年09月14日(月)
岡嶋二人「七日間の身代金」読了。歌手の卵の千秋とピアニストの要之助はある日、富豪の後添いとなった友人・須磨子から弟と先妻の息子が誘拐されたと相談を受ける。身代金の受け渡し場所はどこにも逃げ場のない湘南の小島。だが衆人監視の中、須磨子が射殺され、犯人は身代金と共に姿を消してしまう。
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posted at 23:49:45
誘拐から始まったはずが、いつの間にか密室物の不可能犯罪にすり変わっている一筋縄ではいかない作品。とはいえ、ただ奇を衒ったわけではなく、ちゃんと誘拐と密室が有機的に結び付いているのは実に好ましい。
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犯人の正体こそ意外性はないが、展開が進むにつれハウダニットとしての謎がクローズアップされて探偵コンビの前に立ちはだかるのは○。テクニカルな犯罪計画に対する異常な動機のギャップが妙に心に残る佳作である。
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posted at 23:51:19
2015年09月15日(火)
戸松淳矩「名探偵は最終局に謎を解く」読了。警察を呼んでいる間に消えた、デパートの幽霊屋敷の首吊り死体。大安の日ごとに現れてはつまらない物を盗む代わりに稲穂を残していく奇妙な泥棒。最初の死体を発見したのが縁で事件に巻き込まれたオレたちは天才棋士と共に事件の解明に乗り出すが……。
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posted at 21:33:36
東京の下町を舞台に高校生トリオが活躍するシリーズの三作目。作者がサービス精神旺盛だからなのかもしれないが、本格ミステリとしてみると別になくてもいい事件があることが凄く気になってしまう。また犯人の目的に対し、もっと違う方法はなかったのかと思ってしまうのが難。
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posted at 21:33:48
狙い自体は悪くないだけに、肝心の事件の全体像にあまり説得力が感じられないのが残念だった。あともし四作目が出るなら、そろそろ事件の見せ方や真相に捻りがほしいところ。
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2015年09月16日(水)
岡田秀文「海妖丸事件」読了。豪華客船「海妖丸」に乗って上海に向かうことになった月輪たち。だが出向当日、殺人を仄めかす予告状が届き、その夜、船内で仮面舞踏会の直後に殺人事件が起こる。更に事件は止まるところを知らず、宝石泥棒に恐喝、そして第二の殺人が――。
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posted at 23:04:01
名探偵・月輪シリーズの三作目。首切り+館物だった前作に比べると、事件自体は些か地味ながら唖然とする構図は今回も健在で、舞台設定の盲点を突いたこの真相を完璧に見破るのは恐らく至難の業だろう。
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posted at 23:04:39
だがその反面、意外性を追求するあまり所々でかなり無理をしており、特に第二の殺人のトリックに関してはさすがに許容できない。また本筋には関係ない事件があるのも人によっては気にするかもしれない。個人的には発想は面白いのに細部で粗が目立ってしまった、惜しい作品である。
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posted at 23:05:14
2015年09月17日(木)
天樹征丸/さとうふみや「金田一少年の事件簿R」7巻読了。「吸血桜殺人事件」完結。密室トリックだけ取り出すと微妙だが、どちらかといえば構図の方に見所があり、それが真相のミスディレクションとして機能しているのは○。
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posted at 09:52:51
その一方でフーダニット物としてみると気付きの部分に面白いものがあり、またシリーズ読者にとってはこれまでの犯人の中では珍しいタイプなのが興味深い作品である。
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posted at 09:55:00
2015年09月19日(土)
大山誠一郎「赤い博物館」読了。犯罪資料館の美人館長と元捜査一課の若手刑事のコンビが遺留品から迷宮入り事件の謎を解く連作ミステリ。元恋人の復讐を果たした男の日記に隠された真相「復讐日記」、死に際に男が口にした交換殺人の告白「死が共犯者を別つまで」など全五編収録。
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posted at 03:54:31
なんともアンバランスな短編集。収録作を見ると気付きのポイントや発想はいいのに動機や事件の導入部で首を傾げたくなるものが幾つかあり非常に勿体ない。ただ中には巧くいっているものもあり、特に「復讐日記」は動機と仕掛けと構成が三位一体となった傑作と言っていいだろう。
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posted at 03:55:02
次点は不可解な放火殺人を扱った「炎」で、「犯人が誰か?」よりもその狙いにゾクリとさせられる。正直この二編を除くと手放しでは褒められないものの、ずば抜けた発想の面白さだけは全編感じることのできる短編集である。
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posted at 03:55:44
倉知淳「片桐大三郎とXYZの悲劇」読了。満員電車での毒殺、ウクレレを凶器に使った不可解な撲殺、犯人からの電話が途切れ途切れの誘拐、消失した幻のシナリオ……聴覚を失ったことをきっかけに引退した時代劇の大スター・片桐大三郎がクイーンの悲劇四部作を元にした四つの事件に挑む連作ミステリ。
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posted at 21:07:55
遂に冷蔵庫の中身が空になったのか(?)久々に本気の倉知が堪能できる中編集。全編ロジックの切れ味が半端なく、例えば一編目「ぎゅうぎゅう詰めの殺意」はある矛盾からの論理の綱渡りが実にスリリングで、その過程はさながら「壺中の天国」を彷彿とさせる。
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posted at 21:08:22
続く二編目「極めて陽気で呑気な凶器」は一つの謎をとことん追求することで芋蔓式に解けていく点が秀逸。また三編目「途切れ途切れの誘拐」はある気付きからガラリと反転する構図も素晴らしいが、何よりも予想外のところからくる○○の正体のどす黒さが堪らない。
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posted at 21:09:09
2015年09月20日(日)
岡嶋二人「なんでも屋大蔵でございます」読了。自ら依頼人に渡した報告書を盗もうとする探偵、浚われた飼い猫、記憶喪失の男、尾行していた男の殺害と消失、奇妙な依頼と幽霊話……鋭い勘と名推理で難事件を次々と解決する、なんでも屋・釘丸大蔵の事件簿。
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posted at 15:27:08
飄々とした大蔵のキャラとホンワカとした読後感が特徴の連作ミステリ。それでいてミステリとしての作り込みもなかなかのもので、全編魅力的な謎と凝ったプロットで魅せてくれるのが素晴らしい。
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posted at 15:27:59
収録作はいずれも甲乙つけがたいが、ベストを挙げるなら、さりげない伏線から徐々に浮かび上がってくる犯罪の構図が秀逸な「パンク・ロックで阿波踊り」で、大蔵のお茶目っぷりが最もよく顕れているのもいい。次点は「浮気の合い間に殺人を」で○○○○物の変奏曲的見せ方が○。
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posted at 15:28:26
2015年09月21日(月)
深水黎一郎「名探偵名取、最初で最後の事件」読了。空母赤城が何者かに殺されているのが発見された。提督から探偵役を命じられた軽巡名取は動機の線から犯人に迫るが……。表題作の他、コラム二本を収録。
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posted at 10:52:41
ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」の二次創作。フーダニットで動機から犯人に迫る展開はたいてい微妙な結果に終わるものだが、本作に関してはそれにちゃんと必然性があり、二次創作ならではのミステリに仕上げているのは○。あと真相に引っ掛けてちゃっかり自作の宣伝をする抜け目のなさに笑ったw
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posted at 10:54:43
2015年09月22日(火)
夏樹静子「風極の岬」読了。白骨死体と被害者が遺した謎めいた言葉、サロマ湖で発見された溺死体が阿寒湖の水を飲んでいた理由、事故死した教師と凍死体の関係、過去に凶悪犯罪を犯した若者が集団暴行されて殺された事件……北海道釧路地検に転勤になった検事・霞夕子が四つの事件を解き明かす短編集。
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posted at 15:41:37
検事・霞夕子が探偵役を務めるシリーズの三作目。前二作までの倒叙形式をやめてしまったのに加え、何かしらの決め手で犯人を追い詰めることもなくなってしまったため、どうにも同じシリーズの作品を読んでいる感じが一切しないのが難。
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posted at 15:41:52