麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2015年10月30日(金)
あとがきで作者は「同じキャラクター・時代・モチーフを使っても、本家と同じものは創れないだろう」という想いからこういう形になったと語っているが、本作を読む限りその判断は正しかったと思う。本作はライトノベルというフォーマットに本家の設定を巧く落とし込んだ良作である。
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posted at 15:36:50
因みに作者は好きな京極作品として「陰摩羅鬼の瑕」を挙げているがそれを踏まえてみると本作は作者ならではの「陰摩羅鬼の瑕」に仕上がっている。扱っている題材が割りとポピュラーということもあり真相がやや分かりやすいのが気になるが、それももしかしたら「陰摩羅鬼」を狙っているのかもしれない。
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posted at 15:36:26
百鬼夜行シリーズでお馴染みのキャラの孫(!)たちが活躍する、京極夏彦公認のシェアード・ワールドシリーズ「薔薇十字叢書」の一冊。本作は粗筋だけ見ると一見キワモノのように思えるが、実際読んでみると意外にも本家を彷彿させるような事件や蘊蓄、憑き物落としをやっているのが非常に好ましい。
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三門鉄狼「ヴァルプルギスの火祭」読了。売れない新人ライトノベル作家の高校生・関口辰哉は幼馴染みの中禅寺秋穂や榎木津玲菓らと共に孤島の館に招待される。魔女をモチーフにしたその館で悪魔と思しき人影が目撃される中、遂には中庭で柱に縛り付けられ、炎に包まれた何者かの死体が発見されて……。
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posted at 15:35:30
2015年10月29日(木)
それでいて解決編は実にスマートで、さりげなく犯人に突き付けられた動かぬ証拠が同時に真相そのものを明示している点が素晴らしい。本作はユーモアの中に隠された技巧に唸らされる佳作である。
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再現ドラマの制作スタッフで共に回文名を持つ織田貞夫と土佐美郷のコンビが「三度目ならばABC」に引き続き、活躍する長編ミステリ。本作の特徴は何といっても物語が進めば進むほど増殖していく謎の数々であり、作者の本作に対する「謎のカンヅメ」という喩えは正に言い得て妙だろう。
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岡嶋二人「とってもカルディア」読了。信州の田舎から久し振りに出てきた貞夫の友人が不審な行動をした後、美郷の持ち物である全自動カメラ・カルディアと共に姿を消してしまった。一方、美術コレクターの屋敷では死体が消失する不可解な事件が発生。果たして二つの出来事に繋がりはあるのか?
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2015年10月28日(水)
現代日本とお伽話が同居したような奇妙な世界が舞台の作品。内容紹介には超変ミステリとあるが真相はびっくりするほど普通でそれに却って戸惑ってしまう。加えてこの世界におけるルールが明確化されていないせいで謎が解かれてもイマイチ釈然としないのが難。素材は面白そうなだけに残念でならない。
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安萬純一「王国は誰のもの」読了。高校の友人たちに溶け込めない莉世は、ある日偶然知り合った不思議な少年・丈と共に中世欧州風の王国へと向かうことになるが、そこで彼女を待っていたのは不可解な国王殺害事件だった。しかも容疑者は吸血鬼に狼男、ミイラ男にゾンビと怪物だらけで……。
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2015年10月27日(火)
紋次郎がある証拠から導き出す推理は一見突拍子もないように思えるが、それまで語られた状況を踏まえてみるとギリギリのバランスで成立しており、その綱渡り感が半端ない。その他の短編にしても一見無関係に思える話が意外な真相の伏線として機能しこのシリーズ特有の虚無感を際立たせているのが秀逸。
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渡世人・木枯し紋次郎シリーズの十作目。本作で最も目を惹くのは「桜が隠す嘘二つ」で、紋次郎が自分の無実を証明するために名探偵顔負けの推理を見せる展開もさることながら、その推理を披露するのが国定忠治を始めとした名だたる親分衆の前というシチュエーションが実に熱い。
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笹沢左保「虚空に賭けた賽一つ 木枯し紋次郎(十)」読了。面識のない手練れの八人兄弟に紋次郎が命を狙われる表題作を始め、己に着せられた殺人の濡れ衣を晴らすため紋次郎が名探偵ぶりを見せる「桜が隠す嘘二つ」、ある理由により紋次郎と国定忠治が敵対する「二度と拝めぬ三日月」など四編収録。
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posted at 23:40:12
2015年10月26日(月)
またミステリ以外の部分――押しかけ弟子の太一青年が平井家の人々と親しくなっていく過程が実に微笑ましく描かれており、そういった点からでも楽しめる作品である。
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富士見ミステリー文庫から出ていた「平井骸惚此中ニ有リ」シリーズの一作目を改稿し復刊したもの。今回久し振りに読んでみて思ったのは密室の謎よりもむしろ動機の方が印象的だったことであり、作中のいかにも探偵小説な雰囲気がそれに説得力を与えているのは○。
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posted at 21:04:39
田代裕彦「探偵作家は沈黙する 平井骸惚此中ニ有リ」読了。時は大正十二年。探偵小説家・平井骸惚の許に帝大生の河上太一が弟子入りしてしばらく経ったある日、骸惚の知人・池谷是人が自宅の庭で首吊り死体となって発見される。骸惚は「これは自殺じゃない」と断言するが、現場は密室状態で――。
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posted at 21:04:24
2015年10月24日(土)
「ヴィジット」観了。いい糞映画(誉め言葉)だった。ミステリとしての伏線の妙、ホラーとしてのスリリングな演出、センスあるユーモアの配分がとにかく絶妙で、恐怖と笑いを同時に楽しませてくれる。キャラ的にはババアのインパクトが相当なものだが、糞ジジイもホントに糞ジジイなのが実に良かった。
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2015年10月23日(金)
一部のトリックがやや浮き気味なのが気になるが、メインの仕掛けと犯人の動機に関しては幽霊画を巡る物語に巧く溶け込んでいて○。読後感も悪くなく、エンタメ性の高い良作と言っていいだろう。
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posted at 00:21:44
本格ミステリー・ワールド・スペシャルの一冊として書かれた作品。警察小説にホラー要素を盛り込んだ内容を相変わらずこの作者らしいリーダビリティの高さでぐいぐいと読ませてくれるものの、あまり本格という感じはしないな……と思っていたら最後の方でいきなり本格になったのでつい笑ってしまったw
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posted at 00:21:27
吉田恭教「可視える」読了。「幽霊画の作者を探してほしい」という画商の依頼を受けた探偵の槙野が島根の神社で見たその幽霊画は世にも悍ましいものだった。それから一年後、都内で若い女ばかりを狙った残虐な連続猟奇殺人事件が発生。事件を追う女刑事・有紀もまた幽霊画に辿り着くことに……。
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2015年10月21日(水)
動機、計画、展開……どれ一つとってもこの作者にしか書けない歪んだものであり、それらを「悪の教典」の下巻を思わせる疾走感で一気に読ませてくれる。ヒロインが被害者二千人という目標を達成できるかどうか、最後まで目が離せないスリルとサスペンスに満ちた傑作である。
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posted at 10:12:39
これまで数々のテロリスト物を手掛けてきた作者の集大成とも言うべき作品。愛する人間の死をきっかけに碓氷優佳ばり(!)のロジカルターミネーターと化した一人の女が銃火器の類いは一切使わず、身近なものを駆使してショッピングモールで殺戮の限りを尽くしていく。
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posted at 10:12:17
石持浅海「凪の司祭」読了。コーヒー専門店店員・篠崎百代は一人で汐留のショッピングモールへと向かった。できるだけ多くの人間を殺害するために。一方、百代の協力者・藤間護らは仲間の木下が何者かに殺されているのを発見する。藤間たちは計画の中止を告げるため、百代の後を追うが……。
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2015年10月20日(火)
本作はあらすじだけ見ればあまりこの作者らしくないように思えるが、読み終わってみると実は「know」に連なる物語であったことが分かる。言うなれば本作はミステリ的アプローチの「know」ということになるだろうか。
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posted at 17:02:16
野崎まど「バビロン1 ―女―」読了。製薬会社と大学が関与した臨床研究不正事件を追っていた東京地検特捜部検事・正崎善は麻酔科医・因幡信が記した一枚の書面を発見する。そこに残されていたのは毛や皮膚混じりの異様な血痕と紙を埋め尽くした無数の文字、そしてアルファベットの「F」だった。
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posted at 16:58:48
2015年10月16日(金)
この予想外のところからくる真相の衝撃と共に描き出される犯人の業が何とも言えない余韻を残す。1巻収録の「量子力学の年に」も傑作だったが、本作もそれに引けを取らない傑作である。
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posted at 09:54:35
一方「殺人のかたち」は密室殺人の謎もさることながら、それ以上に「何故夫は散々苦しめられた悪妻を殺した犯人探しに奔走するのか?」というホワイダニットが読者の興味を惹く一編。本作が凄いのは何といっても真相の九割を読者に予想させておいて、最後の一割でそれを見事に裏切るところだろう。
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posted at 09:49:43
「素っ裸の王様」は不可能状況下での盗難事件こそ脱力ネタだが、そこから始まるコンゲームが現代的ギミックを巧く活かしていて実に面白い。加えてこの作者らしい、夢の跡に新たな希望を滲ませるラストも○。
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posted at 09:49:26
加藤元浩「Q.E.D.iff」2巻読了。売れない若手芸人が書いた渾身の脚本が盗まれた。だが一番の容疑者は事件当時、全裸で隠す所はどこにもなかった「素っ裸の王様」、数学者の妻が密室で殺された。犯人の正体と犯人が拘った“かたち”に燈馬が迫る「殺人のかたち」の二編収録。
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posted at 09:48:54