麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2015年11月22日(日)
幾瀬勝彬「女子大生殺害事件」読了。推理作家の郁野が台湾旅行で知り合った中国人青年・兵俊明の推理が冴える表題作と「風流鬼殺害事件」の二編の他、雑木林で見付かった他殺体を巡る発見者の男と刑事の静かな対決を描いた「緑の毒」、読者への挑戦付きハウダニット物「三月が招いた死」など八編収録。
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posted at 17:50:34
「推理実験室」シリーズの作者による短編集第一弾。一冊の短編集の中で同じネタを三回も使い回しているなど気になるところもなくはないが、キワモノから正統派までバラエティ豊かな作品が揃っているのは○。
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posted at 17:50:56
ベストはアリバイ崩しと俳句の暗号を扱った「風流鬼殺害事件」でアリバイトリック自体に目新しさはないが、あるものを活かした暗号がよくできている。次点は「緑の毒」で、まかり間違ったら拍子抜けしかねない内容を巧く緊張感ある作品に仕上げているのがいい。
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posted at 17:51:15
2015年11月23日(月)
西村京太郎「ハイビスカス殺人事件」読了。アイヌの血を引く民族学者の若杉は不動産会社社長の大河内から、返還前の沖縄近くにある与論島へ行き愛娘を連れ戻してきてほしいと依頼される。だがその大河内は東京で何者かに殺され、浮かび上がった容疑者には与論島にいたという鉄壁のアリバイが……。
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posted at 02:24:47
この時代だからこそできたアリバイトリックが目を惹く意欲作。逆を言えばこれしかないというトリックのため意外性はないが、その代わりこのトリックを使った理由が動機のやるせなさを一層際立たせているのは○。
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posted at 02:25:32
2015年11月25日(水)
三津田信三「十二の贄 死相学探偵5」読了。莫大な資産を持つ大面グループの総帥・幸子が遺した遺書が全ての始まりだった。遺産相続人十三人の生死によって遺産の取り分が増減するというその不穏な内容が発表されるや否や、相続人のうちの一人が何者かに誘拐され、一人が謎の死を遂げる事態に――。
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posted at 23:40:56
死相学探偵シリーズの五作目は遺産相続を巡る連続殺人物。本作が巧いのは物語の大半をミスディレクションに費やしている点であり、終盤の謎解きである事実が明かされた途端、そのことに気付かされる構成が○。
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posted at 23:41:11
だがその反面、犯行方法がいまいちはっきりしなかったり、遺書の意図が最後まで不明のままだったりと気になる部分が幾つか見受けられるのが残念。前作よりもまともにミステリをやっている分、もう少しきっちり作り込んでほしかった。
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posted at 23:41:32
2015年11月26日(木)
るーずぼーい「白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか―」読了。雪に囲まれた北海道にある教団施設。そこで育った旭は親友である樹や陽咲と共に、教団の規則に反発しながらも辛い境遇を乗り越え日々を過ごしてきた。しかし、ある事件をきっかけに旭は完全犯罪を企てることになる。
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posted at 10:59:05
ゲームシナリオライターとして知られる作者のライトノベルデビュー作は、宗教施設を舞台にした倒叙ミステリ。親友を守るために犯罪計画を企てた少年・旭が探偵役によって追い詰められていく過程は意外性や目新しさはないものの、丁寧に描かれていて好印象。
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posted at 10:59:19
加えて最終的に追い詰められた旭の選択は青春小説特有の苦味を感じさせるものであり、その手の作品が好きな読者には堪らないものがあるだろう。惜しむらくはラストの衝撃を謳った煽り文句で、正直内容に全く則していないこういう宣伝は本気でやめてほしいと思う。
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posted at 10:59:42