麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2016年02月24日(水)
仁木悦子「死の花の咲く家」読了。資産家の父を持つ田垣宏子は休職中の新聞記者・吉村に父が殺されるかもしれないと助けを求めた。現在、家には喉頭ガンに冒された父親の財産目当てに親戚たちが集まっているというのだ。そして彼女が予感した通り、殺人事件が起こった――表題作含む七編収録。
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posted at 22:24:54
「殺人配線図」などで探偵役を務めた新聞記者の吉村が活躍する表題作などが収録された短編集。ミステリとしてみると当たりだったのは表題作と「毒を制する法」の二編で、前者は事件の引き金となった出来事に纏わるさりげない伏線が相変わらず巧い。
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posted at 22:25:21
またダイイング・メッセージの発想が三影潤物の某短編と似ているのも興味深い。一方後者は殺人事件のアリバイの証言と引き換えに法外な金を要求された女が相手に一矢報いるために事件を調べ始めるというサスペンスタッチの話も面白いが何よりその展開そのものが結末の絶妙な煙幕になっている点が秀逸。
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2016年02月25日(木)
大桑康博「呪術法律家ミカヤ」読了。十七歳で呪術法律家の資格を取ったミカヤの初仕事は史上最悪の暗殺者・アイスフェルドの弁護だった。アイスフェルドは絶対に精霊呪術を通さない『精霊殺しの箱』で行われた密室殺人事件の犯人として捕まったが、彼はミカヤに冤罪を主張する。果たして真相は?
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posted at 23:01:26
第2回集英社ライトノベル新人賞特別賞受賞作。事件自体は魅力的だがいかんせん肝心の真相に難がありすぎる。まず密室の謎が実は隠し扉がありました並のザルっぷりだし犯人の正体にしても隠す気がないのはまだいいとして、その犯人を特定する決め手となるものにアンフェアな点があるのがいただけない。
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posted at 23:01:41
また裁判の展開にしても焦点となるべきところを検証しないままなのはさすがに不自然と言わざるを得ない。作者はあとがきでファンタジー好きであることを語っているが、こういうタイプの作品を書くのであればもう少しミステリ方面についても理解してほしかった。
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2016年02月27日(土)
長沢樹「幻痛は鏡の中を交錯する希望」読了。ある才能を見込まれた僕は何も知らぬまま「普通の世界」から切り離され、予科院――諜報院養成機関に送り込まれる。そこで僕に課せられた課題は適切な状況下で《暗殺》されることだった。
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posted at 15:29:05
「武蔵野アンダーワールド・セブン」シリーズと世界観がリンクする、青春要素のあるスパイ物。基本的には僕が主人公ではあるものの、それ以外の視点で進む話も多く、しかも視点人物の素性や思惑は一切伏せられているため、ある意味広義のホワットダニット物として読みこともできる。
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posted at 15:29:22
ただいかんせん登場人物が多すぎて明らかにキャラが描き切れていないし、舞台を映像系の芸術学校にした設定もほとんど活かされていない。青春要素をやりたいならもっと登場人物を絞り、学校での日常パートを強化するなどしてきっちりキャラを描くべきだった。
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posted at 15:29:57
円居挽「シャーロック・ノートII 試験と古典と探偵殺し」読了。探偵養成学校・鷹司高校で起きたカンニング事件。剣峰成と太刀杜からんが調査に乗り出し解決したと思ったのも束の間、カンニングの新たな証拠が見付かり、審議は生徒会裁判“将覧仕合”へと委ねられることになった。
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posted at 15:37:56
シリーズ二作目。前作同様、三話構成となっているが、ほぼメインは三章の裁判と言っていいだろう。とはいえ他の章にも見所がないわけではなく、例えば二章ではこれから起きる事件に対するアプローチの仕方や倒叙ミステリに対する思い込みを巧く捻った点、金田一の某作に引っかけたメッセージが○。
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posted at 15:38:11
そして三章に関しては作者が得意とする裁判での応酬に絡めたどんでん返しの連続と一、二章に張られた伏線の怒濤のような回収もさることながら、個人的にはギャグ的な物証からの最後のひっくり返しが良かった。ただ欲を言えば、そろそろこれまでとは違うものを読ませてほしいところではある。
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posted at 15:38:42
「珍遊記」観了。原作既読。原作を知っているとオリジナルパートに違和感しか覚えないし、そもそも玄奘のラブコメ要素がどこに需要があるのか理解に苦しむ。珍遊記というには全体的に綺麗過ぎで、ただの緩いコントを見ているようだった。原作を知らない人の方がまだ楽しめるかもしれない。
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posted at 20:00:05
「selector destructed WIXOSS」観了。TVアニメ版の総集編にウリスの過去を中心とした新ストーリーを加えたもの。基本的にTVアニメ版を観ていないと理解しにくい構成には難があるものの、ファンであれば追加要素だけでも楽しめるかと。あと井内舞子の劇伴が良かった。
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posted at 23:45:41
2016年02月29日(月)
吉野泉「放課後スプリング・トレイン」読了。福岡市内の高校に通う吉野は校内外で不思議な出来事に遭遇する。天神に向かう電車で出会った奇妙な婦人、文化祭で起きたシンデレラのドレス消失事件……そして、いつも解決の糸口を示してくれるのは大学院生の飛木さんだった。
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posted at 22:11:06
第23回鮎川哲也賞最終候補作。日常の謎を扱った四話構成の連作ミステリだが正直ミステリとしてみるとかなり弱い。一話目は怒る人がいそうな脱力ネタだし、二話目は推理するには手掛かりが不足しているし、三話目は真相が提示されても釈然としないものが残る。
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posted at 22:11:17
唯一四話目のラストに明かされる仕掛けがメタ的なミスディレクションを用いていてちょっと面白いと思うものの、これをやる必然性が全くないのが残念。とはいえ作品全体の瑞瑞しい雰囲気は悪くないので、爽やかな青春ミステリっぽいものが読みたい人には楽しめるかもしれない。
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posted at 22:11:36