麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2016年04月21日(木)
菅原和也「ブラッド・アンド・チョコレート」読了。19歳のフリーターのぼくはフリージャーナリストである従兄のダイ兄ちゃんと共に幼馴染みの未来が奇跡の象徴として祭り上げられている能力研究団体《知性の窓》の研究所に乗り込むことになる。だがそこで待っていたのは、密室内の首切り殺人だった。
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posted at 00:06:38
一言でいえば本格ミステリに擬態した青春小説。途中までの展開だけみればこれまで捻くれた作品ばかり書いてきた作者にしては珍しいくらい真っ当な本格ミステリだが、だからといってそこに期待すると大きく裏切られることになる。
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posted at 00:08:25
本作の真相には間違いなく怒る人もいるだろうが、青春小説としてみれば本格ミステリに擬態したことで却って苦みが増す構造になっている点が実に秀逸。青春小説と取るか本格ミステリと取るかで評価が変わってくる、なかなかクセの強い作品である。
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posted at 00:08:42
2016年04月24日(日)
織守きょうや「SHELTER/CAGE」読了。消えたドライバーと不穏な動き。見ず知らずの囚人の面会にくる女。罪を悔い償いの日々を送る若者。夫を殺した凶暴な男の弁護を依頼する妻……ここは檻か、避難所か? 新人女性刑務官が見た、塀の中の群像劇。
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posted at 23:54:33
先進的な試みが多くなされている民営刑務所を舞台に、様々な想いを抱えた囚人たちとそれを取り巻く人々の姿を描いた全五話からなる連作小説。基本的には罪とどう向き合うかという人間ドラマがメインの作品だが、第一話「鉄格子と空」など収録作の中にはミステリ的センスが感じられるものもある。
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posted at 23:54:49
その中でも特に第四話「獣と目撃者」は夫を殺した犯人の弁護を依頼する妻という奇妙な謎もさることながら、その構成から「黒野葉月は鳥籠で眠らない」の原型としてみることもできるだろう(ちなみに語り手は「黒野葉月~」にも登場する高塚弁護士)。
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posted at 23:55:25
2016年04月27日(水)
島田荘司「屋上の道化たち」読了。全く自殺する気がないのにその銀行ビルの屋上に上がった男女は次々と飛びおりて死んでしまう。一体何故なのか? この「屋上の呪い」を巡る不可思議な謎に名探偵・御手洗潔が挑む。
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posted at 10:34:22
「読者への挑戦」が組み込まれた御手洗潔シリーズ50作目にあたる長編。真相はびっくりするほど単純で、正直シリーズを読み慣れている人であればすぐに気付くのではないかと思われるが、やはりその光景を想像すると笑ってしまうものがある。
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posted at 10:34:37
ただその反面、御手洗長編の特徴の一つであるケレン味のきいた演出が一切ないせいか全体的に登場人物の行動に無理やり感が否めず、事件的にもいまいちスケール感が小さいように見えてしまうのが残念。どちらかといえば長編というよりも少し長い(?)短編という感覚で読んだ方が楽しめるかもしれない。
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posted at 10:34:49
2016年04月28日(木)
似鳥鶏「家庭用事件」読了。葉山君の自宅マンションで電気をあまり使ってないのにも拘わらず何故かブレーカーが落ちる怪事件が起きる表題作を始め、葉山君の妹・亜理紗の学校の友人が遭遇した不可解な引ったくり事件から葉山家の秘密が垣間見られる「優しくないし健気でもない」など五編収録。
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posted at 13:49:58
市立高校シリーズの六作目にして「まもなく電車が出現します」以来の短編集。正直いうと一編目の「不正指令電磁的なんとか」を読んだ時は全く期待しなかったのだけど、最終的にはその認識を大いに改めさせられた。
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posted at 13:50:10
特に凄いのは「優しくないし健気でもない」で不可解な引ったくり事件を扱った普通の犯人当てかと思いきや予想外の所からくる仕掛けに唖然。シリーズ物でこれをやったことにまず驚かされるが同時にシリーズ物だからこそできるものであり、ある意味「アルバトロスは羽ばたかない」に通じるものがある。
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posted at 13:50:24
その他では「お届け先には不思議を添えて」が、どうやって箱の中身をすり替えたのかという謎に挑むことが強力なミスディレクションにもなっている点が素晴らしい。本作は作者が久々に放った変化球であると共に「いわゆる天使の文化祭」以来の衝撃が味わえる秀作である。
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posted at 13:50:56