麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2016年10月10日(月)
つかまえてシリーズの一作。密室やダイイング・メッセージの謎が盛り込まれているものの、それはあくまで副産物に過ぎず、メインはやはり修道院という舞台を活かした動機だろう。ただこの動機となった出来事と院長殺しがすぐに繋がるかと言われると悩ましいところではある。
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posted at 18:55:12
秋野ひとみ「緑の谷でつかまえて」読了。緑の谷に臨む美しい修道院で起きた殺人事件。人徳者で名高かった修道院長が密室状況の院長室で刺殺体となって発見されたのだ。そして遺体の傍に書き残された謎の血文字……北海道旅行の終わりに遭遇したこの怪事件の謎を女子大生探偵・工藤由香が解き明かす。
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posted at 18:54:49
畳み掛けるような意外な展開の連続とそれに伴い複雑化していく事件、そしてそれらを約二百頁でスマートに纏め上げる手腕はさながら赤川次郎の初期サスペンス物を思わせる。加えて何故、作者がこの時代を選んだのかという理由付けも巧い。本作は最後まで予断を許さない、サスペンス物の傑作である。
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「赤い霧」以来のノンシリーズ物。元々プロットの巧さに定評のある作者だったが、本作ではツイスト博士シリーズなどに見られるお馴染みの不可能犯罪要素を一切入れずプロットに一点特化した結果、すこぶるスリリングな逸品に仕上がった。
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ポール・アルテ「殺す手紙」読了。親友から届いた不可解な内容の手紙。訳がわからないながらもそこに書いてあった指示通りの行動を取るラルフだったが、謎は解けるばかりかますます増えていく。その挙げ句、奇妙なパーティーに参加する羽目になった彼を待っていたのは殺人事件と絶体絶命の状況だった。
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2016年10月09日(日)
ツイスト博士に『怪物的な犯罪』とまでいわしめたその動機は、犯人の凝りに凝った計画に説得力を与えるだけではなく、最後の一言にも絶妙な効果を齎している。加えて次々と出てくる意外な事実も実に楽しく、展開の一つ一つにまで気が配られた佳作と言っていいだろう。
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ツイスト博士シリーズの一作。訳者あとがきによれば今回の趣向は「人間消失」とのことだが、確かに最初の下宿屋の消失劇ははったりが効いていてなかなか面白いものがある。だがどちらかというと一番の見所は「動機」の方にあるように思う。
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ポール・アルテ「七番目の仮説」読了。とある下宿屋で起きたペスト騒動の最中、忽然と姿を消した青年は数刻後、他殺体となって路地裏のゴミ缶の中から有り得ない状況で発見された。事件の鍵を握るのは現場周辺で目撃された中世のペスト医師の格好をした三人の人物なのか。そして更に第二の事件が……。
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2016年10月08日(土)
全体的に既存のトリックを巧く組み合わせている印象だが、真相を踏まえてみると一部明らかに苦しい部分もある。とはいえ近年の鮎川賞受賞作の中では当たりと言っていい作品である。
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第26回鮎川哲也賞受賞作。帯には「21世紀の『そして誰もいなくなった』登場」とあるが個人的には「十角館の殺人」の影響の方が色濃いように感じた。艇内と地上が交互に進行する構成もさることながら特に力が入っているのは真犯人の演出でありアンフェアぎりぎりの意外性を出すことに成功している。
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市川憂人「ジェリーフィッシュは凍らない」読了。航空機の歴史を変えた小型飛行船ジェリーフィッシュの航行試験中に六人いた技術開発メンバーの一人が艇内で死体となって発見された。更に自動航行システムが暴走し彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中次々と犠牲者が……。
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2016年10月05日(水)
一方、後者は綺麗に纏めてはいるものの、前例のあるトリックと構図が目についてしまい、前者と比べると正直物足りなさが否めない。とはいえ本作が全五巻くらいの面白い漫画を読んだ時と同じ満足感が得られる良作であるのは間違いない。
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その物語は主にアイドル時代に巻き込まれた事件と捜査一課配属後に担当した事件の二つに分けられるが、ミステリとしてみると前者の方がキレがある。独創的な毒殺方法とそこからスマートに犯人に辿り着いてみせる手腕は紛れもなく「Q.E.D.」の作者ならではのものだ。
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「Q.E.D. 証明終了」などで知られるミステリ漫画家の作者が初めて手掛けた長編ミステリ小説。特筆すべきはやはり立ちまくった菊乃のキャラであり、作者が得意とする運動神経抜群の負けん気の強いヒロインがぐいぐいと物語を引っ張ってくれる。
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加藤元浩「捕まえたもん勝ち! 七夕菊乃の捜査報告書」読了。元アイドルの新人刑事・七夕菊乃は配属された捜査一課ではお飾り扱い、その上二人の犯罪捜査の天才が繰り広げる頭脳戦に巻き込まれることに。そして彼女が初めて挑む密室殺人事件の捜査は一体どうなってしまうのか?
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2016年10月02日(日)
ベストは被害者が死んだ状況からベートーヴェンに殺人の嫌疑がかかる「ピアニストは台所に入れるな」で、探偵役に纏わる捻くれた構図とブラックユーモアが効いたオチが面白い一編である。
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posted at 22:07:40
「モーツァルトは子守唄を歌わない」で探偵役を務めたベートーヴェンが再登場する連作ミステリ。全四編の収録作のうち前半二編はミステリ色が強く、後半二編は冒険色が強い傾向にあるほか、ベートーヴェンが徐々に年をとっていくにつれて変化していく登場人物たちの関係性が何とも言えない余韻を残す。
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posted at 22:07:28
森雅裕「ベートーヴェンな憂鬱症」読了。ある時は殺人容疑で追われ、またある時は涙を流すマリアの謎を解き、囚われの王女も救出すれば、自分の子だと名乗る音楽家の出現に頭を悩ませる……図らずも探偵として活躍することになる楽聖ベートーヴェンが巻き込まれた四つの事件を収録。
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posted at 22:07:14
但しミステリとしてみるとこれといって際立ったものはなく、一番魅力的な焼死体が劇場の貴賓席に座っていた謎の真相は理解はできるが些か拍子抜けと言わざるを得ないし、楽譜の暗号や毒殺の真相も意外性は特に感じられない。あくまでシチュエーションとキャラのやり取りを楽しむのが吉な作品である。
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posted at 22:06:59
第31回江戸川乱歩賞受賞作。モーツァルトの毒殺説という有名なテーマにあのベートーヴェンが挑むという趣向もさることながら、何よりベートーヴェンと弟子のツェルニーのコミカルなやり取りが楽しい。
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posted at 22:06:35
森雅裕「モーツァルトは子守唄を歌わない」読了。「モーツァルトの子守唄」を出版した楽譜屋が焼け焦げた死体となって、劇場の貴賓席に座っていた。子守唄の楽譜にはモーツァルト毒殺説の謎を解く鍵が隠されているに違いないと確信したベートーヴェンは弟子のツェルニーと共に探偵行を始める。
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2016年10月01日(土)
そしてトドメの大胆な伏線と共に明かされる、あの真相……本作はエログロナンセンスな世界観でバカトリックと緻密な離れ業が展開する、奇跡的バランスで成立した作者の最高傑作である。
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posted at 15:54:12
そのうちの一つは作者が同人誌で発表した某作を彷彿とさせるものの、どれもこの特殊設定だからこそできる気が狂った(誉め言葉)仕掛けでバカミス好きのハートをがっちり掴んでくれる。しかも作者はそれだけに留まらず、エピローグでウルトラC級の離れ業まで見せてくれるのだから堪らない。
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posted at 15:53:18
その物語は一言でいえばTHE平山夢明的変態ホラーでありミステリらしい事件が起きるのはかなり後になってからであるにも拘わらず、その間一切退屈しないのが素晴らしい。そして人面瘡による(!)多重推理というトンデモ趣向の後に待ち受ける門前典之「屍の命題」級のバカトリックの連打は爆笑必至。
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posted at 15:50:36
傑作にして怪作。元々この作者の特殊設定はミステリ的仕掛けを成立させるためのものであり、故に前作までは時折その設定が物語から浮いているように感じられたものだが、本作に関しては物語と設定の融合にだいぶ力が入れられていて、そういった違和感をほとんど覚えないのは好印象。
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posted at 15:50:06
白井智之「おやすみ人面瘡」読了。全身に脳瘤と呼ばれる顔が現れる人瘤病が蔓延した日本で起きた殺人事件。墓地の管理施設で人瘤病患者の顔が潰され、地下室で少女が全身を殴打され殺されたのだ。更に事件の真相を見抜いた男が不慮の事故で死んだかと思いきや男の体にある顔たちが推理を語り始め……。
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posted at 15:49:33