麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2016年11月29日(火)
そこから読者を見事救い出してみせるのが探偵役である観察者こと鳶山の役割であり、鳶山の登場以降、それまで不気味に見えていた密林の印象が一変するのが面白い。ミステリとしてはそこまで凝った仕掛けはないものの、探偵役の行動がなかなか痛快(特にラスト)な作品である。
タグ:
posted at 22:43:50
観察者シリーズの四作目。本作のミステリとしての見所は財宝捜しに絡んだホワットダニットであり、曖昧模糊とした展開と相俟って読者はいつしかタイトル通り密林をさ迷っているかのような錯覚に陥ることだろう。
タグ:
posted at 22:43:10
鳥飼否宇「密林」読了。オキナワマルバネクワガタの幼虫を求めて沖縄の原生林に足を踏み入れた昆虫採集家の松崎と柳澤。二人はそこで軍から脱走したらしい米兵と出会い、森に財宝が隠されていることを知る。やがて傷付いた米兵から難解な暗号で書かれた財宝の地図を残された二人は……!?
タグ:
posted at 22:42:42
2016年11月28日(月)
その他、謎が解かれた後のラスト一文がじんとくる「長い休日」や、真相は分かりやすいが推理の過程が描き出す心の葛藤が秀逸な表題作も捨て難い。総じて小説家として熟練した今の作者だからこそ書ける、青春ミステリの一つの到達点的連作である。
タグ:
posted at 23:13:35
しかしながら本作は昨今の米澤作品同様、ミステリとしての切れ味より謎を通して浮かび上がる人間ドラマを重視しており、そういう観点では「クドリャフカの順番」の後日譚とも言うべき「わたしたちの伝説の一冊」が完璧な仕上がりと言える(他にも「走れメロス」をミステリ的に読み解いているのも○)。
タグ:
posted at 23:11:48
前作から六年ぶりの古典部シリーズ六作目は、古典部四人それぞれの過去と未来が描かれる短編集。本作を単純に本格ミステリとして見た場合、ベストは意外な伏線からの急転直下の解決が鮮やかな「箱の中の欠落」になるだろう。
タグ:
posted at 23:11:10
米澤穂信「いまさら翼といわれても」読了。合唱祭の本番前にソロパートを任せられていた千反田えるが失踪、その行方を探す表題作の他、衆人環視の投票箱の中で票が増殖した謎に挑む「箱の中の欠落」、奉太郎が省エネ主義になった理由に迫る「長い休日」など全六編収録。
タグ:
posted at 23:10:06
2016年11月27日(日)
「地獄のモーテル」観了。最高。恐怖の(?)人間栽培や友成純一「ホラー映画ベスト10殺人事件」でもやっていたチェーンソーチャンバラもさることながら何よりラストのあの台詞もとい渾身の一発ギャグに痺れた。全てはあの台詞のためにあったと言っても過言ではない爆笑キワモノホラーの傑作である。
タグ:
posted at 23:23:38
「バンパイア・ラヴァーズ」観了。名門ハマー・プロが贈る女吸血鬼物。女吸血鬼に襲われる若い娘たちのオッパイがとにかく素晴らしく、ある意味官能百合映画としても楽しめる。吸血鬼なのに鏡に映る点など気になるところもなくはないが、音楽と映像による雰囲気作りは完璧の一言に尽きる作品である。
タグ:
posted at 23:21:56
2016年11月26日(土)
「劇場版 艦これ」観了。敵の正体を中途半端に描いてしまったが故に作品の根幹に関わる矛盾が発生してしまっているのがまず難。加えてこれまた中途半端な主人公補正が興醒めで演出によるごまかしも完全に失敗してしまっている。映像が劇場クオリティになっていることを除けばかなり微妙な出来だった。
タグ:
posted at 16:33:05
途中で展開される捨て推理もよくできていたが、それ以上に最終的に語られる真相が衝撃で、特に犯人の正体は唖然の一言。伏線はこれ以上ない大胆な形で示されており、捨て推理や物語の展開が絶妙なミスディレクションになっていることにも思わず唸らされる。
タグ:
posted at 01:01:59
死相学探偵シリーズの六作目である本作を一言で例えるならパット・マガー+特殊クローズド・サークル+ホラーミステリ。探偵役視点で語られる探偵探しという趣向が一種の倒叙物っぽくて面白いし、それに加えてホラー設定の特殊クローズド・サークルで連続殺人が起こるのだから実に堪らない。
タグ:
posted at 01:01:25
三津田信三「八獄の界」読了。恐るべき呪術の使い手・黒術師が崇拝者を集めたバスツアーを主催すると聞かされた死相学探偵の俊一郎は潜入捜査を手伝うことに。危険を承知で潜入した俊一郎はそこでバスツアーの参加者全員にくっきりと死相が出ているのを目撃し……参加者を次々と襲う怪事件の真相は?
タグ:
posted at 01:00:34
2016年11月22日(火)
ベストは「無間呪縛」で挿入されるエピソードからある程度真相は察することができるが、それでもここまで徹底的にやられると背筋にぞっとするものを覚えずにはいられない。何より長編一冊分は優にある密度の高さに唸らされる。次点は「意匠の切断」でデビュー作の「解体諸因」を思わせる動機が○。
タグ:
posted at 10:06:02
前作から約七年ぶりの本作は大学を卒業したタック、タカチ、ウサコ、ボアン先輩の境遇に絡んだ四つの事件を扱った連作集。フリーター、東京での就職、結婚、女子校講師とそれぞれの道を歩み始めた彼らの姿はシリーズ読者であれば感慨深いものがあるだろう(但し内容は相変わらずのドス黒さ)。
タグ:
posted at 10:05:43
西澤保彦「悪魔を憐れむ」読了。老教師転落死事件の真犯人から悪魔の口上を引き出す表題作、十三年間にわたり起きる心霊現象の謎と隠された哀しい真実を解く「無間呪縛」、バラバラ事件の奇妙な動機を推理する「意匠の切断」他一編を収録した、大学卒業後のタックたち四人の活躍を描く連作ミステリ。
タグ:
posted at 10:03:08
2016年11月17日(木)
天樹征丸/さとうふみや「金田一少年の事件簿R」11巻読了。「白蛇蔵殺人事件」完結。酒蔵を活かしたシンプルなトリックと漫画ならではのシンプルなロジックが巧く決まっているし久々に犯人が金田一に一矢報いた結末も○。総じて良作と言っていいだろう。あとデッドリストにアレがいる理由に笑ったw
タグ:
posted at 09:57:53
2016年11月16日(水)
展開が二転三転するプロットの妙もさることながら、何よりも被害者側の罪を浮き彫りにする因果応報ともいうべき対比の構図が素晴らしい。シリーズ三作目である「風極の岬」に引き続き、シリーズの特徴だった倒叙形式ではないのが残念だが、それを差し引いても充分佳作と言っていい作品である。
タグ:
posted at 09:02:36
今年逝去した作者の、単行本未収録短編で構成された作品集。収録作はどれも作者らしさを感じさせる安定した出来だが、その中でもとりわけ出来がいいのはやはり朝吹里矢子と並ぶ作者の看板探偵・検事の霞夕子が活躍する表題作だろう。
タグ:
posted at 09:02:19
夏樹静子「いえない時間」読了。スナックの雇われママが殺され、被害者と付き合いがあった青年が逮捕された。最初は犯行を素直に認めていた青年だったが凶器が見つからないあたりから一転して容疑の否認を始める……表題作の他、法律の盲点をついた犯罪を暴く弁護士・朝吹里矢子物二編など全七編収録。
タグ:
posted at 09:01:51
2016年11月13日(日)
勿論、奇想本格らしい大掛かりなトリックもちゃんと用意されており、その内容と前述した動機部分がある意味符合しているのも興味深い。また作者ならではの言葉に纏わる仕掛けも健在で、「ミステリ・オペラ」以前の作者の集大成と言っても過言ではない傑作である。
タグ:
posted at 19:20:39
とはいえ本作が島田荘司ばりの奇想本格と決定的に違うのは前代未聞の動機であり、それに伴う構図の反転が実に強烈。そして、それらを成立させるために本作がここまで長大な作品になったのにも充分納得がいく。
タグ:
posted at 19:20:05
美少女探偵・風水火那子の兄である林太郎が探偵役を務める本格ミステリの大作。主に贈賄疑惑を追う新聞記者の視点で話が進むため、始まりこそは社会派ミステリの雰囲気があるが、事件が起こり始めると次第に島田荘司ばりの奇想本格にとって変わられるのが面白い。
タグ:
posted at 19:19:26
山田正紀「螺旋(スパイラル)」読了。下水処理プールで発見された死体。密室で襲われた精神病理学の権威。地下水道に流された死体の不可解な消失と出現。ありえないアリバイ……贈賄疑惑を追っていた新聞記者の垂水と関口の周りで続発する旧約聖書と符合する不可思議な出来事は何を意味するのか?
タグ:
posted at 19:18:57
2016年11月12日(土)
また真相の一部が明らかになると共にクローズアップされる犯人の正体とその神出鬼没ぶりにも驚かされたし、ある意味名探偵という存在を逆手に取ったミスディレクションも秀逸。読了後、本作を指して法月綸太郎が〈「シンデレラの罠」と「虚無への供物」が出会う〉と称したのにも納得がいく傑作である。
タグ:
posted at 15:59:12
ちなみに自分が読んだ幻冬舎ノベルス版の内容紹介を見るとさもトリックが凄い作品のように思えるが、本作の見所はトリックやよりもむしろ意外な犯人と動機、その構図にあり、特に前述した記憶喪失の女の話が繋がった直後に見えてくる動機と奥深い構図が圧巻。
タグ:
posted at 15:58:56
巨大な円柱のような病院で続発する異様な事件を描い作で出てくる謎はどれもすこはぶる魅力的でそれを追うだけでも充分面白いのだが平行して語られるどこかに監禁された記憶喪失の女の話がまた実にスリリングで、かつその話がどう繋がるのか全く読めない所が物語のいいアクセントになっている。
タグ:
posted at 15:58:40
山田正紀「妖鳥(ハルピュイア)」読了。隙間をテープで外張りされた無菌室の密室で首を吊った意識不明の重症患者。何もない所から噴き出した火により焼死した准看護婦。墜落した場所から何十メートルも離れて発見された医師の死体……聖バード病院で次々と起こる不可解な事件は全て妖鳥の仕業なのか?
タグ:
posted at 15:58:23