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麻里邑圭人

@mysteryEQ

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  • 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
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2016年11月01日(火)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月1日

歌野晶午「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」読了。旅先で出会ったスマホと旅する謎の男、衆人環視下の道玄坂で起きた不可解な死、淫らな妄想に憑かれた男が偶然巻き込まれた「陰獣」を模倣した事件……江戸川乱歩の世界を驚愕のトリックと新たな魅力で蘇らせた七編を収録。

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posted at 23:55:02

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月1日

「D坂の殺人事件」を含む江戸川乱歩の諸作品をモチーフにした連作ミステリ。作者自身、好きな作家に乱歩を挙げており、過去に乱歩オマージュの「死体を買う男」という佳作をモノにしているが、本作もまたその「死体を買う男」とは異なるアプローチながらも乱歩愛に満ちた作品に仕上がっている。

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posted at 23:55:28

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月1日

基本的に本作は乱歩作品を現代で再現するにはどうしたらいいかという観点で書かれており、その一つの答えとして作者は「密室殺人ゲーム」などで見られた最新テクノロジーを活かしたトリックを「正月十一日、鏡殺し 」的演出で魅せてくれる。

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posted at 23:56:21

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月1日

ベストは積み重ねた推理を唖然とする真相と毒のある結末で吹き飛ばしてくれる表題作だが、最新テクノロジーと幻想のバランスが絶妙な「スマホと旅する男」と、作者らしさ全開のオチにニヤリとなる「陰獣幻戯」も捨てがたいものがある。

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posted at 23:56:58

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月1日

総じて乱歩作品と歌野作品が好きな読者であれば楽しめること請け合いの良作と言っていいだろう。

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posted at 23:57:28

2016年11月03日(木)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月3日

笹沢左保「天を突く石像」読了。建設会社の技師・青山は親友の大場と義妹の冬子に資源開発公団総裁の娘・理恵子を婚約者だと紹介する。だが、その理恵子からは青山のことなど知らないと言われてしまう。そしてその夜、大場の許に青山が総裁の自宅で女秘書を絞殺した後に自殺したという報せが――。

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posted at 16:19:07

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月3日

親友の常軌を逸したとしか思えない行動と不可解な殺人事件、そして親友が遺した『天を突く石像! まさに恐怖……』という謎めいた言葉――本作の第一章に関していえばこれ以上ないほど完璧な掴みであり、そこまで読んだ人間の大半が恐らく傑作の手応えを感じるに違いない。

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posted at 16:19:46

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月3日

だが残念ながら面白かったのは掴みだけで、以降は悪い意味で二時間サスペンスにありがちな話になってしまう。折角冒頭に面白そうなシチュエーションを提示しているにも拘わらず全く活かせていないし、真犯人や決め手となる証拠も取って付けたようでかなりガッカリさせられる。

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posted at 16:20:32

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月3日

そして何より驚いたのは、カバー裏の粗筋に本作の内容が全て書かれていたことだろうか(ちなみに自分が読んだのは旺文社文庫版だが、最近復刊された小学館版の内容紹介でも真相の一部がネタバレされている)。第一章が抜群に面白いだけに、つくづく残念な作品である。

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posted at 16:21:58

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月3日

アガサ・クリスティー「雲をつかむ死」読了。ロンドンのクロイドン空港へ向かう定期便プロミシューズ号の機内で一匹の黄蜂が飛び回る騒ぎがあった直後、乗客の一人が死んでいるのが発見された。その首には毒針で刺された跡が……。大空の旅客機という完全な密室で起きた異様な事件にポアロが挑む。

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posted at 21:30:52

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月3日

閉鎖空間で起きた不可能犯罪の謎にばかり目を奪われがちだが、どちらかというと犯人に関するミスディレクションの技巧に唸らされる作品。特に終盤、見えない人となっていたある人物の存在が浮上した瞬間の構図の反転ぶりには誰もがあっと驚くことだろう。

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posted at 21:31:30

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月3日

だがそれすらも作者にとっては煙幕の一つに過ぎず、そこから更に一捻りした構図と最後に明かされる探偵と作者の共犯関係とも言うべきミスディレクションの数々には脱帽の一言。加えて大半の手掛かりが早い段階で提示されているのも好印象で、作者の策士ぶりが堪能できる佳作と言っていいだろう。

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posted at 21:32:10

2016年11月05日(土)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月5日

鷲尾三郎「呪縛の沼」読了。名探偵として知られる三木要が謎の手紙に誘われてやって来た、曰く付きの沼の畔に建つ結核療養所で惨劇が起きた。講堂でダンスパーティーが開かれた夜、密室の書斎で旧式の火縄銃で射殺された高名な博士。動機を持つ者が続々と出てくる中、凍った沼から新たな犠牲者が……。

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posted at 21:10:38

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月5日

どこを切っても王道の本格ミステリ。扱われるトリックに必然性が乏しいという話は事前に聞いていたものの、それを差し引いても登場人物が無駄に多すぎて犯人の印象が極めて薄い、動機が後付け、第十四章の展開が唐突など気になる点は多々ある。

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posted at 21:11:18

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月5日

しかしながら本格ミステリとしての雰囲気はなかなかのものであり、そこを楽しめる人のみ本作をお勧めする次第である。

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posted at 21:13:07

2016年11月06日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月6日

「マジカル・ガール」観了。魔法少女に憧れた少女が引き起こす悲劇を描いたサスペンス映画。言うほど予測不可能でもないし、悲劇的とも思えない(その理由は主に少女の親父がクズだからだが)のが難だが、現代の御伽噺として観れば楽しめるのかもしれない。個人的にはトカゲ部屋が凄く気になった。

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posted at 21:05:53

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月6日

あと魔法少女ユキコの主題歌(?)が魔法少女物というよりキャッツアイかと思った(爆)。

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posted at 21:06:08

2016年11月10日(木)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月10日

山田正紀「阿弥陀(パズル)」読了。恋人がエレベーターに乗ったまま戻ってこないという男の訴えを聞いた警備員がビル内を捜すが女の姿はなかった。監視カメラの目をかいくぐりビルの外に出ることは不可能な状況で、女はどこに消えたのか。そして何故、姿を消したのか。

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posted at 21:32:21

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月10日

美少女探偵・風水火那子シリーズの一作目。この作者にしては珍しく全編、一人の女が消えた謎を巡る推理のビルド&スクラップで構成されており、一つの謎から次々と出てくる様々な事実や推理の面白さを堪能できる反面、最終的な真相がかなりしょぼいのが残念。

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posted at 21:32:59

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月10日

加えてあるものの構造が分からないとピンとこない決め手も難で、端から真相に関しては度外視した方が楽しめる作品である。

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posted at 21:34:45

2016年11月12日(土)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月12日

山田正紀「妖鳥(ハルピュイア)」読了。隙間をテープで外張りされた無菌室の密室で首を吊った意識不明の重症患者。何もない所から噴き出した火により焼死した准看護婦。墜落した場所から何十メートルも離れて発見された医師の死体……聖バード病院で次々と起こる不可解な事件は全て妖鳥の仕業なのか?

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posted at 15:58:23

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月12日

巨大な円柱のような病院で続発する異様な事件を描い作で出てくる謎はどれもすこはぶる魅力的でそれを追うだけでも充分面白いのだが平行して語られるどこかに監禁された記憶喪失の女の話がまた実にスリリングで、かつその話がどう繋がるのか全く読めない所が物語のいいアクセントになっている。

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posted at 15:58:40

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月12日

ちなみに自分が読んだ幻冬舎ノベルス版の内容紹介を見るとさもトリックが凄い作品のように思えるが、本作の見所はトリックやよりもむしろ意外な犯人と動機、その構図にあり、特に前述した記憶喪失の女の話が繋がった直後に見えてくる動機と奥深い構図が圧巻。

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posted at 15:58:56

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月12日

また真相の一部が明らかになると共にクローズアップされる犯人の正体とその神出鬼没ぶりにも驚かされたし、ある意味名探偵という存在を逆手に取ったミスディレクションも秀逸。読了後、本作を指して法月綸太郎が〈「シンデレラの罠」と「虚無への供物」が出会う〉と称したのにも納得がいく傑作である。

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posted at 15:59:12

2016年11月13日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月13日

山田正紀「螺旋(スパイラル)」読了。下水処理プールで発見された死体。密室で襲われた精神病理学の権威。地下水道に流された死体の不可解な消失と出現。ありえないアリバイ……贈賄疑惑を追っていた新聞記者の垂水と関口の周りで続発する旧約聖書と符合する不可思議な出来事は何を意味するのか?

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posted at 19:18:57

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月13日

美少女探偵・風水火那子の兄である林太郎が探偵役を務める本格ミステリの大作。主に贈賄疑惑を追う新聞記者の視点で話が進むため、始まりこそは社会派ミステリの雰囲気があるが、事件が起こり始めると次第に島田荘司ばりの奇想本格にとって変わられるのが面白い。

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posted at 19:19:26

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月13日

とはいえ本作が島田荘司ばりの奇想本格と決定的に違うのは前代未聞の動機であり、それに伴う構図の反転が実に強烈。そして、それらを成立させるために本作がここまで長大な作品になったのにも充分納得がいく。

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posted at 19:20:05

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月13日

勿論、奇想本格らしい大掛かりなトリックもちゃんと用意されており、その内容と前述した動機部分がある意味符合しているのも興味深い。また作者ならではの言葉に纏わる仕掛けも健在で、「ミステリ・オペラ」以前の作者の集大成と言っても過言ではない傑作である。

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posted at 19:20:39

2016年11月16日(水)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月16日

夏樹静子「いえない時間」読了。スナックの雇われママが殺され、被害者と付き合いがあった青年が逮捕された。最初は犯行を素直に認めていた青年だったが凶器が見つからないあたりから一転して容疑の否認を始める……表題作の他、法律の盲点をついた犯罪を暴く弁護士・朝吹里矢子物二編など全七編収録。

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posted at 09:01:51

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月16日

今年逝去した作者の、単行本未収録短編で構成された作品集。収録作はどれも作者らしさを感じさせる安定した出来だが、その中でもとりわけ出来がいいのはやはり朝吹里矢子と並ぶ作者の看板探偵・検事の霞夕子が活躍する表題作だろう。

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posted at 09:02:19

麻里邑圭人 @mysteryEQ

16年11月16日

展開が二転三転するプロットの妙もさることながら、何よりも被害者側の罪を浮き彫りにする因果応報ともいうべき対比の構図が素晴らしい。シリーズ三作目である「風極の岬」に引き続き、シリーズの特徴だった倒叙形式ではないのが残念だが、それを差し引いても充分佳作と言っていい作品である。

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posted at 09:02:36

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