麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2017年07月31日(月)
更に終盤、思わぬところから明かされる真相にはかなりびっくりさせられるが、その一方で本格ミステリとしてみると探偵役がどこで真相に気付いたのか一切語られないので、やや物足りない部分があるのが残念。とはいえサプライズ重視のサスペンス物として読めば充分面白い佳作である。
タグ:
posted at 22:36:42
名探偵・星影龍三シリーズの長編三作目。個人的に鮎川哲也の長編というと結構退屈な印象があったが本作に関しては三百枚前後という短めの作品のせいかテンポ良く人が死んでいくのがいい。加えて一つ一つの殺人方法が凝っているので、次はどんな方法で殺されるのだろうというワクワク感(?)がある。
タグ:
posted at 22:36:00
鮎川哲也「白の恐怖」読了。明治時代にアラスカに移民して億万長者になった高毛礼一の遺産の一部が彼の甥姪たちへと譲渡されることになった。相続の手続きをするために人里離れた山奥にある「白樺荘」に関係者が集まった時、青酸を用いた恐怖の連続殺人の幕が切って落とされる――。
タグ:
posted at 22:35:35
2017年07月30日(日)
また最後のサプライズも必要性があったかと言われると微妙なところで、どちらかというと本格ミステリではなくサプライズ重視のサスペンス物として読むのが吉な作品である。
タグ:
posted at 18:10:18
ミッシングリンク物とコンゲーム物を掛け合わせたような本作の構成は帯にある「全体像を最後まで掴ませない」という言葉通りではあるものの、その反面どんでん返しを優先し過ぎてフェアさという点では大いに疑問が残る。
タグ:
posted at 18:10:06
時代ミステリを多く手掛けてきた作者による、昭和11年の東京を舞台にしたノンシリーズ物の長編ミステリ。本作の作中で某古典ミステリの名前が挙げられているが、読み終わってみると本作はその古典ミステリの作者の代表作三つを合体させたような印象を受ける。
タグ:
posted at 18:09:49
岡田秀文「帝都大捜査網」読了。死体が発見される度に何故か刺し傷の数は一つずつ減ってゆく。殺された男たちの間に交友関係などは一切見つからず、共通しているのは全員が多額の借金を背負っていたことのみ。警視庁特別捜査隊は奇妙な連続刺殺事件の謎を追い、帝都全体に捜査の網を広げてゆくが――。
タグ:
posted at 18:09:28
次点はこれまた定番の首切りネタに対し怪異を決め手として持ってきた演出が冴える倒叙物「黒々とした孔」で、読み終わると雑誌掲載時のタイトルから一部改題した理由にも納得がいく。その他の収録作もちょっとしたネタを巧く捻っており、全体的にハズレがない良作と言っていいだろう。
タグ:
posted at 14:29:34
「(前略)今回の事件は、難攻不落の鉄壁のアリバイを崩せって感じですね。ミステリーなら生霊のしわざという結末はあり得ませんけれど」という作中の台詞には苦笑を禁じ得ないが、本作に関してはミステリでは定番のネタを扱いつつも怪異を気付きとして用いることで新鮮な驚きを与えてくれる。
タグ:
posted at 14:29:13
そして収録作の中でそれが最も巧く達成できているのは事件の加害者が同時刻に違う場所にいる謎を扱った「分身とアリバイ」だろう。作者のファンであればその粗筋から国名シリーズの某作を思い出すだろうが、本作はその某作の成功版(爆)と言ってもいいかもしれない。
タグ:
posted at 14:28:57
怪談短編集「幻坂」にも登場した心霊探偵・濱地健三郎が探偵役を務める連作ホラーミステリ。あとがきによると作者が目指したのは「怪談やSFを利用したミステリではなく、ミステリの発想を怪談に移植した上で、両者の境界線において新鮮な面白さを探すこと」だったらしい。
タグ:
posted at 14:28:43
有栖川有栖「濱地健三郎の霊なる事件簿」読了。心霊探偵・濱地健三郎には鋭い推理力と幽霊を視る能力がある。事件の加害者が同時刻に違う場所にいる謎、ホラー作家のもとを訪れる見知らぬ幽霊の謎、突然態度が豹変した恋人の謎……リアルと眩惑が絡み合う不可思議な七つの事件に心霊探偵が立ち向かう。
タグ:
posted at 14:28:34
2017年07月25日(火)
京極夏彦公認のシェアード・ワールドシリーズ「薔薇十字叢書」の一冊。百鬼夜行シリーズの人気キャラクターの中から小説家・関口巽をフューチャーした本作はミステリというより幻想SF小説の趣きが強く、その何ともとらえどころのない展開は確かに薔薇十字叢書随一の奇書というだけのことはある。
タグ:
posted at 21:55:31
和智正喜「蜃の楼」読了。昭和二十七年。巷を騒がす連続神隠し事件の被害者が消えた後に何故か小説家・関口巽の初長編小説『蜃の楼』が残されていた。犯人探しに巻き込まれ、関口は東京を彷徨う。視界には天を衝く長大な鉄塔“スカイツリー”が鎮座して――。薔薇十字叢書随一の奇書、登場。
タグ:
posted at 21:55:05
2017年07月22日(土)
但し最後の解釈に関しては少々やり過ぎな気もするが、あくまでホラーとして書かれていることを考えれば、これくらいモヤッとした方がいいのかもしれない。個人的には前作以上にホラーとミステリの融合が達成された佳作である。
タグ:
posted at 17:00:43
特に秀逸なのは幕間(一)における黒い部屋と白い屋敷の考察で、それら伏線が怒濤のように回収されるミステリ的カタルシスが更なる恐怖を呼び起こす構成になっている点が素晴らしい。また終盤の謎を解かないと怪異が身近に迫ってくる「作者不詳」を思わせるスリリングな展開も○。
タグ:
posted at 17:00:22
「どこの家にも怖いものはいる」 に続く、幽霊屋敷ホラー第二弾。作者はこれまでにも何度か怪異の中にミステリ的伏線を隠蔽する技巧を駆使した作品を発表しているが、本作もまたその技巧が遺憾なく発揮されている。
タグ:
posted at 16:59:56
三津田信三「わざと忌み家を建てて棲む」読了。人死にがあった部屋や家。それらを一箇所に集めて建て直した“烏合邸”。家主はそこに棲む人を募集する。さながら実験室のように……。黒い部屋、白い屋敷、赤い病院、青い邸宅――四つの怪異に関する記録が出揃った時、明らかになる真相とは?
タグ:
posted at 16:59:36
一応本作は少女たちが事件に関わってはいるものの、主人公を全面に押し出しすぎているせいかやはりその辺の物足りなさは否めない。加えてミステリとしても面白くもないトリックにトリビアを盛り込んだだけで特に語るところはなく、全体的に微妙な印象しか残らなかった。
タグ:
posted at 12:46:47
父親の異なる二児の母親で恋愛体質の女性警官を主人公にした警察小説連作。長澤作品というとシニカルかつフェチズム溢れる少女描写に定評があるが、ここ最近の作者の作品を読んでいると、どうも本来の持ち味から遠ざかっている気がしてならない。
タグ:
posted at 12:45:32
長沢樹「月夜に溺れる」読了。父親の異なる二人の子供を持つ神奈川県警生活安全部のエース・真下霧生。盛り場で起こる青少年の絡む事件、謎めいた殺人事件には必ず駆り出される遊軍のような存在だ。そんな彼女が遭遇した四つの殺人事件。容疑者たちの鉄壁のアリバイを彼女は見破ることができるのか?
タグ:
posted at 12:45:00
2017年07月21日(金)
以前作者は好きな作品に「ハサミ男」を挙げていたが、本作を読めばその殊能将之の某作をかなり意識しているのがよく分かる。それでいて作者ならではの血と暴力で彩ることにより、ただのオマージュ作品では終わっていないあたりが好印象の良作である。
タグ:
posted at 09:33:36
恋人の死の真相を探る青年の捜査行と孤島で起きた殺人事件の顛末が交互に描かれる本作は、メインの仕掛けだけ見ればそれほど新鮮味はないかもしれない。むしろミステリ読みが本作で注目すべきは作中からひしひしと感じられる殊能将之リスペクトだろう。
タグ:
posted at 09:33:09
菅原和也「あなたは嘘を見抜けない」読了。ツアーで訪れた無人島で死んだ最愛の人・美紀。好奇心旺盛で優しい彼女は事故に遭ったのだ。僕は生きる意味を喪い自堕落な生活を送っていたが美紀と一緒に島にいた女と偶然出会いある疑いを抱く。美紀は誰かに殺されてしまったのではないか――。
タグ:
posted at 09:32:59
2017年07月20日(木)
他にも気付きが気付きになっていない部分がある、一部のトリックに前例がある、ラストのトリックへの対応がスマートではないなど気になる点が多々あるが、どちらかというとミステリとしての出来より細かいことは気にせず漫画的ノリを楽しんだ方が吉な作品である。
タグ:
posted at 20:55:43
事件が発生する前に探偵が犯人やトリックを突き止め、事件を未然に防ぐ倒叙形式連作ミステリの完結編。犯人たちが文字通り束になってかかってくる総力戦とも言える内容を考えると仕方ないのかもしれないが上巻の時に比べるとトリックが質より量になっているのがまず気になった。
タグ:
posted at 20:54:55
井上真偽「探偵が早すぎる(下)」読了。父から莫大な遺産を相続した女子高生の一華。四十九日の法要で彼女を暗殺するチャンスは寺での読経時、墓での納骨時、ホテルでの会食時の三回――犯人たちは今度こそ彼女を亡き者にできるのか? 完全犯罪トリックvs.事件を起こさせない探偵の結末やいかに?
タグ:
posted at 20:54:41
2017年07月19日(水)
言うなれば本作は作者が小説という媒体で作り上げたフェイクドキュメンタリーであり、その出来の悪さに思わず読者が苦笑いするところまでが計算通りという何ともタチの悪い問題作である。
タグ:
posted at 22:48:26
だが困ったことにこのつまらなさは作者の計算通りであり、作者の狙いは本来のクローズドサークル物とは全く別のところにある。というか普通こんなネタで長編を一本書こうとは思わないだろうが、それをあえてやってしまうところが作者のひねくれものたる所以だろう。
タグ:
posted at 22:48:05
作者久々の長編本格ミステリ。しかしながら本作を本格ミステリと言い切ってしまっていいものかどうか正直躊躇っている。というのも本作を所謂クローズドサークルテーマの本格ミステリだと思って読んだ場合、間違いなくつまらないからだ。
タグ:
posted at 22:47:30
詠坂雄二「T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」読了。月島前線企画に持ち込まれた既解決事件。孤島に渡った六人が全員死体で発見されたが当人たちによって撮影された渡島から全員死亡までの克明な録画テープが残っていた。何が起こったかはほぼ明確だ。ところが依頼人は不満のようで――。
タグ:
posted at 22:46:49