麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年02月07日(水)
香吹茂之「搾精女子」読了。女が男を飼い遊ぶ絶海の孤島に建つ館・雄鳴館で名家の子女が胴体を持ち去られた死体で発見された。目撃者によると犯人は「死体に向かって射精をしていた」と言う……名探偵・岡佐礼太陽(おかされたいよう)の推理が冴える「雄鳴館殺人事件」他、本格ドMSF二編収録。 pic.twitter.com/T0BXqkuHvu
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posted at 23:40:01
ドM物に定評がある作者が放つ世にも珍しい本格ミステリエロ漫画「雄鳴館殺人事件」を収録した作品集。特筆すべきはやはり長編「雄鳴館殺人事件」で、クローズドサークルの設定から関係者のアリバイ調査、更には謎解き(!)に至るまで本格ミステリのお約束全てにエロを絡めた徹底ぶりが素晴らしい。
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posted at 23:40:29
尤も真相はキワモノミステリ好きにはお馴染みのものながらエロシーンが絶妙なミスディレクションになっている点が秀逸だし、何よりエロ漫画でしかできない皆の前で探偵が犯人とセックスすることで真相が明らかになる前代未聞の謎解きが実に強烈。キワモノミステリ好きには是非お勧めしたい怪作である。
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2018年02月11日(日)
「劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ」観了。いまいち纏りがなかったTV版に対し、本作はワルキューレをメインに再構成したことでテーマがより明確になり、物語もすっきりと分かりやすくなったのは○。さすがにF劇場版には劣るものの、歌とドッグファイトがてんこ盛りで期待以上の出来だった。
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篠原健太「彼方のアストラ」全5巻読了。SFサバイバルをベースに犯人探しとミッシングリンク、そして壮大な構図といったミステリ要素を盛り込んだ作品。本作をSFミステリの傑作として評価することに異論はないが、本格ミステリとしてみると、どちらともとれる伏線が散見されるのが気になる。
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posted at 21:53:26
とはいえミッシングリンクを皮切りに次々と明かされる真相は圧巻であり、これらを纏めあげただけでも作者がただ者ではないのが分かる(ミステリ的センスで言えば、作者は前作「スケットダンス」でもその片鱗を見せていた)。
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2018年02月15日(木)
北山猛邦「ダンガンロンパ霧切6」読了。「犯罪被害者救済委員会」が行う『黒の挑戦』の裏で繰り広げられる、最強のトリプルゼロクラス探偵ジョニィ・アープとの狙撃戦〈スナイピングバトル〉に霧切危うし! そして命を賭けた死亡遊戯の先に待っていたのは密室で狙撃された不可解な死体だった。
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posted at 21:46:56
ゲーム「ダンガンロンパ」のスピンオフシリーズの第六弾。不可能犯罪そっちのけで展開される狙撃戦に最初は戸惑う読者もいるかもしれないが、後半に起こる事件の真相を考えると 、一応ミスディレクションとしての側面もあったのでは、と思えなくはない。
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posted at 21:47:18
しかしだからといって、このトリックを狙ってやるのはさすがに無茶が過ぎる(図解はバカバカしくて嫌いではないが)。本格ミステリとしての完成度としては微妙なところだが、力業過ぎるぶっ飛んだ発想を楽しむという点ではある意味、期待に応えてくれる作品である。
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2018年02月16日(金)
加藤元浩「Q.E.D.iff」9巻読了。夫が妻を殺す事件があった家で怪奇番組を撮影中、人魂と共に現れた白い影に出演者が襲われる「陰火」、イギリスでマフィアの手下の車からボスの死体を発見。被害者が直前まで滞在していた貴族の屋敷で容疑者たちのアリバイの壁に挑む「美しい絵」の二編収録。
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posted at 09:30:20
今回収録された二編のうち、推すとするなら「美しい絵」の方だろう。「美しい絵」はトリックだけ取り出せば新鮮味はないものの、舞台とタイトルにもなっている絵画という小道具を巧く使うことで滋味深い作品に仕上げている。
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加藤元浩「C.M.B.」37巻読了。今回は何と言ってもロボットと被害者一人しかいない小惑星で起きた殺人事件を扱った「鉱区A-11」が傑作。「ナスカの地上絵」(16巻収録)以来の壮大なトリックが実に素晴らしい。
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posted at 13:16:53
宇佐美まこと「熟れた月」読了。癌で余命半年と宣告されたヤミ金業のマキ子、落ちぶれた取り立て屋の乾、陸上部のエース・阿久津先輩に憧れる高校生の結、生まれてから車椅子の生活しか知らない身体不自由な博……一見無関係な彼らの世界が繋がる時、不思議な縁が浮き彫りになっていく――。
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posted at 21:12:22
「愚者の毒」で日本推理作家協会賞を受賞した作者による群像劇ミステリ。この手の作品の醍醐味というとバラバラに描かれていた登場人物たちの物語がどういう風に繋がっていくかという点だが、本作もまたその期待に充分応えてくれる。
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posted at 21:12:37
物語の後半、意外な所から判明するある人物の正体を皮切りに浮き彫りになっていくその繋がりもさることながら、個人的に最も感心したのは、やはり繋がりを明らかにしていく過程で今まで見えていたある事件の構図をもガラリと反転させてしまった点だろう。
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posted at 21:12:54
それにより生まれるドラマが実に切なく、加えて怪奇作家でもある作者の幻想性が物語に絶妙なアクセントを与えているのもいい。尤もミステリ的仕掛けとしてはありふれているといっていいかもしれないが、それでも職人芸のように作り込まれたプロットには見るべきところがある傑作である。
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2018年02月17日(土)
「悪女/AKUJO」観了。血煙舞う凄絶なバイオレンスアクションと絵的な分かりやすさより臨場感を優先した超絶技巧カメラワークが実に圧巻。その一方で古臭さすら感じるメロドラマ部分との温度差が気になったが、それがあるからこそ終盤の容赦ない展開が際立つことを考えると致し方ないところか。
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2018年02月20日(火)
三門鉄狼「探偵女王とウロボロスの記憶」読了。聖信光学院の屋上から元生徒会長・美嘉見麻莉が突き落とされ、その直後に衆人環視の中、姿を消した。その彼女が今度は三日後の夜、複数の人物に目撃される。果たして麻莉は学院に伝わる聖女伝説どおりに復活したのか?
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posted at 22:19:50
以前、百鬼夜行シリーズのパスティーシュ企画「薔薇十字叢書」で「ヴァルプルギスの火祭」という良作を送り出した作者による長編ミステリ。一応本作はオリジナルということだが、結論から言うとどうしようもなく百鬼夜行シリーズだった。
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posted at 22:20:24
但し百鬼夜行シリーズのパスティーシュである「ヴァルプルギスの火祭」と違ってオリジナルである本作でそれをやったらただの物真似でしか過ぎないのが微妙な所であり、加えてラストに持ってきたネタも作者が好きなもう一つのシリーズであるS&Mシリーズの某作を彷彿とさせるのだから余計タチが悪い。
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posted at 22:20:50
また本格ミステリとしてはご法度のネタをやるにしても舞台設定や登場人物の作り込みが甘いせいで全くフォローできておらず、折角の蘊蓄もただの言い訳にしか聞こえないのが痛い。個人的には期待していた作品だっただけに、この結果は非常に残念だった。
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2018年02月21日(水)
円居挽「語り屋カタリの推理講戯」読了。少女ノゾムが難病の治療法を見つけるために参加したデスゲームの条件はただ一つ――謎を解いて生き残ること。奇妙な青年カタリは彼女に“Who”“Where”“How”などにまつわる事件を推理するためのレクチャーを始める。「君に謎の解き方を教えよう」
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posted at 22:23:22
デスゲームにミステリではお馴染みのフーダニット、ホワイダニットといった5W1Hをテーマとして絡めた連作ミステリ。但しデスゲーム物としてみるとキャラや舞台設定の描写がかなりあっさりしているため、命のやり取りをしている緊張感が全くないのが気になる。
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posted at 22:24:41
一方ミステリとしてみるとテーマは魅力的だが、だからといって完成度が高いとは限らないのが難で、定番のネタを捻ったもののそれが巧くやられた感に繋がらず何とも言えないモヤモヤ感が残る。その中で唯一成功作を挙げるならやはり「ウェアダニット・マリオネット」だろう。
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posted at 22:24:58
タイトルからも分かるように真の犯行現場を特定するこの短編は、人工的舞台設定と多重推理により真相に迫っていく過程、そして盲点をつく真相が実にバランス良く成立している。できれば収録作全部をこのクオリティーで読みたかった。
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2018年02月25日(日)
八槻翔「天空城殺人事件」読了。魔王討伐に向かうため、勇者は天空の城に異なる職業の七人を集めた。三人の仲間を選ぶために。だが戦士は城に現れず、その夜に勇者の部屋が荒らされる。そして翌日、法術師の死体が発見された。天空に浮かぶ城で巻き起こる連続殺人事件……果たして犯人とその目的は?
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posted at 17:32:31
王道ファンタジーRPGの設定を使ったクローズド・サークル物の犯人当てミステリ。これまでにもRPGの設定を使ったミステリ作品は幾つかあったが、本作のようにそれぞれの職業の特徴をゲーム的解釈で細かく突き詰めた作品はあまりなかったように思う。
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posted at 17:32:49
そして、その特徴が構成に仕掛けられたある罠と結び付いて、思わぬところからあっと驚かせてくれるのがいい。それに加えて畳み掛けるように裏で動いていたコンゲーム的企みを明かすことで何とも言えないカタルシスを生み出すことにも成功している。
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posted at 17:33:15
ただ一点、作品とは関係ないところでアンフェア気味な部分があるのが気になるが、それさえ目を瞑ればRPGならではの仕掛けが堪能できる本格ミステリの佳作と言っていいだろう。
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posted at 17:33:30