麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年07月30日(金)
岡崎琢磨「Butterfly World 最後の六日間」読了。VR空間〈バタフライワールド〉にログインしたアキはログアウトせず現実世界に戻らない者たちが暮らす〈紅招館〉を訪れる。だが予期せぬトラブルで館は孤立、更に非暴力が徹底されているはずの館で何者かに殺されたと思しき住人の死体が発見される。
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posted at 15:08:54
VR空間で起きる不可能犯罪を描いた長編ミステリ。次々と起きる密室状況の事件は魅力的だし、現実世界とリンクさせることで青春ミステリとしての側面もアピールしたいという気概が感じられるものの、正直VRを題材にしたミステリとしてみると既存のネタばかりで目新しさが感じられないのが難。
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posted at 15:09:11
とはいえ第三の事件に関しては一筋縄ではいかない工夫が凝らされており、そこから巧く犯人当てのロジックに繋げている点は○。現実世界とリンクさせればさせるほど世間の狭さが感じられてしまう欠点もあるが、VRミステリをこれまで読んだことがない人であれば新鮮に楽しめる作品である。
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posted at 15:09:32
知念実希人「硝子の塔の殺人」読了。雪深き森で燦然と輝く硝子の塔。そこにミステリを愛する大富豪の呼びかけで刑事、霊能力者、小説家、名探偵など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれ、次々と惨劇が起こる。名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬は果たして事件の謎を解くことができるのだろうか?
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posted at 20:43:05
医療ミステリの書き手による本格ミステリ。本作を読んでまず気になるのは大富豪や名探偵兼ミステリマニアの言葉を借りて披露されるミステリ愛であり、時にその浅はかさが鼻につきつつつも、もたれそうな重たさに本格ミステリ好きであればあるほど辟易するかもしれないが、その反応はズバリ正しい。
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posted at 20:43:27
言うなれば本作は特定の本格ミステリに対する一方的なラブレターであり、それは本作に寄せられた一部の推薦文にもよく表れている。しかもラブレターにしてしまったことで、ダミーの解決の方がまだミステリとしてマシだったのではと思ってしまう点も本作の迷走ぶりに拍車をかけている。
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posted at 20:43:57
一応ツイストが幾つか用意されているのでそれなりに読ませてはくれるものの、正直これを読まされたミステリ読みはどんな顔をすればいいか分からなくなること請け合いの問題作である。
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posted at 20:44:13
2021年07月31日(土)
雨穴「変な家」読了。知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せるとこの家はそこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。間取りの謎を辿った先に見たものとは?
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posted at 14:56:06
ネットで話題になった同タイトルのフェイクドキュメンタリーを加筆して書籍化したもの。タイトル通り本作の主人公はあくまで家であり、ある家の間取り図における不自然な点に着目し、様々な仮説を経て意外な事実に辿り着く過程は正にミステリの醍醐味と言えるだろう。
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posted at 14:56:40
特に秀逸だったのは第三章で出てくる過去の事件であり当時の証言と間取り図、そしてそれまでに分かった事実を結び付けることで見えてくる異常な光景が実にスリリング。とはいえ面白かったのはそこまでで以降は安直なホラーに流れてしまう点が残念だが間取り図メインの異色作として楽しめる作品である。
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posted at 14:56:55