麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年07月31日(土)
特に秀逸だったのは第三章で出てくる過去の事件であり当時の証言と間取り図、そしてそれまでに分かった事実を結び付けることで見えてくる異常な光景が実にスリリング。とはいえ面白かったのはそこまでで以降は安直なホラーに流れてしまう点が残念だが間取り図メインの異色作として楽しめる作品である。
タグ:
posted at 14:56:55
ネットで話題になった同タイトルのフェイクドキュメンタリーを加筆して書籍化したもの。タイトル通り本作の主人公はあくまで家であり、ある家の間取り図における不自然な点に着目し、様々な仮説を経て意外な事実に辿り着く過程は正にミステリの醍醐味と言えるだろう。
タグ:
posted at 14:56:40
雨穴「変な家」読了。知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せるとこの家はそこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。間取りの謎を辿った先に見たものとは?
タグ:
posted at 14:56:06
2021年07月30日(金)
一応ツイストが幾つか用意されているのでそれなりに読ませてはくれるものの、正直これを読まされたミステリ読みはどんな顔をすればいいか分からなくなること請け合いの問題作である。
タグ:
posted at 20:44:13
言うなれば本作は特定の本格ミステリに対する一方的なラブレターであり、それは本作に寄せられた一部の推薦文にもよく表れている。しかもラブレターにしてしまったことで、ダミーの解決の方がまだミステリとしてマシだったのではと思ってしまう点も本作の迷走ぶりに拍車をかけている。
タグ:
posted at 20:43:57
医療ミステリの書き手による本格ミステリ。本作を読んでまず気になるのは大富豪や名探偵兼ミステリマニアの言葉を借りて披露されるミステリ愛であり、時にその浅はかさが鼻につきつつつも、もたれそうな重たさに本格ミステリ好きであればあるほど辟易するかもしれないが、その反応はズバリ正しい。
タグ:
posted at 20:43:27
知念実希人「硝子の塔の殺人」読了。雪深き森で燦然と輝く硝子の塔。そこにミステリを愛する大富豪の呼びかけで刑事、霊能力者、小説家、名探偵など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれ、次々と惨劇が起こる。名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬は果たして事件の謎を解くことができるのだろうか?
タグ:
posted at 20:43:05
とはいえ第三の事件に関しては一筋縄ではいかない工夫が凝らされており、そこから巧く犯人当てのロジックに繋げている点は○。現実世界とリンクさせればさせるほど世間の狭さが感じられてしまう欠点もあるが、VRミステリをこれまで読んだことがない人であれば新鮮に楽しめる作品である。
タグ:
posted at 15:09:32
VR空間で起きる不可能犯罪を描いた長編ミステリ。次々と起きる密室状況の事件は魅力的だし、現実世界とリンクさせることで青春ミステリとしての側面もアピールしたいという気概が感じられるものの、正直VRを題材にしたミステリとしてみると既存のネタばかりで目新しさが感じられないのが難。
タグ:
posted at 15:09:11
岡崎琢磨「Butterfly World 最後の六日間」読了。VR空間〈バタフライワールド〉にログインしたアキはログアウトせず現実世界に戻らない者たちが暮らす〈紅招館〉を訪れる。だが予期せぬトラブルで館は孤立、更に非暴力が徹底されているはずの館で何者かに殺されたと思しき住人の死体が発見される。
タグ:
posted at 15:08:54
2021年07月29日(木)
真壁の過去に関してあえてどっちとも取れる描き方をしていたところにある事実を明かすことで読者を疑心暗鬼にさせてからぶちこまれる真相の破壊力はなかなかのもので、その上で読者の想像に委ねる結末にしているのがまたイヤ感に拍車をかけている。
タグ:
posted at 23:27:29
結婚を目前に控えた男・真壁に脅迫状を送りつけた人物を女探偵が突き止める長編ミステリ。なぜ脅迫されているかを掘り下げていく過程で明らかになる真壁の過去や弁護士である作者の経験を活かした探偵の調査も読み応えはあるが、一番の見所は何と言ってもタイトルに象徴されるどす黒い真相だろう。
タグ:
posted at 23:27:08
織守きょうや「花束は毒」読了。「結婚をやめろ」との手紙に怯える元医学生の真壁。彼には脅迫者を追及できない理由があった。そんな真壁を助けたい木瀬は探偵に調査を依頼しようと考える。奇しくも木瀬が依頼した探偵は中学時代、探偵見習いを自称して生徒たちの依頼を請け負っていた北見理花だった。
タグ:
posted at 23:26:45
推理の積み重ねの果てに待つこの特殊設定でしか成立しないトリックと動機、更に探偵と犯人の新たな関係を提示することで恐怖の物語を哀切極まりない物語へと反転させてみせた技巧には正直脱帽と言わざるを得ない。本作は特殊設定ならではの仕掛けを使い物語を美しく演出することに成功した傑作である。
タグ:
posted at 18:16:24
加えて今回は倒叙ミステリや安楽椅子探偵の趣向も盛り込んでおり、それによって探偵役の凄みを見せ付けると共に碓氷優佳ばり(!)の策を弄して犯人は勿論読者をも唖然とさせてみせる。だが本作が凄いのはむしろその先の展開だろう。
タグ:
posted at 18:16:03
「屍人荘の殺人」から始まる特殊設定ミステリシリーズ第三弾。今回はモンスターパニックホラー×本格ミステリというべき内容で大分「屍人荘」に寄った印象だが同じクローズドサークルでも今回は探偵役曰く「私たち自身が留まることを選ばざるを得ないクローズドサークル」を作り出しているのが面白い。
タグ:
posted at 18:15:22
今村昌弘「兇人邸の殺人」読了。廃墟テーマパークに聳える兇人邸。班目機関の研究資料を探し求めるグループと共に兇人邸に侵入した葉村譲と剣崎比留子を待ち構えていたのは無慈悲に首を斬り落とす怪物だった。同行者が次々と首のない死体となる中、比留子が行方不明に。更にもう一人殺人者の影が――。
タグ:
posted at 18:15:07
そのシンデレラ部分にしても途中からオリジナル要素がどんどん追加されていくので、最終的にはシンデレラと言っていいのかもかなり怪しいだろう。どちらかというとシンデレラオマージュとしてではなく逆転裁判パロディーの変わり種として読んだ方が楽しめる作品である。
タグ:
posted at 02:58:30
シンデレラを題材にしたファンタジーミステリ。しかしながら事件が起きて以降、法廷劇が始まってからの展開はキャラのやり取りから真犯人のパターンまでまんま逆転裁判であり、正直シンデレラをやりたいのか逆転裁判のパロディーをやりたいのか読んでいて判断に困る(爆)。
タグ:
posted at 02:58:02
紺野天龍「シンデレラ城の殺人」読了。幼い頃に父親を亡くし継母や義理の姉たちと共に暮らすシンデレラは怪しい魔法使いにガラスの靴を渡され言葉巧みに王城で開かれる舞踏会へと誘われるがそこで王子殺しに巻き込まれ容疑者にされてしまう。自身の無実を証明するためシンデレラは法廷に立つことに――。
タグ:
posted at 02:57:11
2021年07月28日(水)
そこで語られる動機の衝撃はある意味前作「碆霊の如き祀るもの」以上であり、その動機から組み立てられた狂気の構図は正にホラーミステリに相応しいものであると同時に、かなり早い段階からミスディレクションが仕掛けられていたことに驚かされることだろう。
タグ:
posted at 20:53:14
しかしながらそれも終盤の謎解きに入ると一変、これまたこのシリーズの読者にはお馴染みの刀城言耶による多重推理もといトンデモ推理の連打が始まり「一体この人は何を言い出すんだ?」といい意味で唖然とさせられること請け合いだが何よりも凄いのはそのトンデモ推理すらも超越する驚愕の真相だろう。
タグ:
posted at 20:52:21
刀城言耶シリーズの長編八作目。冒頭でシリーズお馴染みの怪異が描かれるものの、本作の大半は「忌名の儀礼」という儀式の最中に起きた一件の殺人事件と儀式及びそれを取り巻く状況の説明に費やされており、その丹念すぎる描写はともすると退屈に感じる読者もいるかもしれない。
タグ:
posted at 20:51:30
三津田信三「忌名の如き贄るもの」読了。「この忌名は、決して他人に教えてはならん……もしも何処かで、何者かに、この忌名で呼ばれても、決して振り向いてはならん」――生名鳴(いななぎ)地方の虫くびり村に伝わる「忌名の儀礼」の最中に起きた不可解な殺人事件。なぜ犯人は儀式の最中に殺したのか?
タグ:
posted at 20:50:22
その一方で本作にはシリーズならではのちょっとした仕掛けもあり、それとメインの事件の間に直接的繋がりがない点はやや残念ではあるものの、メインの事件の謎解きに入る前のツイストとしては悪くない。あくまでシリーズ読者向けの内容ではあるが、出来としては久々の良作と言っていいだろう。
タグ:
posted at 00:21:31
謎めいた使用人・栗花落静(ツユリシズカ)が探偵役を務めるシリーズの五作目。本作はこれまでのシリーズの中では最も設定とミステリ的仕掛けが巧くかみ合っており、シンプルながらも盲点をついたトリックもさることながら犯人の動機とその最期にもきちんと説得力があるのは○。
タグ:
posted at 00:21:04
月原渉「炎舞館の殺人」読了。体の一部が欠落した者たちが陶芸で身を立てる山奥の函型の館で師匠が行方不明となり程なくして窯の中から弟子の一人のバラバラ死体が発見された。奇妙なことに死体からはなぜか胴体だけが持ち去られていた。やがて館が嵐で孤立する中、今度は首がない死体が発見されて――。
タグ:
posted at 00:20:22
2021年07月27日(火)
加えて事件の背景の描き込みが足りないためにせっかくのどんでん返しや動機にいまいち説得力がなく、むしろどんでん返しをしなかった方が良かったのではないかと思ってしまう部分が散見されるのが難。とはいえ人を人とも思わないトリックには光るところもあるので、次回作に期待したい。
タグ:
posted at 21:02:51
光文社による本格ミステリ限定の新人発掘プロジェクト〈カッパ・ツー〉第二弾作品。冒頭から「獄門島」や「夏と冬の奏鳴曲」を彷彿とさせる設定ややり取りが出てきて本格ミステリ好きをその気にさせるが読み終わってみると良くも悪くも普通の本格ミステリの粋を出ない点は好みが分かれるところだろう。
タグ:
posted at 21:01:59
犬飼ねこそぎ「密室は御手の中」読了。深山の奥深くにある新興宗教『こころの宇宙』の総本山・心在院では百年前、瞑想中の修験者が施錠された堂から消え、山中で発見されたという逸話があった。ある事情からその心在院にやってきた探偵が巻き込まれる凄惨な連続密室殺人は神の起こした奇跡なのか?
タグ:
posted at 21:00:15
また過去の事件にしてもある人物の行動が後に警察の捜査を裏付けていく点にはさりげない巧さが感じられるだろう。ただその一方で現代が舞台の話とは思えない、登場人物たちの昭和的価値観がやや気になるが、それに目を瞑りさえすれば充分良作と言える出来である。
タグ:
posted at 02:20:27
本作では目次からも窺える通り合計四つの事件が起きているが、特筆すべきは第一の事件の真相及び第二の事件を引き起こすに至った理由であり、ある人物の設定を巧みに活かしたミスディレクションはさすがの一言に尽きる。
タグ:
posted at 02:19:13
函館で起きた殺人事件の謎をフランス人の青年・ジャン・ピエールが解き明かすシリーズの三作目。本作もまたこれまでのシリーズ同様、警察の地道な捜査をメインに描いているが、それにも拘わらず殺人事件が次々と起きていく過程はややもすると読者に警察の無能ぶりを印象付けてしまうかもしれない。
タグ:
posted at 02:18:30
平石貴樹「葛登志岬の雁よ、雁たちよ」読了。函館近郊のある家で主婦が殺された。奇妙なことに死体の額は十字に傷つけられていた。加えてその近所では少し前に白骨死体が発見されているという。犯人に繋がる糸口が見えてこない中、やがて新たな殺人が起きるが、死体の額にはまたしても十字の傷が――。
タグ:
posted at 02:17:52