麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年12月30日(木)
とはいえ色々と物足りなかった前作に比べるときちんとインパクトのあるネタが用意され、かつそれをいかにして成立させるかという点で苦心の跡が窺える怪奇本格ミステリの良作である。
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posted at 21:20:58
例えば某国内作家Nを思わせるアレ系知識を活かしたトリック(特にメイン)は充分バカミスとして許容範囲だし、最後のオチにしても某古典ミステリを引き合いに出すまでもなく極めてよくあるものだ。むしろ前述したバカミスネタに対し最後のオチの方が弱く感じてしまうのが難と言えるかもしれない。
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posted at 21:20:44
「本作は変格探偵小説なのか? はたまた異形の本格なのか?」とは本作に寄せられた著者のことばだが、昨今の多様化した現代国内本格からしてみると本作は問題なく本格ミステリにカテゴライズされる作品であると思う。
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posted at 21:20:28
前作「墓地裏の家」から十年ぶりとなる三作目の長編ミステリ。本作もまた探偵小説とB級ホラー映画をこよなく愛する作者らしい作品となっており中盤までの展開はオーソドックスなクローズド・サークル物の本格ミステリ風だが、それ以降は異端信仰、異常心理学に彩られた怪奇趣味が濃厚になっていく。
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posted at 21:19:49
倉野憲比古「弔い月の下にて」読了。かつて隠れキリシタンの島民が大量死したという曰く付きの
島・弔月島。軽い気持ちで島にやってきた大学院生の夷戸ら三人はそこに建つ淆亂館(ばべるかん)の使用人たちに拉致され、館に軟禁される。そしてその夜、館の主人と思しき顔のない死体が発見されて――。
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posted at 21:18:47
2021年12月23日(木)
とはいえメインのネタは分かりやすいため意外性はあまりない反面、事件の演出は堂に入っており、約束された大破局に向かって疾走感と共にひたすら突き進んでいく後半の展開は出色の出来。前作と本作でかなり路線が違うため好みは分かれるかもしれないが少なくとも完成度においては本作の方が上である。
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posted at 21:53:48
「呪殺島の殺人」の続編。クローズド・サークル物の本格ミステリ路線だった前作から一転、本作ではだいぶ伝奇色が強化されており、雰囲気的には小野不由美「黒祠の島」に近いかもしれない。またプロット面でも後半になるにつれて散漫になっていった前作に対し本作は徹頭徹尾纏まっているのも好印象。
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posted at 21:53:28
萩原麻里「巫女島の殺人 呪殺島秘録」読了。巫女が死者の魂を呼ぶ秘儀が今も行われているという瀬戸内海に浮かぶ千駒島から隠蔽された過去の事件と新たな死を予告する手紙が届いた。調査に向かった僕たちを待っていたのは、巫女が十八歳を迎える特別な年に行われる秘儀と不可解な連続殺人だった。
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posted at 21:53:05
2021年12月22日(水)
「ザ・リッパー」観了。NYで次々と若い女を惨殺するアヒル声の殺人鬼の正体に迫るジャッロ物。残虐な殺人描写とエロスが交錯する実にフルチらしい作品ながら物語としては一部謎は残るが破綻なく纏まっているのが意外。また殺人鬼の正体に関してはあのシーンをどう捉えるかで評価が分かれるところか。
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posted at 23:26:07
本作は作者の本格ミステリは好きだけど、このシリーズのサイコサスペンス的なノリはちょっと……と敬遠していた読者にこそぜひ読んでもらいたい、フーダニット本格の佳作である。
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posted at 11:59:21
拷問を繰り返す動機に関しては中盤であっさり判明するのだが、その過程で焦点となるある手記や主人公が見聞きした出来事を手掛かりに綱渡りのロジックを駆使して意外な犯人を浮かび上がらせる終盤の展開は正に本格ミステリの醍醐味と言っていいだろう。
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posted at 11:59:05
女性刑事・氷膳莉花が未決死刑囚で天才的な犯罪心理学者・阿良谷静の協力のもと連続猟奇殺人犯を追うシリーズの三作目。今回のテーマは拷問ということでなぜ犯人が被害者に拷問を繰り返すのかその動機に目がいきがちだが、本作最大の見所は実はそこではなくフーダニットにこそある。
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posted at 11:58:47
久住四季「異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 嗜虐の拷問官」読了。莉花が本庁捜査一課に異動となった矢先に都内で発見された死体は車により執拗に手足だけを轢き潰されていた。最初は被害者の身許から私刑と見られたが、阿良谷静は目に釘を刺す別の殺人事件を挙げ、同一犯による快楽殺人だと指摘する。
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posted at 11:58:25
2021年12月21日(火)
尤もそこから繋げた最後の仕掛けに関しては途中で気付くかもしれないが、たとえ気付いたとしてもなぜこれが最初の事件なのかというホワイが絶妙な説得力となってそれを補っているのがいい。個人的にはこれまで発表された三作の中で最もホラーとミステリのバランスが優れた作品である。
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posted at 23:25:06
そして何より特筆すべきはきちんと作中作である必然性が用意されている点であり、それと怪異を巧く結び付けて、ある人物の隠された秘密をサプライズと共に浮かび上がらせることに成功している。
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posted at 23:24:43
やがて作中の怪異が現実でも起こり始め、原稿を読むことで怪異から逃れるヒントとなぜ現実でも起こり始めたのかその謎を探ろうとする展開は三津田信三「作者不詳 ミステリ作家の読む本」を彷彿とさせると共にホラー寄りだった前作よりもミステリらしさを感じさせて好印象。
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posted at 23:23:47
ホラー作家で怪異譚蒐集家の那々木悠志郎が様々な怪異に遭遇するホラーミステリシリーズの三作目。今回はサブタイトルにある通り那々木が初めて体験した怪異譚を描いた未発表原稿を彼の担当編集者が読むという作中作形式となっている。
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posted at 23:23:13
阿泉来堂「忌木のマジナイ 作家・那々木悠志郎、最初の事件」読了。ホラー作家・那々木悠志郎の担当編集となった久瀬古都美は彼が初めて体験したという怪異譚を題材にした未発表原稿を読むことに。だが原稿を読み進める古都美の許に作中の出来事のはずだった怪異『崩れ顔の女』が現れ始めて――。
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posted at 23:22:41
加えて事件自体が地味すぎるものが多く折角構図の反転をしてもパッとしない、たまにちょっと面白そうな謎が出ても真相が面白くないなど残念な部分が目につく。一応最後に連作を活かした仕掛けがあるものの作者の別の連作でも同じネタをやっているため、いまいち評価しづらい作品である。
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posted at 00:13:28
「心臓と左手」から続く飲み食いしながら座間味くんが安楽椅子探偵形式で謎を解く全七編の短編集。今回の語り手に関してはこのシリーズの原点である「月の扉」から読んでいる読者からするとなかなか感慨深いものがある一方で前作「パレードの明暗」に感じたマンネリ感が未だ解消されていないのが難。
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posted at 00:12:30
石持浅海「新しい世界で」読了。若手起業家と空き巣の争い、猫が齎した複雑な出会い、キャンプ場で一人テントを広げるスーツの女……大学生の玉城聖子が不可解な話を肴に時折酒を酌み交わすのは警視庁の幹部と、座間味くんと呼ばれる会社員の中年男性。杯が進むほど推理は冴え意外な真相が露わになる。
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posted at 00:12:15
2021年12月18日(土)
「マトリックス レザレクションズ」観了。物語的にはこれまでの話と繋がるように辻褄こそ合わせているものの残念ながらその他の要素――アクション、音楽、映像センスに新しさは一切感じなかった(むしろシーンによっては古臭さやチープ感すら覚えてしまった)。ただ前半のメタ的見せ方は嫌いではない。
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posted at 20:05:15
次点は十二対一のリリィの孤独な戦いを描いた4章で本編ばりの緊迫感に満ちたコンゲームもさることながら、本編ではギャグ的見せ方だったあるシーンを胸温まるエピローグとして演出したラストが秀逸。その他アネット好きとしてはバイトするアネットというアネットの新たな一面を引き出した1章も○。
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posted at 14:01:13
特に良かったのは今は亡き憧れの女スパイ・紅炉の遺言を巡る5章で、ラブコメ的ドタバタを盛り込みつつも遺言に隠された意味は思った以上にシビアで、そのギャップに驚かされる反面、つらい過去を乗り越えたティアの姿が4巻のエピローグとしてこれ以上なく決まっているように思う。
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posted at 14:01:00
「スパイ教室」シリーズの短編集第二弾。作者曰く今回収録された五編は本編3巻から4巻までの物語とのことだが前回の短編集のコンセプトが「スパイ教室・ラブコメ篇その①」だったのに対し今回はコミカルな話とシリアスな話半々といった印象で、だいぶバランスの取れた内容になっている。
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posted at 13:58:25
竹町「スパイ教室 短編集02 私を愛したスパイ先生」読了。アネットのバイト、サラの初デートに奮起するティア、豪華客船でのエルナの受難、十二人の刺客に追い詰められたリリィの孤独な戦い、そして今は亡き紅炉がティアに遺したメッセージ「クラウスは、アナタを ている」の真意とは……?
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posted at 13:58:03
2021年12月15日(水)
そしてそのバトルの決着の付け方にしても設定が出た段階で何をやろうとしているのか容易に読めてしまうのもいただけない。少なくともバトルや駆け引きの描写はそれほど巧いとは思えないので無理に異能バトルに走らず、前半の展開を活かした青春ストーリーを貫いた方が良かったのでは。
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posted at 19:52:15
第17回MF文庫Jライトノベル新人賞<最優秀賞>受賞作。西尾維新の影響を色濃く感じさせる本作だが、それでも前半は内容紹介にあるように奇妙奇天烈でいい意味で先の読めない展開となっているが問題は中盤以降、本題である『嘘殺し』に入ってからはよくある中二的異能バトルになってしまうのが残念。
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posted at 19:51:54
両生類かえる「海鳥東月の『でたらめ』な事情」読了。クラスメイト・奈良芳乃から突如、鉛筆泥棒の被害相談を受けた海鳥東月だったがその日帰宅した彼女の許に謎の少女・でたらめちゃんが訪ねてくる。トイレの貸し借りから始まる数々の騒動を経て気が付くと海鳥は『嘘殺し』に協力することになり……?
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posted at 19:51:40
2021年12月14日(火)
「ELEVATED」観了。タイトル通りエレベーターを舞台にした「CUBE」の原型とも言うべきスリラー短編映画。単純に「CUBE」と比較する面白さもあるが単体として観ても疑心暗鬼に陥った男女のサスペンスと皮肉なオチが実に秀逸。謎解き興味よりも星新一のショートショートみたいなものとして楽しむのが吉。
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posted at 19:52:48