麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年04月07日(土)
では具体的にはどこが異色なのかといえば本作は本来謎を解くことで秩序を齎す筈のミステリでいながら事件の構図はもとより、物語全体を当時の社会情勢を反映したような混迷で塗り固めており、故に真相が明かされても霧の中にいるような読後感が付き纏う。好みは分かれるが一読の価値はある作品である。
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〈刑事ショーン・ダフィ〉シリーズの一作目。猟奇殺人を扱った警察小説ながら時折妙に詩的な雰囲気が漂う本作は、事件の捜査と共に度々激化していく当時の紛争の模様が描かれるが、それは本作にとって必要不可欠なものであり、本作を異色の警察小説たらしめている。
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エイドリアン・マッキンティ「コールド・コールド・グラウンド」読了。混迷を極める80年代の北アイルランドで起きた奇怪な事件。被害者の体内からはオペラの楽譜が発見され現場には切断された別人の右手が残されていた。やがて事件を追う刑事ショーンの許に「迷宮」と記された犯人からの手紙が……。
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2018年04月05日(木)
もっともそのツッコミどころは後半に伏線として一応回収されるものの、それでもトリックのためのトリックというか全体的に作者の都合で物語(及び登場人物)が動きすぎな印象が否めない。例えるなら悪い意味で「こんなコンビニはイヤだ」と全力で言いたくなる作品である。
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そのため主人公とヒロインによる決まり文句的なやり取り(「せんぱい、このコンビニにまた新しいお客さん(ミステリー)がお越しになりましたねっ!」「ミステリーはお客さんじゃない」)がものすごい勢いで滑っているのが、かなり痛々しい。
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第56回メフィスト賞受賞作。コンビニを舞台にした日常の謎連作である本作は第一話からツッコミどころが半端ない。というのも登場人物全員が普通に考えたら絶対にとらない行動をとる上に悉く推理が机上の空論で説得力がないのだ(特に第一話はツッコミどころが多すぎて、もはや意味不明なレベル)。
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秋保水菓「コンビニなしでは生きられない」読了。大学を中退した白秋にとって唯一の居場所はバイト先のコンビニだった。そこに女子高生の黒葉深咲が研修でやってきた日から起きる不可解な事件の数々。二人が謎を解いていくにつれ、事態はやがて店の誰もが口を閉ざす過去の盗難事件へと繋がっていく。
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2018年04月03日(火)
ミステリとして選ぶなら気付きのポイントと反転する構図が堪らない第1話「自画像・メロス」と第2話「鬼の貌」だが、物語としてはやはり主人公の過去との対峙と成長に友人の窮地をどう救うかというタイムリミットサスペンス的シチュエーションを絡めた第3話「怖いもの」が最も読み応えがある。
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海新高校ジャーナリズム研究会――通称ジャナ研に所属する工藤啓介が日常の謎を解き明かす連作ミステリシリーズの三作目。収録作はいずれも何気ないエピソードとの繋がりが抜群に巧く、それらが浮き彫りにする隠れた人間ドラマが実に秀逸。
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酒井田寛太郎「ジャナ研の憂鬱な事件簿3」読了。「自画像・メロス」という奇妙な絵画に秘められた謎、山に入っていった少女と鬼の伝説の関連性、子供の頃に経験した怖い記憶の正体……ジャナ研所属の工藤啓介が解き明かす三つの謎の真相とは? そして、気になる先輩・白鳥真冬との関係に変化が……。
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2018年03月30日(金)
作者がこれまで書いてきた作品に比べるとキャラや物語の展開はぎこちないし、ミステリ部分をみても名探偵チビーを書いた作者とは思えぬほど論理の切れ味が鈍い。伏線回収にしても、どうとでも取れる伏線ばかりなのでいまいちやられた感が薄く、個人的には作者の本領を見誤った作品としか思えなかった。
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盲目の娘が話を聞いただけで難事件の真相を見抜く安楽椅子捕物帖連作。ジュブナイル物を主に手掛けてきた作者初の大人向けミステリということで捕物帖という新境地に挑んだのだろうが、その試みは残念ながら成功しているとは言い難い。
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新庄節美「修羅の夏 江戸冴富蔵捕物暦」読了。密室状況の御隠居殺し、二転三転する若い母親の首吊り事件、夕立ちの後の後家殺し……南町奉行所同心・門奈弥之助の手先である富蔵が関わった三つの事件の謎をたちどころに解き明かしたのは二歳の時に失明した十六になる弥之助の一人娘・お冴だった。
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2018年03月29日(木)
そして三編目の「夏の合宿殺人事件」では探偵コンビの背景を描くと共に麻耶作品ではお馴染みの名探偵とは何か?というテーマに踏み込んでおり、それをベースにした推理対決が実に熱い。もし「伊賀の里殺人事件」で気後れしてしまったとしても最後まで読めばこの作者らしい満足感が得られる佳作である。
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逆に二編目以降は最初から小説として考案されたためかだいぶ読みやすく、かつ作者らしいキレッキレのミステリを堪能できる。特に二編目の「夢うつつ殺人事件」はワンアイディアベースの構図の反転と犯人の絞り込みが秀逸で、気持ちよく読者を騙してくれる内容に仕上がっている。
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posted at 22:24:48
探偵を目指す女子高生コンビが三つの殺人事件の謎を解く連作ミステリ。一編目の「伊賀の里殺人事件」は元々テレビ番組用に作者が考案した犯人当てを小説化したもので、ネタはともかく映像作品だからこそ何とかなっていた情報量を無理やり詰め込んだせいか読み物としてみるとかなりキツい印象を受ける。
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麻耶雄嵩「友達以上探偵未満」読了。探偵好きの女子高生コンビ・ももとあおの周囲には奇妙で不可解な謎がたくさん。伊賀の里の謎解きイベントで起きた見立て殺人、夢うつつで聞いた殺人計画、夏合宿で発生した殺人事件――ももの直観力とあおの論理力を生かし、二人は事件を推理していくが……。
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2018年03月28日(水)
その他「薬味と甘味の殺人現場」では不可解な殺人現場のホワイダニットを巡る論理のアクロバットが目を引くし「夜を見る猫」では作者の猫好きっぷりが微笑ましい。総じて作者のファンであれば楽しめる作品集である。
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posted at 22:21:42
ミステリとしてみるとベストは表題作で、荒唐無稽な推理を成立させるべく考案された舞台設定と、シニカルかつ非情な結末のギャップが何とも味わい深い。また久々の猫丸先輩シリーズの中編「猫丸先輩の出張」は密室のハウダニットよりもむしろ動機部分に見所がある。
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posted at 22:21:28
非ミステリ含むバラエティに富んだ五編に作者の看板探偵である猫丸先輩シリーズの中編を加えた、「なぎなた」「こめぐら」を彷彿させる作品集。収録作はいずれも作者の引き出しの多さが窺える語りの妙が堪能できる他、昨今のニュースからヒントを得たと思しき点が見受けられるのが興味深い。
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posted at 22:21:10
倉知淳「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件」読了。戦争末期、帝國陸軍の研究所で若い兵士が倒れていた。屍体の周りの床には、なぜか豆腐の欠片が散らばっていた。どう見ても兵士は豆腐の角に頭をぶつけて死んだ様にしか見えなかったが――? 表題作の他、猫丸先輩シリーズ最新作など全六編収録。
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posted at 22:20:50
キャラの立った泥棒たちがそれぞれの特性を活かしてどうお宝に迫っていくかという点も見所だが、今回は前作では物足りなかったミステリ要素もきちんと盛り込まれており、意外なところからくる巧みな伏線回収と鮮やかな推理、そしてハッタリのきいた『ネクロノミコン』の秘密が実に秀逸。
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スカーレット・パラソルシリーズの二作目。孤島に建つ絢爛豪華なホテルを舞台に第一級の泥棒たちがクトゥルー物ではお馴染みの『ネクロノミコン』を奪い合うという内容もさることながら、前作よりも逞しくなった愛梨とそのボーイフレンドで名探偵の孫の六平の活躍が読んでいてすこぶる楽しい。
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新庄節美「聖夜は黒いドレス」読了。美少女怪盗〈スカーレット・パラソル〉こと愛梨のもとに日本泥棒競技会からの招待状が届いた。今回のテーマは世界に六部しかないと言われる稀覯書『ネクロノミコン』を栞つきで盗んでくること――参加する第一級の泥棒たちに対し、果たして愛梨に勝ち目はあるのか?
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2018年03月27日(火)
スカーレット・パラソルシリーズの一作目。王道の怪盗物の流れを踏まえつつも怪盗の孫と名探偵の孫、二つの視点で描かれる初仕事の模様は実に初々しく、かつ痛快で往年の赤川次郎作品を彷彿とさせる。怪盗物としては勿論のこと、ボーイミーツガール物としても爽やかな印象を残す快作である。
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新庄節美「はじまりは青い月」読了。阿藤愛梨の家は代々「奪うは悪、悪を制するが善、奪うを懲らすは正義」を家訓としてきた義賊の家系だった。二代目・紅蝙蝠としてデビューしたスカーレット・パラソルこと愛梨の前に立ちふさがるは、名探偵・武市大五郎の孫。果たして彼女の初仕事の行方は?
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2018年03月24日(土)
またSF展開を完全に否定するわけではないが、ここまでそちら側に偏ってしまうとどうにもこのシリーズ本来の持ち味から遠ざかってしまった気がしてならない。このシリーズは現状本作が最終作となるが、最後にしては妙にすっきりしないものが残ってしまった。
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ホラータウン・パニックシリーズの三作目。ホラー公園というタイトルとは裏腹に内容は完全にSF物になっており、時おり挿入される謎めいたモノローグが物語を盛り上げてくれる。しかしながらSFとしてみると一連の事件の根幹に関わる肝心な部分をぼかしているのが気になる。
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新庄節美「ホラー公園の怪鳥」読了。アルバがタイムマシンを完成させ、ベーコンとミックリはその実験に立ち会うことになった。だが、実験は失敗。ところがその実験が大きな事件に発展してしまう。クラスメイトが目撃したという謎の怪鳥に纏わる驚くべき事実とは?
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