麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年01月12日(水)
その一つが「名探偵の掟」の原点とも言うべき短編「名探偵退場」である。かの有名な「魔王館殺人事件」を解決して以降、長らく現役を退いていた名探偵の許に久々に事件の依頼が……というこの短編は「名探偵の掟」同様、本格ミステリのお約束を知っていると、そこかしこでニヤニヤできることだろう。
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東野圭吾「あの頃の誰か」読了。何らかの事情で長らく単行本に収録されなかった「わけあり」の八つの短編からなるノンシリーズ物のミステリ短編集。「わけあり」だけあって微妙な出来のものもあるが、一方でようやくこれが……という念願の短編が収録されている点も見逃せない。
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だがミステリ的に一番見所があるのは表題作とは対称的な「あきらめの悪い相談者」だろう。毎回くだらない事で執拗に食い下がり迷惑がられていた相談者が起こした殺人事件。被害者探しと言うべき内容で盲点とも言える解答が面白い。全体的に手堅い出来の業界ミステリと日常の謎が融合した短編集である。
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第一回創元推理短編賞受賞作だけあってよくできていると思う反面レッドヘリングと言えるものが全くないため与えられた手掛かりを結び付けるだけで自然と真相が見えてしまうのが難点だが続く「規則正しいエレベーター」ではそれを反省してかそれなりに煙幕を張って真相を見えにくくしているのが好印象。
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剣持鷹士「あきらめのよい相談者」読了。弁護士、剣持鷹士の身の回りで起こった四つの事件を親友のコーキが説き明かす連作推理短編集。表題作は、そのタイトル通り複数の弁護士に同じ相談を持ち掛けてはあっさり引き下がる奇妙な相談者の謎を扱っている。
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2011年01月09日(日)
特に圧巻なのは第二の事件の秒刻みで行われたトリックだ。この時の犯人の心情を思うとついご苦労様と言いたくなってくる(爆)。また最後の事件のヒントがあんまり過ぎて思わず笑ってしまったw その他にも盲点とも言えるものをトリックに使うなど様々なアイディアが本作には盛り込まれている。
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本作は話だけ取り出してみると、正に2時間サスペンスそのものと言っていいだろう。しかし、なかなかどうしてこれがミステリ的に見所の多い作品なのだから恐れ入る。ほぼ全ての証拠が黒であることを示している八方塞がりな状況を、ラスト一章で一気にひっくり返す様は実に爽快である。
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池田雄一「出雲3号 0713の殺意」読了。「おれは無実だ」会社社長殺害の嫌疑をかけられた恋人の信一はその電話を最後に消息を断った。信一の無実を信じるみさきは、電話で聞いた微かな音から信一が松江にいると推理。すぐさま後を追って松江に向かうが、その先々で新たな殺人事件に巻き込まれる。
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2011年01月08日(土)
もう一つの中編「ソンブラの愛」は結末に明かされる異形とも言える愛の形が何とも印象的。その他の短編「夜の人形」も奇妙な論理で楽しませてくれる。本作は異国情緒溢れる恋愛小説とミステリのハイブリッド的な作品集である。
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ただし本作はそこら辺に掃いて捨てる程転がっている、ありがちな恋の鞘当てを描いた話ではない。文字通り「男女の愛」を使ってミステリを書いた作品なのだ。特に表題作はモロッコで繰り広げられるラブストーリーに目を奪われていると、思わぬトリックに足元を掬われることになるのでご注意を。
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泡坂妻夫「砂のアラベスク」読了。本作には様々な愛の形を描いた四編が収録されているが、メインは異国を舞台にした中編二本、表題作である「砂のアラベスク」と「ソンブラの愛」だろう。陳腐な表現で恐縮だが、本作を読むと「愛はミステリー」(中森明菜)という言葉が頭に浮かぶ。
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2011年01月07日(金)
……というのはさすがに穿った見方過ぎるかもしれない(汗)。とりあえず個人的なベストは言わずもがなにの「悪霊の家」。全編、ミステリと言えばトリックという作者の意気込みが伝わってくるような良作である。
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それまで日常のありふれた場所が舞台だったのに、何故最終話だけこういう設定にしたのかは分からない。ただもしかしたら社会派全盛期だった当時、作者としては古き良き探偵小説の良さを再確認してもらうためにあえてこういったスタイルを取ったのではないだろうか。
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posted at 22:56:32
最終話「悪霊の家」では幽霊屋敷の礼拝堂という、いかにもな場所を舞台に、二つの奇妙な死体が出てくる。一人は殺されてから礼拝堂の屋根から投げ捨てられ、もう一人は密室状況の礼拝堂の中で宙づりになった状態で発見される。
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それ以外にも書斎や寝室、トイレにモーテルといったあらゆる場所で作者は事件を起こしてみせるが、皮肉にも自分が一番魅せられたのは、そういった「ありふれた場所」ではなかった。
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海渡英祐「事件は場所を選ばない」読了。本作はタイトルにある通り、普段何気なく使用している場所を舞台にしたミステリ短編集である。例えば第一話「殺人もあるでよ」ではエレベーターが四階から一階にたどり着く間に槍で刺し貫かれたとしか思えない不可思議な状況を扱っている。
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2011年01月06日(木)
何の予備知識もなしに買った本作だが、個人的にはなかなか面白い作品だった。ちなみに何故本作を手に取ったのかというと、巻末の参考文献に大阪圭吉「カンカン虫殺人事件」が挙がっていたからだったりする(爆)。
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この背負い投げの感覚(?)だけで言えば何となく七河迦南「アルバトロスは羽ばたかない」に近いように思う。ただ厳密には「アルバトロス~」とは違い本作は本格ミステリとは言えないかもしれないが、それでも真相を示唆する大胆な伏線が張られているので「やられた感」は充分に味わえるだろう。
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posted at 23:48:08
そういった「ゆらぎ」が感じられる話が好きな人には正にうってつけの作品と言えるだろう。またミステリ的には一応ホワイダニットということになるのだろうが、そう思って読み進めていくと見事な背負い投げを食らうことになる。
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posted at 23:46:36
第9回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作である本作は、選考委員の一人である大森望氏が「インセプション」を引き合いに出しているように夢と現実が入り乱れる幻想ミステリ的風格の作品である。実際読んでいて、どこまでが現実でどこまでが夢なのか、その境目があやふやになることもしばしばだ。
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乾緑郎「完全なる首長竜の日」読了。少女漫画家の淳美は「SCインターフェイス」という植物状態となった患者とコミュニケートするための医療器具を使って自殺未遂により意識不明に陥って久しい弟の浩一と今日も対話を続けている。淳美が囚われ続けているのは常に同じ疑問。何故弟は自殺を図ったのか?
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2011年01月04日(火)
個人的に気に入ったのは「憎らしい絵本」「寝耳にイヤリング」「ピンク・パンティ2」の三編で特に「ピンク・パンティ2」は下着泥棒と殺人事件が絶妙な繋がりを見せるエロとパズラーが融合したエロミスの秀作である――「六法全書よりきみのパンティの方がよっぽど興味深いよ」(本文P64より抜粋)
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posted at 18:39:32
しかしながら、そんな見かけとは裏腹に内容は上質なパズラーなのだから恐れ入る。前に読んだ「閉塞回路」もそうだったが本作には美女の他にもう一つアリバイというテーマがある。と言っても、よくある地道なアリバイ崩しは一切なく各編「そうきたか」と唸ること請け合いの多彩な料理法で魅せてくれる。
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posted at 18:38:04
海渡英祐「美女が八人死体が七つ」読了。本作は自惚れ屋で女にからきし弱い司法試験の万年落第生兼法律事務所の調査員、早瀬邦彦が探偵役を務める連作ミステリ短編集である。タイトルにある通り本作で起こる事件は全て美女絡み、加えて探偵役が探偵役なので、その語り口は実に軽妙だ。
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posted at 18:36:55
2011年01月01日(土)
しかしながら本作はそれで幕を下ろすことなく次第にラノベ的な展開へと発展していく。もしかしたら一部のミステリ読者はそこにミステリとラノベの違いを見出だし興ざめするかもしれない。ただ本作の場合ミステリとしての部分にちゃんと意味を持たせているので個人的にはこれはこれでアリなように思う。
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posted at 17:05:53
本作を読んで思い出すのは、京極夏彦の「百鬼夜行」シリーズだ。ザシキワラシを巡る事件に対し、主人公が行う謎解きは正に「憑き物落とし」そのものと言っていいだろう。さりげなく語られた事実の一つ一つが重大な伏線となって真相という絵を描いていく様子はミステリとして極めて秀逸である。
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posted at 17:04:47
田代裕彦「セカイのスキマ」読了。麻我部中央英森学園に入学した小澤哲はひょんなことから迷い込んだオカルト同好会「四つ辻の会」は一部から妖怪退治の専門として知られていた。たまたま哲がいる時に「四つ辻の会」にやって来た少女は悲痛な声でこう訴えかける。「ザシキワラシを退治して下さい!」
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posted at 17:03:26
そして最終的に生存者は二人だけとなり、さあ犯人はどっちだ?そしてその犯行方法は?という所で物語は「ええー!?」という結末を迎える。アレ系の幕引きをやりたかったにしてもこれは幾らなんでも強引過ぎ、というか色々消化不良のものが多すぎる。本作は読了後悶々とすること請け合いの作品である。
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posted at 11:33:10
本作は一応クローズド・サークル物に当たるだろう。廃坑に伝わる血生臭い歴史が語られた後に起こる、不可能況下での殺人事件。メンバーの一人が密室で額に矢が刺さった死体となって発見されたのだ。その後も不可解な殺人は連続し、話は否が応でも盛り上がっていく。
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posted at 11:31:04
草野唯雄「死霊鉱山」読了。冬山の登山中に猛吹雪に遭った男女五名は命からがら廃坑になった鉱山事務所に避難する。早速暖をとるべく燃やせるものを求めて坑道に入った彼らはそこで進路を遮断する禁柵を見付けるが背に腹は変えられぬとこれを破ってしまう。そしてそれを機に一人ずつ殺されていき……。
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posted at 11:30:08