麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年09月03日(火)
長沢樹「上石神井さよならレボリューション」読了。それは“フェティシズムの捕獲”のため。写真部員の設楽洋輔は眉目秀麗で天才で変態の岡江和馬から勉強指導や報酬と引き換えに鳥好きでスポーツ万能の美少女・川野愛香の際どいフェチ写真の盗撮を請け負うが不可解な「消える」事件に巻き込まれ……。
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posted at 23:58:53
成績優秀性癖特殊の探偵役が五つの不可解な消失事件を解き明かす連作ミステリ。これまでの作品でも見られた美少女&フェチ要素は勿論のこと、作者の特長であるミスディレクションの巧さが本作でも遺憾なく発揮されている。
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posted at 23:59:09
その片鱗を最初に感じさせてくれたのが家から忽然と消えたペットを巡る騒動を描いた三話目で、それまで何が起こっているのかよく分からなかった展開が、ある誤動されていた事実が明かされた瞬間、カメラのピントが合うように構図と共に大量に張られた伏線が浮かび上がってくる構成が素晴らしい。
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posted at 23:59:21
続いて大学生レスラーにケガを負わせた犯人が密室から消失するという不可能犯罪を扱った四話目では、一部前例のあるネタを応用することで問題そのものをミスディレクションさせるという離れ業を見せてくれる。
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posted at 23:59:32
そして探偵役とワトソン役の対決を描いた最終話に至っては、問題そのもののミスディレクション+連作形式を活かした仕掛けできっちり読者を騙しつつも、探偵役が根っからの変態であることに気付かせてくれるオチが何とも心憎い。本作は短編でもその技巧ぶりの健在を見せてくれる秀作である。
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posted at 23:59:46