麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2014年05月24日(土)
東野圭吾「虚ろな十字架」読了。中原道正はかつて娘を強盗に殺された。犯人は逮捕され死刑となったが心の傷は癒されることなく結果、妻と別れることになった。しかしそれから数年後、その別れた妻もまた見ず知らずの老人に殺されてしまう。老人は金目当てに殺したと自供するが……。
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posted at 00:28:17
別れた妻が殺された真の動機に迫るホワイダニット物。とはいえ本作に奇抜なところはどこにもなく、むしろ構成する要素だけ取り出せば凡庸とすら言えるかもしれない。しかしながら、それらを巧く組み合わせることによってここまで読ませる作品に仕上げている点は流石と言わざるを得ない。
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posted at 00:28:26
西澤保彦「下戸は勘定に入れません」読了。鵜久森大の準教授として英文学を教える50歳、バツイチの古徳先生にはある条件下でお酒を飲むと、同席者を道連れに時間を遡ってしまうという特殊能力があった。そんな彼がその特殊能力と推理力を活かして、様々な謎を解き明かす連作ミステリ。全四編収録。
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posted at 00:30:45
作者が得意とするSF設定と酩酊推理を合体させた作品。全四編中、前半の二編「あるいは妻の不貞を疑いたい夫の謎」「もしくは尾行してきた転落者の謎」はこれぞ西澤と言いたくなるロジックが秀逸で、前者は予想外のところからくる真相に寝取られ好きは歓喜すること間違いなし(?)のエロミスの快作。
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posted at 00:30:58
一方後者は特殊設定を活かしつつ綱渡り的なロジックで伏線を回収していく過程が実にスリリングで、その真相はタックシリーズの某作を彷彿とさせる。但しミステリとしては三編目から失速し最終的にSFに着地する点は評価が分かれるところだろう。個人的には前半二編の勢いのまま突っ走ってほしかった。
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posted at 00:31:16
笹沢左保「四月の危険な石」読了。自宅の寝室で何者かに襲われ気を失った竜次が意識を取り戻すと妻の千夏が刺殺されていた。折しも現場は密室状態でしかも彼には千夏を殺害する動機があった。逃亡しながら真犯人を探し始めた竜次は、やがて事件の背後に時価15億円のダイヤが関わっていることを知る。
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posted at 16:21:57
密室状態で起きた殺人と逃亡しながら無実を証明しようとする展開は作者の初期作である「結婚って何さ」を彷彿とさせるが、本作において密室は大した問題ではなく、むしろメインはコンゲームにも似た時価15億円のダイヤ探しとそれを巡る連続殺人にある。
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posted at 16:22:17
連続殺人の犯人に関しては一応捻られてはいるものの、登場人物の少なさが災いして容易に見当がついてしまうのが難。一方ダイヤの隠し場所に纏わるトリックについては新保博久氏の解説「江戸川乱歩と笹沢左保」によると、作者なりの乱歩オマージュとしてみることができ、なかなか興味深い作品である。
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posted at 16:22:44
西村京太郎「消えたタンカー」読了。インド洋上で原油を積んだ巨大タンカー「第一日本丸」が炎上沈没した。船長以下六名が脱出し、残り二十六名の生死不明のまま捜索は打ち切られた。だがその船長が怪死し、警視庁に六人の生存者の殺害を予告する手紙が届いたのを皮切りに、次々と六人が殺されていく。
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posted at 23:17:38
傑作。前半は探偵役である十津川警部補が犯人にとことん翻弄されるので読んでいて苛々させられるかもしれないが、それも全てはミスディレクションのためと思えば納得できる。中盤で明かされる構図の反転は正に豪快の一言であり、それはさながら島田荘司の豪腕を彷彿とさせる。
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posted at 23:18:10
ただ以降の展開は地道な証拠探しにシフトするため、それまでに比べると若干テンポが悪くなるが終盤、意外なところからくるロジックで犯人の名前が明かされた時には少なからず驚かされた。ちなみに自分が読んだ講談社文庫版は香山二三郎の解説がネタバレ気味なので要注意。
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posted at 23:18:21