麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年12月11日(火)
深谷忠記「運命の塔」読了。元法務大臣・榎木雪夫の孫が誘拐された。反政府組織を名乗る犯人は身代金一億円の奪取を図る一方で犯行声明文を公表する。榎木の義父で政界の重鎮である大河原善造の特命を受け、元秘書・平岡道義は事件の裏を探り始めるが、事態はやがて道義の業火の記憶と交錯していく――。
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posted at 17:15:36
作者のターニングポイントとなった四百字詰め原稿用紙換算一三五〇枚にも亘る大作ミステリ。本作について作者は「主人公・平岡道義への熱い思いを込めて書いた。謎と論理の本格推理小説とスリリングな冒険小説の融合を目指して」と語っているが、その言葉に嘘偽りは一切ない。
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posted at 17:15:53
サスペンスたっぷりに描かれる前半の幼児誘拐事件だけでも非常に見応えがあるが、それが終わった後こそが本作の本番であり、ある人物の謎が浮上すると共に道義自身の事件へと切り替わる。そこからは作者の言うスリリングな冒険小説が顔を出し、立ち所に読者を物語の世界へと引き込んでくれるだろう。
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posted at 17:16:07
ミステリとしてみると使われているネタ自体はいずれも定番のものが多いが、冒険小説としての展開が巧いミスディレクションとなっているのもさることながら、何より冒険小説の中だからこそそれらが物語の絶妙なアクセントとして機能している点が素晴らしい。
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posted at 17:16:15
終盤の謎解きはミステリ史に残る緊迫感に満ちており、いつしか読者は主人公の道義は勿論のこと、彼を取り巻く血の通った登場人物たちが織り成す一大ロマンから目が離せなくなっていること必至の傑作と言っていいだろう。
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posted at 17:16:30