麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年12月19日(土)
靖子靖史「ハイライトブルーと少女 」読了。タバコ屋の店番の少女とのやり取りを楽しみにしていた会社員ウミノはある日タバコ屋の老店主・志乃が亡くなったのを知る。だが暫くして再開した店には死んだ志乃が乗り移ったとしか思えない少女の姿が。驚く彼に少女は言う。あるものを盗んでくれないかと。
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posted at 10:43:22
「そよかぜキャットナップ」で講談社BOX新人賞を受賞した作者の二作目は奇妙な盗難を巡る青春ミステリ。前作では猫探しというささやかではあるが明確な謎を扱っていたのに対し、本作の謎は漠然としており、何を盗んでほしいのか、なぜそれを盗んでほしいのかが終盤まで完全に伏せられている。
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posted at 10:43:40
しかしながらそれが明かされると同時に何気なく語られた出来事が絶妙な伏線となって少女を取り巻く状況が痛いくらいに理解できるようになる点もさることながら、そこから主人公の思わぬ秘密(?)と結び付いて感動的なフィナーレに雪崩れ込むように計算された構成が実に秀逸。
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posted at 10:44:04
前作とは見せ方が異なるものの、読了後に残る爽やかな余韻は紛れもなく「そよかぜキャットナップ」の作者のものであり、前作の読者は勿論のこと、少し不思議な要素のある青春ミステリが好きな人にはぜひお勧めしたい良作である。
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posted at 10:44:21
竹町「スパイ教室04 《夢語》のティア」読了。宿敵である謎のスパイチーム『蛇』の尻尾を掴んだクラウスは敵の潜伏場所へ『灯』全員で向かう。だがそんな一同を待ち受けていたのは恐怖によって支配された戦場だった。『蛇』の一人・紫蟻の命を受けた《働き蟻》たちの猛攻に『灯』はどう挑む?
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posted at 15:44:41
少女たちのスパイチーム『灯』の活躍を描くシリーズの四作目。今回はメインの物語の合間合間に『灯』と敵対する組織『蛇』の一人・紫蟻視点の間章が挿入される構成となっており、そこでは紫蟻に拘束され命の危機に瀕している『彼女』が何者なのかという名前当ての趣向が示されている。
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posted at 15:45:01
そういう意味では本作はこれまでのシリーズ中最も分かりやすくミステリしていると言っていいだろう。そして『灯』のメンバーがそれぞれ絶体絶命のピンチに陥ったそのタイミングで『彼女』の名前が明かされた途端、物語の真の構造と突破口が同時に判明する構成は秀逸の一言に尽きる。
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posted at 15:45:23
それだけでなくこれまでのシリーズで語られた事実を伏線として巧みに活かすことで物語のクライマックスを熱く演出してくれる点も心憎い。あとがきによると次巻から物語はセカンドシーズンに突入するとのことであり、シリーズの一つの節目としては実に申し分ない佳作である。
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posted at 15:45:56
倉知淳「月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言」読了。電光看板の底に貼り付けられた不規則なアルファベットの文字列、ペットボトルの蓋のプレゼントと飼い犬のプチ誘拐、亡き母が残した庭にかわるがわる訪れる悪気なさそうな侵入者たち――日常に潜む不可解な謎に対する名探偵猫丸先輩の推理は如何に。
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posted at 21:50:13
十五年ぶりとなる作者の看板探偵・猫丸先輩シリーズの短編集。しかしながら、あまりにも久し振りすぎて作者も勝手を忘れたのか収録作の出来にかなりバラつきがあり、中には悪い意味で妄言としか思えないもの(「ねこちゃんパズル」と「海の勇者」)もあるのが難。
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posted at 21:51:06
逆に良かったものを挙げるなら「ついているきみへ」と表題作で、前者は真相を成立させるための設定の妙が、後者は作者らしい逆説的真相と最後に浮き彫りになる語り手の心情が○。とはいえどちらかと言えばミステリとしての切れ味より久々に猫丸先輩と会える同窓会的楽しさを求めるのが吉な作品である。
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posted at 21:51:37