麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年09月17日(金)
麻耶雄嵩「メルカトル悪人狩り」読了。有名作家の許に毎日届く謎のトランプ「メルカトル・ナイト」を始め、天女伝説で起きた殺人事件を巡る「天女五衰」、不可解な殺人事件を独自の論理で切り崩す「メルカトル式捜査法」など長編には向かない探偵ことメルカトル鮎が活躍する全八編収録。
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posted at 08:30:01
傲岸不遜な銘探偵メルカトル鮎が活躍する連作ミステリ。内容的にはコンセプトがはっきりしていた「メルカトルかく語りき」よりも「メルカトルと美袋のための殺人」に近いが、ファンサービスの小編を挟みつつも収録作が後半になるにつれて作者らしい一筋縄ではいかない推理が際立つ構成となっている。
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posted at 08:30:30
収録作の中でベストを選ぶならやはりトリを飾る「メルカトル式捜査法」で、調子の悪いメルカトル(!)というレアな場面を見せつつもそこから銘探偵にしかできないまさかのロジックを展開して意外な犯人を導き出す様は圧巻の一言に尽きる。
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posted at 08:31:12
次点は「天女五衰」で幻想的な味わいから一転ある意味「メルカトルと美袋のための殺人」収録の某短編を彷彿とさせる黒い真相が堪能できるだろう。他にもある状況からのロジックが鮮やかな「囁くもの」や新本格作家の本名をもじった遊び心や真相を上回るオチが印象的な「水曜日と金曜日が嫌い」もいい。
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posted at 08:31:27
作者らしい尖りに尖った内容を求めるとやや物足りなさは否めないものの、メルカトル鮎の銘探偵ぶりが適度に味わえるという点で「メルカトルと美袋のための殺人」に続く麻耶初心者にも安心して(?)勧められる作品集である。
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posted at 08:35:16
紙城境介「僕が答える君の謎解き2 その肩を抱く覚悟」読了。明神凛音は真実は解るが真実に至る論理が解らない。そんな凛音と彼女に代わって論理の筋道を推理する伊呂波透矢は臨海学校に参加するがそこで二人は深夜の密会疑惑をかけられてしまう。立ちはだかる35人の嘘つきたちに二人はどう挑む?
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posted at 15:53:13
真実は解るのにそこに至る論理が解らないヒロインと彼女に代わってその論理を推理する主人公が繰り広げるラブコメ本格ミステリシリーズの二作目。短編集だった一作目に対し本作は短編+長編という構成で、まずカンニング騒動を巡る短編で後に主人公と敵対する黒幕の存在を作り出しているのが面白い。
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posted at 15:53:36
この短編は言わばその後のメインの長編に繋がる序章ながら二転三転する論理の切れ味とそこから浮かび上がる構図は既に傑作の風格が感じられるだろう。だが本作の本領はその後の臨海学校での事件であり、そこで繰り広げられる罠を仕掛けた黒幕と主人公の逆転裁判を思わせる論理の応酬からして実に熱い。
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posted at 15:54:25
しかしながらそれ以上に圧巻なのはクラスメイト35人の嘘を一つ一つ暴いていく過程が怒涛の論理の連鎖となって真実に結び付いていく点であり、それに加えて前作以上に盛り込まれたラブコメ展開によって巧みに隠蔽されていたある意外な事実が突き付けられる終盤には思わず声を上げてしまった。
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posted at 15:54:46
前作でも充分傑作と言える内容ではあったが、本作はそれを大きく上回る完成度であると同時に、今年度のロジック本格を語る上で絶対に見逃せない一つの到達点とも言える作品である。
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posted at 15:55:04
蛙田アメコ「九龍後宮の探偵妃」読了。死者の死因を明らかにせずにはいられない探偵癖のある少女・紅玉はある日探偵として九龍後宮に招かれることになる。密室の顔のない死体、幽霊の噂、続々と見付かるバラバラ死体、不図の妊娠……秘めごと渦巻く後宮で起こる事件の謎を紅玉は解くことができるのか?
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posted at 21:04:47
タイトル通り中華後宮で起こる事件の謎を少女探偵が解き明かす連作ミステリ。一応ミステリと謳ってはいるものの、全体的に手掛かりの出し方や推理が不十分で、どこまでいっても謎解き風でしかないのが残念。
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posted at 21:05:13
とはいえキャラはそれなりに立っているし、後宮という舞台を活かした謎と解決だけは用意されているので、あくまでもこの手のミステリ風キャラ小説として割り切って読む分には楽しめる作品である。
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posted at 21:05:39