麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年12月21日(火)
石持浅海「新しい世界で」読了。若手起業家と空き巣の争い、猫が齎した複雑な出会い、キャンプ場で一人テントを広げるスーツの女……大学生の玉城聖子が不可解な話を肴に時折酒を酌み交わすのは警視庁の幹部と、座間味くんと呼ばれる会社員の中年男性。杯が進むほど推理は冴え意外な真相が露わになる。
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posted at 00:12:15
「心臓と左手」から続く飲み食いしながら座間味くんが安楽椅子探偵形式で謎を解く全七編の短編集。今回の語り手に関してはこのシリーズの原点である「月の扉」から読んでいる読者からするとなかなか感慨深いものがある一方で前作「パレードの明暗」に感じたマンネリ感が未だ解消されていないのが難。
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posted at 00:12:30
加えて事件自体が地味すぎるものが多く折角構図の反転をしてもパッとしない、たまにちょっと面白そうな謎が出ても真相が面白くないなど残念な部分が目につく。一応最後に連作を活かした仕掛けがあるものの作者の別の連作でも同じネタをやっているため、いまいち評価しづらい作品である。
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阿泉来堂「忌木のマジナイ 作家・那々木悠志郎、最初の事件」読了。ホラー作家・那々木悠志郎の担当編集となった久瀬古都美は彼が初めて体験したという怪異譚を題材にした未発表原稿を読むことに。だが原稿を読み進める古都美の許に作中の出来事のはずだった怪異『崩れ顔の女』が現れ始めて――。
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posted at 23:22:41
ホラー作家で怪異譚蒐集家の那々木悠志郎が様々な怪異に遭遇するホラーミステリシリーズの三作目。今回はサブタイトルにある通り那々木が初めて体験した怪異譚を描いた未発表原稿を彼の担当編集者が読むという作中作形式となっている。
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posted at 23:23:13
やがて作中の怪異が現実でも起こり始め、原稿を読むことで怪異から逃れるヒントとなぜ現実でも起こり始めたのかその謎を探ろうとする展開は三津田信三「作者不詳 ミステリ作家の読む本」を彷彿とさせると共にホラー寄りだった前作よりもミステリらしさを感じさせて好印象。
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posted at 23:23:47
そして何より特筆すべきはきちんと作中作である必然性が用意されている点であり、それと怪異を巧く結び付けて、ある人物の隠された秘密をサプライズと共に浮かび上がらせることに成功している。
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posted at 23:24:43
尤もそこから繋げた最後の仕掛けに関しては途中で気付くかもしれないが、たとえ気付いたとしてもなぜこれが最初の事件なのかというホワイが絶妙な説得力となってそれを補っているのがいい。個人的にはこれまで発表された三作の中で最もホラーとミステリのバランスが優れた作品である。
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posted at 23:25:06