麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年05月31日(火)
食に対する異常なまでのこだわりとオヤジギャグ、そして下ネタで本作が構成されていると言っても決して過言ではないだろう。読み進めていくにつれて、それらの要素によって事件部分が追いやられ、しまいにはどうでもよくなってくる感覚はある意味「黒死館」的ですらある。
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posted at 22:46:26
……という粗筋を見るとそれなりにミステリっぽいが、さにあらず。前に読んだ「美食倶楽部」同様、本作も登場人物たちが事件そっちのけでひたすら御馳走を食いまくるという、ミステリファンが唖然とする内容となっている。
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posted at 22:44:56
嵯峨島昭「グルメ刑事」読了。事の始まりはあるアメリカの大富豪の遺言だった。「日本一の料理人に百億円の遺産を贈呈する」――ところが選定委員会の許に企画を中止しなければ候補者を処刑するという内容の脅迫状が舞い込む。そして、その直後に最初の候補者が失踪し以降怪事件が続発するようになる。
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posted at 22:44:06
2011年05月30日(月)
とはいえ本格としての読みどころが全くないわけでもない。個人的にはダメミス要素として欠かせない(?)「食へのこだわり」がきちんと伏線として機能していたことに感心した。ただ、やはり本格要素を期待して読むと肩透かしなのは否めないだろう。
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posted at 22:37:20
柴田哲孝「冬蛾」読了。雪に閉ざされた寒村。怪しい村人たち。謎の昔語り。凄惨な連続殺人……とくれば、たいていのミステリファンがそこに本格ミステリ的な何かを期待するだろうが、その読み方は間違いである。何故なら本作は横溝的ガジェットを用いつつも本質はあくまでハードボイルド小説だからだ。
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posted at 22:36:24
2011年05月27日(金)
葉山君に彼女ができるという内容を聞いて前作「さよならの次にくる」を読んだことがある人間ならば、ある種の予感を覚えるだろうが、それはあながち間違いではない。前作のような連作ならではの仕掛けこそないものの、そこに隠された作者の企みはなかなかのものである。
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posted at 23:20:35
これまでミステリとして見ると弱いと言われてきた作者だが、本作は見違えるようなとまでは言わないまでもこなれてきた感は少なくとも感じられる。あるプラモデルの値段を巡るロジックが面白い「嫁と竜のどちらをとるか?」も良かったが、最も秀逸なのは本作の掉尾を飾る「今日から彼氏」だろう。
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似鳥鶏「まもなく電車が出現します」読了。「理由あって冬に出る」から続く、葉山君が語り手を務めるシリーズも早いもので今回で三作目。開かずの間に突如出現した鉄道模型の謎を扱った表題作を含む五つの短編が収録された本作は、シリーズ中最もミステリ度が高い作品に仕上がっている。
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posted at 23:18:15
2011年05月26日(木)
もともとこの手の作品を得意とする作者だけに出来としては保証済み。更にそこへ近年作者が推し進めている(?)エロ要素も加わっているとあらば正に鬼に金棒。本作は一気読み必至の良質なエンターテイメント作品である。
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posted at 12:31:07
面白かった。本作は作者の集大成的な作品である「この国。」に収録された一編「エクスプレッシング・ゲーム」の長編版とも言うべき作品である。手を変え品を変え襲ってくる敵の攻撃に対し、その場にあるモノを使っていかに対抗するか。その攻防は実にスリリングで、思わず手に汗握らずにはいられない。
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posted at 12:29:32
石持浅海「ブック・ジャングル」読了。閉鎖された夜の図書館にそれぞれの思惑から忍び込んだ五人の男女を待ち受けていたのは、毒針が仕込まれたラジコンヘリだった。誰が、何のために彼らを襲うのか。全てが謎に包まれた中で、機転と悪意の攻防戦が始まった――。
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posted at 12:28:45
2011年05月25日(水)
それは本作の終章部分にも如実に顕れており、そういった部分は個人的には結構好みではある。ミステリとしては少々肩透かしだが、「思い」三部作を読んだことがある人ならば色々深読みができる作品だと思う。
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posted at 17:32:24
『名探偵システム』という設定は実にあの「思い」三部作を書いた作者らしいと思う反面、事件の方は捻くれ者の作者らしからぬこじんまりとしたものでやや物足りない感あり。書き方によってはそれなりに盛り上がる題材だと思うのだが、どうも作者的にはその辺のことはあまり興味がないように感じられる。
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posted at 17:30:42
斎藤肇「盗まれた死角」読了。名探偵が警察に代わり事件を捜査する、所謂『名探偵システム』が確立された世界で起こったある殺人事件。美術館の森で見付かった死体には首がなく、代わりにヴィーナス像の首が置かれていた。それからしばらくして今度はヴィーナス像の腕を持つ死体が発見される。
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posted at 17:29:45
2011年05月23日(月)
一言で言えば、青春幻想ホラー。解説でも触れられているが主人公たちと同じ年代、高校生の時に読めば色々と感じ入るものがあったのかもしれない。どこかノスタルジックな雰囲気の中、展開するミステリアスな物語。とはいえ過ぎ去ってしまった日々に思いを馳せて読んでみるというのも充分アリだと思う。
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posted at 15:52:41
稲生平太郎「アクアリウムの夜」読了。事の始まりは、親友の高橋と行った奇妙な見世物『カメラ・オブスキュラ』だった。そこである筈のない水族館の地下への階段を見て以来おかしな出来事が続発。こっくりさん、霊界ラジオ、邪強の影、精神に異常をきたした親友……そして、遂に文化祭で惨劇が起きる。
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posted at 15:50:22
2011年05月22日(日)
書き方によってはミステリとしても面白い作品になったと思うだけに、何とも惜しい作品である。ちなみに最近出た某ラノベミステリ作品と本作にある共通点があったのが個人的にはなかなか興味深かった。
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posted at 17:57:53
全八章から成る物語のうち、七章までの展開は極めてよくあるサイコ物。正直このまま終わったのなら凡作確定だったが、最後の最後に明かされるある仕掛けにより、そうなる寸前で踏み止まっている。ただ、この仕掛けはミステリとして見た場合、間違いなくアンフェアだろう。
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posted at 17:56:26
赤月カケヤ「キミとは致命的なズレがある」読了。十歳の時に記憶を失った克也は、度々見る少女の死体の幻覚に苦しめられていた。そんなある日、克也の許に舞い込んだ不幸の手紙。『この手紙の差出人を見つけてください。さもなくばあなたは不幸になります』――果たして、その手紙が意味するものは?
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posted at 17:55:21
2011年05月20日(金)
そんなアクロバティックなことをやりつつ、小説としても抜群に面白い。本作は魅力的な年上の女性に翻弄される主人公というキーワードに惹かれる本格ファンには打ってつけの作品である。あと、できれば「透明な季節」「海を見ないで陸を見よう」と併せて読むことをお勧めしたい。
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posted at 19:08:20
本作がミステリとして秀逸なのは、普通なら「よくできた犯人当て」レベルで終わるところを、事件の構図と絡めることにより「意外過ぎる犯人当て」に引き上げているところにある。動機の謎が予想もしなかったところへ話が及んだ時は、思わず声を上げて驚いてしまった程だ。
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posted at 19:07:11
梶龍雄「ぼくの好色天使たち」読了。傑作。それもただの傑作ではない。本作は本格としては言うに及ばず、青春小説、風俗小説としても高い完成度を誇っているのである。戦後の焼跡に建てられた闇市で青年、弘道と親交のあった娼婦のうち二人が殺され、一人が襲われた。果たして三つの事件の共通点は?
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posted at 19:06:17
2011年05月19日(木)
飛鳥部勝則「辿り着けないかもしれない」(「異形コレクション 夏のグランドホテル」収録)読了。ホラーえほんという副題が付いている本作は作者製作の挿画がより強烈なイメージを喚起する怪奇幻想小説である。冒頭の何気ない話が伏線となっていることに個人的にはミステリ作家らしいセンスを感じた。
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posted at 23:58:49
ベストは「突然、嵐の如く」。本作に収録されたものでは最も破綻が少ない一編であると同時に、この作者の持ち味である黒さとエロさが堪能できる作品である。とりあえず、スク水女子中学生好きにはお勧めということで(爆)。
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posted at 18:58:22
西澤保彦「必然という名の偶然」読了。架空の街、櫃洗市を舞台に起こった六つの事件を収録した連作ミステリ。全体的にプロットやロジックが強引、もしくはどこかで見たことがあるものばかりなのが気になるものの、連作ミステリとしては手堅くまとまっている方だと思う。
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posted at 18:56:02
2011年05月18日(水)
そのおかげで書き手によっては泣けるのかもしれない真相も「ふーん」の一言で終わってしまった。「圧倒的な熱量で駆け抜ける傑作」と帯にはあるけれど、残念ながら自分には何一つ感じ入るものはなかった。これだったらまだ前作の方が良かったように思う。
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posted at 22:50:46
一応本作は警察小説ということになるのだろうが、個人的にはこれを警察小説と呼ぶのはかなりの抵抗がある。というのも本作は全体的に軽すぎるのだ。それが例えばユーモアを売りにしている作品だったらまだいい。「迫真の警察小説」「息詰まる取り調べの攻防」と謳っておきながら正直これはないと思う。
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posted at 22:48:37
古野まほろ「命に三つの鐘が鳴る」読了。走行中の列車で後頸部をペーパーナイフで刺されて殺された女は、若きキャリア警察官、二条実房の元恋人だった。そして犯人として逮捕された活動家の男、我妻雄人は二条の親友だった。我妻は犯行を認めるが、何故か動機については一切語ろうとはしなかった――。
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posted at 22:47:15