麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年07月31日(日)
その一方で本作はノワールとしても良くできており、高遠と紺野という二人のヤクザが周囲を巻き込みながら破滅へと向かっていく様は、タイトルにあるような漆黒の魅力に満ちている。ハルチカシリーズとはまた違った作者の一面を垣間見ることができる作品である。
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前作「水の時計」を思わせる寓話的なストーリーと血と暴力に彩られたノワールが一つに結び付いた時、本格ミステリという本作のもう一つの顔が明らかになる――巧みに隠された暗号もさることながら、何よりもこの世界観ならではの盲点をついたトリックが秀逸。
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初野晴「漆黒の王子」読了。ある地方都市を舞台に、次々と眠るように死んでいくヤクザたち。それと平行して地下の暗渠に隠れ住む七人のホームレスたちと記憶を失った「わたし」の物語が語られていく。
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2011年07月30日(土)
本作の見所は二つ。何故、昴が選ばれたのか。そして、昴は誰を助けようとするのか、である。それらが連作形式で語られていく展開はミステリというよりまるでお伽噺のよう。正直ミステリとしては物足りない所もあるものの、ハルチカシリーズにも見られる瑞々しい筆致と構成の巧さで読ませる作品である。
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初野晴「水の時計」読了。脳死と診断された少女・葉月が最期に望んだのは自らの臓器を移植を必要としている人々に分け与えることだった。そして、その運び屋として暴走族の少年・昴が選ばれる――第22回横溝賞受賞作の本作は「幸福の王子」を下敷きにした現代の寓話とも言うべき内容になっている。
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2011年07月28日(木)
本作に関しては、あまり多くは語れない。しかしながら作者が何故こういう構成にしたのか、最後まで読むと大いに納得することだろう。読了後の余韻が絶妙な傑作だと思う。
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奇妙な作品である。次々と不可解な事件が発生するものの、一体何が起きているのか作者は読者に一切明かさないまま、話だけがどんどん進んでいく。そして残りあと十ページを切り、広げた風呂敷にどう収拾つけるのかと思ったら……。
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赤川次郎「魔女たちのたそがれ」読了。「助けて……殺される」事の始まりは津田の許に幼なじみの依子からかかってきた助けを求める電話だった。確か依子は山の中の小さな町で小学校の教師をしていたはずなのに……。閉鎖された町で連続して起こる動機不明の殺人事件。一体町では何が起きているのか?
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2011年07月27日(水)
まず最初に断っておくと、本作はミステリではない。しかしながら「死者の学園祭」や「マリオネットの罠」でも見られた構成の巧さは本作でも健在で、四つの作中作と四組の夫婦の物語を対比させた構成が実に秀逸。後味も悪くないので、気軽に読むには打ってつけの作品である。
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赤川次郎「悪妻に捧げるレクイエム」読了。西公路俊一というペンネームで小説を共同執筆する四人の男たちが選んだ次の新作のテーマはズバリ「妻を殺す方法」。日頃から妻に悩まされている男たちは早速そのテーマに則った小説を書き始めるが、やがて現実でも小説をなぞったような出来事が起こり始める。
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2011年07月26日(火)
作者には申し訳ないが、判明した事実のみを淡々と記していくその展開は退屈の一言に尽きる。これで真相にそれらを帳消しにしてくれるくらいのインパクトがあればまだ良かったのだが、残念ながら最後までこちらの予測を上回ることなく終わってしまった。
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安萬純一「ガラスのターゲット」読了。二十人以上の死者を出した世田谷の爆破事件と八王子、町田で立て続けに起こった若者の集団毒殺事件には繋がりがあった。……鮎川哲也賞授賞後第一作である本作は事件自体は派手だが、展開は前作「ボディ・メッセージ」と同様、極めて地味という欠点を抱えている。
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特に感心したのは一月のうちに三度も行われた奇妙な席替えと熱血教師の謹慎が絶妙にリンクする「アスモデウスの視線」でこれこそ日常の謎の良い見本だと思う。また表題作にしても初恋鑑定というほのぼのとした内容からは想像もつかない真相のギャップ感が素晴らしい。個人的には前作よりも面白かった。
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初野晴「初恋ソムリエ」読了。吹奏楽部所属の穂村チカと上条ハルタが活躍するハルチカシリーズ第二弾の本作は聞くところによると一部では前作「退出ゲーム」よりもミステリ度は劣ると言われていたようだがとんでもない。本作は前作に勝るとも劣らない、いや、それ以上に技巧的な作品に仕上がっている。
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posted at 18:38:09
そして最後には犯人との対決まで用意されているという、至れり尽くせりぶり。但し、最後に収録されている「密室劇場」はギャグ作品なのでそれに該当しない。個人的には最後はギャグで落とさない方が良かったような気がするのだけど……ちなみにベストを選ぶなら「佇む男」。
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だが、シンプル故に答えを出すのは極めて難しい。そのトリックの斬新さもさることながら(一部前例があるものもあるが)、構成一つとっても全てそのトリックを成立させるための無駄のない仕上がりなのが素晴らしい。またシリーズ長編でも見られた仮説のビルド&スクラップは中編集である本作でも健在。
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貴志祐介「鍵のかかった部屋」読了。最近の密室を扱った作品というと、その殆どがトリックよりも何故密室にしたのかというホワイダニットに重点が置かれているのに対し、本作は愚直なまでにトリックに拘っている。本作で読者が求められている問題は極めてシンプルだ。――どうやって密室にしたか?
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2011年07月24日(日)
幾つもの不可解な謎がある。推理もある。そして、どんでん返しもある。しかしながら、読み終わった時に残るのは本格ミステリとしての驚きではなく、豊潤な物語としての感動だ。ミステリの絢爛な装飾に惹かれる人にこそお勧めしたい作品である。
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皆川博子「開かせていただき光栄です。」読了。傑作……といっても、本格ミステリとして傑作という意味ではない。十八世紀のロンドンを舞台に解剖教室、顔のない死体、四肢を切断された少年、暗号、密室、盲目の判事といったミステリ・ガジェトを駆使して、作者は巧みに物語を紡いでいく。
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2011年07月22日(金)
ミステリとして見れないこともないが、やられた感は正直薄い。とはいえこの緻密に組み上げられた物語と文体は明らかに新人離れしていてぐいぐいと読ませる。というか、覆面作家で本作がこの名前でのデビュー作という紹介文を見る限り、既に活躍している作家の別名義という可能性の方が濃厚だろう。
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殺人事件が起こらなくなった時代に何故犯人は七歳の少女を暴行した上で殺害したのか?……そんな異世界本格ミステリっぽい魅力的な謎に惹かれて読み始めた物語だったが、結論から言えば本格は本格でもミステリというよりどちらかと言えば「マルドゥック・スクランブル」に近い本格SFだった。
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posted at 23:08:04
一条明「ルーシーにおまかせ!」読了。七歳の誕生日を迎えたその日、ジュールは両親から衝撃的な事実を知らされる。何と自分は過去に殺害されていて、今の自分はクローンだと言うのだ。そしてお付きのメイド・ロボットのルーシーにはあろうことか、その自分を殺した男の脳が移植されていると言う……。
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2011年07月20日(水)
粗筋だけ見るとミッシングリンクものっぽい本作だが残念ながらその動機に関しては物語の早い段階で割れてしまっている。また犯人についても中盤であっさり明かされる上に伏線もなかったりするので消化不良なのは否めない。では何が本作の魅力なのかと言えば勿論この作者得意のサスペンスに他ならない。
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草野唯雄「解明旅行」読了。定年を迎えた巽は長年勤めた相互銀行の退職を機に妻と車で長距離旅行を計画する。それはかつて巽の部下であり妻の同僚だった四人の女性を訪ねる旅でもあったが、訪ねる先々で彼女たちは何者かに次々と殺されていく。連続殺人を繋ぐ動機とは?
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2011年07月18日(月)
島田荘司を彷彿とさせる奇跡のバカトリックに唖然とすること請け合いだが、島田荘司と違い、装飾で誤魔化すようなことは一切していないので「そんなバカな」で終わってしまう可能性も否めない。個人的には不満の残る内容だった。
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また作者らしいどんでん返しが用意されている短編も幾つかあるものの、伏線がなかったり、予想の範囲内だったりで手放しで褒めることができない。それでも強いてベストを挙げるならば、マンションの屋上から墜落したはずの男の死体が何故か三階の別の部屋から発見される「一寸先は闇」だろうか。
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草野唯雄「まぼろしの凶器」読了。謎解き重視の八編を収録したミステリ短編集……なのだけど、どれが良かったと聞かれると正直困ってしまう(汗)。例えば表題作はタイトルからも分かるように凶器の謎がメインだが、専門知識に寄るところが大きいため、いまいちピンとこないのが難。
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ページがまるまる袋綴じになっている「密室本」企画の一冊として書き下ろされた本作。袋綴じであることを仕掛けとして活かそうとした試みは評価するが、お世辞にもそれが上手くいっているとは言い難い。仮にそこを抜きにしたとしても、散々引っ掻き回した割りに至って普通の真相でかなり物足りない。
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石崎幸二「袋綴じ事件」読了。孤島に隠棲する研究者がダイヤル錠の付いた部屋で何者かに襲われた。現場は密室状態だったがダイヤル錠のナンバーを知っていれば誰にでも施錠は可能だったという。事件が混迷を深める中、突然ミリアが事件の鍵は石崎の持ち込んだ袋綴じの推理小説にあると言い出して……。
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