麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年11月30日(水)
かくいう自分も残念ながらすぐに予想がついてしまったクチだが、それでもこの当時にこれをトリックとして使った先見性は充分評価に値すると思う。一応どんでん返しも用意されているが、このトリックが解明された後だと些か印象が薄いのが残念。
タグ:
posted at 20:07:58
全身付随の夫人が漏らす唸り声の意味もなかなか興味深いが、本作の一番のメインは何と言っても手の込んだ、ある殺人トリックだろう。ただこの手のトリックは今日では目にする機会も多いので、勘のいい人は事件のあらましを知るなりピンときてしまうかもしれない。
タグ:
posted at 20:07:28
由良三郎「殺人協奏曲ホ短調」読了。殺人事件の唯一の『目撃者』は、被害者の隣に寝ていた全身付随の夫人だった。体はおろか、目も耳も口も麻痺したままの彼女が時折漏らす唸り声は一体何を意味しているのか。白河警視とその甥である結城鉄平のコンビが事件の謎に挑む。
タグ:
posted at 20:06:01
2011年11月28日(月)
あとは洋子が男の魔の手から助かるかどうかしか見所がないなと思っていたのだが、それこそが作者の罠だった。そこから先の展開はかなり意表を衝くものであり個人的にはしてやられたと言わざるを得ない。本作はいかにも二時間サスペンスな展開に油断していると足元を掬われること請け合いの良作である。
タグ:
posted at 18:06:39
多分本作を中盤まで読んだ大半の読者は本作のことをありがちなサスペンス物と思うことだろう。事実、博多、長崎、天草を舞台に展開する洋子の捜査はトントン拍子に進み、やがて一人の男に辿り着く。これで男が犯人というのは間違いで実は……という流れにいくのかと思いきや、男はあっさり犯行を告白。
タグ:
posted at 18:06:09
草野唯雄「博多長崎殺人行」読了。橋の改修工事の最中、導管の中から発見された女のミイラ死体は長らく行方不明になっていた洋子の母だった。誰が何のために母をこんな酷い姿にしたのか。洋子は少ない手掛かりを頼りに、独り犯人探しに乗り出す。やがて犯人とおぼしき男の姿が浮かび上がるが……。
タグ:
posted at 18:05:40
2011年11月25日(金)
捜査に対し絶大な力を発揮する反面、絶妙なミスディレクションにもなっている点がまず秀逸。対して後半の二編は前半と比べるとサイコメトリーが関わる必然性が薄く、出来もイマイチなのが残念。できれば前半のクオリティーを維持してほしかった。個人的なベストは「鋏の記憶」。
タグ:
posted at 17:43:48
今邑彩「鋏の記憶」読了。物に触れることにより、それを所有していた人間の残留思念を感知することができる能力「サイコメトリー」を持つ女子高生・紫が関わった四つの事件が収録された短編集。前半の二編はサイコメトリーという能力をきちんとミステリとして活かした良作と言っていいだろう。
タグ:
posted at 17:43:19
2011年11月24日(木)
その他、同時収録の怪奇スポットを紹介したエッセイ「ロンドン・ゴースト・トリップ」は、作者の幽霊屋敷物の傑作「黒魔館の惨劇」を知っている自分としては、その裏話を読んでいるようで楽しかった。
タグ:
posted at 16:01:05
個人的に興味深かったのは十八世紀ロンドンの描き方で普通の作家が妖しく美しく飾り立てる所には目もくれず徹底して残酷かつ醜悪な部分を全面に押し出している。また控えめとはいえ若く美しい五人目の被害者メアリ・ジェイン・ケリーの殺害シーンだけスプラッター描写が多めなのも実にこの作者らしい。
タグ:
posted at 16:00:44
友成純一「ジャック・ザ・リッパー」読了。切り裂きジャックをテーマにした小説とエッセイで構成された本作は、決して切り裂きジャック物の新機軸と言える内容ではないものの、友成純一が切り裂きジャックを書いたらどうなるかという視点で読むとなかなか面白い作品に仕上がっている。
タグ:
posted at 15:59:59
2011年11月21日(月)
一応作者曰く、下敷きになった「京都魔界伝説の女」よりもどんでん返しの数が一回増えているとのことだが、そのどんでん返しにしても、正直良くできているとはお世辞にも言い難い。前例を知らなければそこそこ楽しめるかもしれないが、知っているとかなり厳しいと言わざるを得ないだろう。
タグ:
posted at 18:52:21
全百作構想の「魔界百物語」シリーズの第二弾である本作の一番の見所は、何と言っても「切断された左手首の謎」だろう。だが、残念ながらこの真相には前例がある。これが仮にその前例よりも優れた出来であればまた話は違ったのだろうが、自分が読んだ限りでは到底超えているとは思えなかった。
タグ:
posted at 18:51:44
吉村達也「京都魔王殿の謎」読了。美貌の超能力者・鹿堂妃楚香が自らが主催する京都魔界ツアーで人の手首が出現すると予告、その言葉通り女の手首が「猿」の手首と共に見付かった。すぐに警察は事件の容疑者を逮捕するが、間もなく第二の事件が発生。この奇怪な事件に精神分析医・氷室想介はどう挑む?
タグ:
posted at 18:50:49
2011年11月18日(金)
某作品読了。相変わらずリーダビリティの高さと巧みな構成は健在だが本作は特に後者が秀逸。全ては主人公の人間像を描くことと読者をミスリードすることの二点に費やされており、それらが終盤のどんでん返しを見事に引き立てている。些か詰め込みすぎの感もあるがそれを差し引いても充分秀作だと思う。
タグ:
posted at 16:29:31
2011年11月17日(木)
しかも、そのヒントは作中にぬけぬけと示されており、その大胆さには感嘆せざるを得ない。梶龍雄の後期の作品同様、本作もまた新本格の香りが濃厚な、稚気と企みに満ちた作品である。
タグ:
posted at 20:45:15
もともと最後の大逆転に拘った作品ばかり書いてきた作者だが、その試みは本作が最も成功しているように思う。ネタバレになるので具体的なことは言えないが、終盤に至り、これで事件が終わったと思ったら、実はそこからが本番だったという何とも捻くれた構成なのだ。
タグ:
posted at 20:44:11
かつて綾辻行人は登場人物に本格の理想を語らせていたが本作もまた登場人物にこんなことを言わせている。「小説全体がパズルなんです。(中略)最後の章になって、なんと大逆転で、読者がアッとおどろき、感服する結末になれば、この謎かけは作者の勝ちですよ」本作はそれを見事に体現した作品である。
タグ:
posted at 20:43:18
水野泰治「密室殺人講座」読了。地下室に造られた人工的な「孤島」で開催されたミステリー講座。参加者は講師である推理作家の他に懇意にしている編集長や若い教え子など七人。密室状態となった地下の扉が再び開かれるのは72時間後だったが、その初日の夜に推理作家が無惨な死体となって発見される。
タグ:
posted at 20:41:00
そこで彼を待っていたのは美貌の女主人を始めとした三人の女たちとのめくるめく快楽の日々。しかしながら本作はただのエロスでは終わらない、ゴシック小説にも通じる退廃的な美しさに彩られている。個人的には読み終わるのが惜しいとすら思うくらい、甘美なる魅力を秘めた作品である。
タグ:
posted at 01:33:30
……という嘘あらすじはさておき(爆)とりあえず本作の舞台もまた黒猫館であることに変わりない。但し本作の場合、黒猫館で起こるのは殺人事件ではなく、夜毎に繰り返される官能の宴である。昭和十六年――戦火間近いその混乱の時代に法外な給料に釣られて信州の山奥にある「黒猫館」を訪れた主人公。
タグ:
posted at 01:33:14
倉田悠子「黒猫館」読了。推理作家・鹿谷門実に会いたいと手紙を送ってきた老人は記憶を失っていた。自分が何者なのか調べてほしい――そう鹿谷に訴えた老人は手掛かりとして一冊の手記を差し出す。そこに綴られていたのは「黒猫館」という館で起こった殺人事件の顛末。果たしてこれは創作か、事実か?
タグ:
posted at 01:32:52
2011年11月16日(水)
そして、その事件を通して描かれるのは、「夢玄館」に纏わる人々であり、「わたし」の人間としての成長だ。第五話の最後に待ち受ける試練を乗り越えた時、読者は「わたし」が見出だしたそれに忘れかけていた温かさを覚えることだろう。本作はミステリの形を借りた、癒しの物語である。
タグ:
posted at 18:12:14
本作は連作ミステリの形式をとってはいるが、ミステリとしての「謎と解決」だけみると、扱われる事件はどれも小粒過ぎて正直印象に残りづらい。むしろ作者は事件のことを「人間を描くための装置」として割りきっているように思える。
タグ:
posted at 18:11:10
水生大海「夢玄館へようこそ」読了。古いアパートをリノベーションしてショッピングモールとなった「夢玄館」。その管理人だった伯母が入院したため、急遽代理を務めることになったわたしの許へ持ち込まれるのは、個性的な各ショップのオーナーたちが巻き起こす厄介な事件ばかりで――。
タグ:
posted at 18:10:44
2011年11月15日(火)
その他「とうにハロウィーンを過ぎて」も自分好みのホラー映画趣味とミステリ的仕掛けの融合が絶妙な秀作である。怪奇と幻想に彩られた本作はゴシック好き、ホラー映画好き、そして一部の涅槃ミステリ好き(!)にはまたとない贈り物になることだろう。
タグ:
posted at 21:08:38
勿論、怪奇短編集ということでミステリ度は大分控え目だが、それでも幾つかの短編を読むとミステリが作者の血となり骨となっているのが良く分かる。特に圧巻なのは雪で遭難した男の視点で書かれた「残されていた文字」で、個人的にはこの短さで本格を的確に表現してしまったのには脱帽と言うしかない。
タグ:
posted at 21:08:03
井上雅彦「異形博覧会」読了。そもそも本作を読んでみようと思ったきっかけは、自分が偏愛する異形の本格ミステリ「竹馬男の犯罪」とリンクする掌編が収録されているからだったが、いざ読んでみたら「竹馬男」をそのまま短編集に変換したような内容で些か驚いてしまった。
タグ:
posted at 21:07:38
2011年11月14日(月)
ホラーとして見るとオチが些か弱い気がしなくもないが、少年時代の淫靡な思い出だけでも充分元はとれた印象。やはり飛鳥部勝則は変態エロスを書いている時が一番生き生きしていると思うw
タグ:
posted at 23:15:55
飛鳥部勝則「お菊さん」読了。男たちにオモチャにされているお菊さんと、そのお菊さんにオモチャにされた主人公の物語。ノスタルジックな雰囲気の中に漂う、飛鳥部勝則らしい、そこはかとない変態的エロスが堪らない。
タグ:
posted at 23:14:03
そして、そんな物語でもちゃっかりトリックらしきものを仕込んでいる作者に思わずニヤリ。本作は絵本という媒体を最大限に活かした、両氏のファン必見の作品である。
タグ:
posted at 20:35:36
三津田作品における村田修のイラストのように、北山作品もまた片山若子のイラストがいつの間にかなくてはならないものになっていることを気付かせてくれる一編。作者らしい寓話的物語と、その空気感を表現した片山若子の幻想的なイラスト。その親和性は見事の一言に尽きる。
タグ:
posted at 20:34:45
北山猛邦「猫倫敦」読了。冬になると砂浜に漂着する、冬眠中の子猫が入っている氷の塊――「猫流氷」。私は祖父と共に猫流氷を解凍して猫を取り出す仕事をしていた。ある日、砂浜にとても大きな猫流氷が打ち上げられる。中には猫の耳としっぽの生えた人間が……。それがクロと私の出会いだった。
タグ:
posted at 20:34:11