麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年09月26日(水)
中山七里「ヒートアップ」読了。人間を兵器と化させる非合法ドラッグ・ヒートを追う麻薬取締官の七尾はある日暴力団組員の山崎からヒートの売人を確保するため手を組まないかと持ちかけられる。だがその売人が殺され、凶器から七尾の指紋が検出されたことから七尾は殺人の容疑をかけられることに……。
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posted at 22:15:33
内容紹介では一切触れられていないが、本作は「魔女は甦る」の続編的作品である。勿論いきなり本作から読んでも話的には問題はないが、「魔女は甦る」の真相に思いっきり触れているため、できるなら先に「魔女は甦る」から読んでおいた方がいいだろう。
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posted at 22:15:55
それはさておき、本作はノンストップ・アクション・ミステリという謳い文句通り、手に汗握るスリリングな展開が楽しめる一方で、さらりと本格ミステリ要素も仕込んでいる。仕掛けとしては定番物ながらも設定が巧いカモフラージュになっていて、不覚にも最後まで気付けなかった。
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posted at 22:16:15
加えて物語のラストには中山七里ファンであればニヤリとするサービスまで用意されている。本作は極上のエンタメと本格ミステリの騙される快感が一度に味わえる贅沢な作品である。
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posted at 22:16:26
倉阪鬼一郎「赤い球体 美術調律者・影」読了。人気アイドルグループ「M13」。13人いるメンバーのうち、一人は存在しないという戦略で売り出された彼女たちの曲を聴いたり、PVを見たりした人間が自我を失い、凶事を起こす事態が発生するが、それはある呪われた芸術作品に端を発するものだった。
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posted at 22:16:46
倉阪流アイドルホラーと言うべき作品。これを現実のアイドルになぞるとファンが発狂しかねない黒い設定が実に素晴らしい。その反面、倉阪作品らしい仕掛けが皆無なのは残念だが、キャラ重視の物語はかなり読みやすく、倉阪入門編としてはいいのかもしれない。
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posted at 22:17:04
初野晴「カマラとアマラの丘」読了。廃墟となった遊園地には秘密の動物霊園というもう一つの顔があった。ここでペットを弔うためには動物の声が聞けるという墓守の青年と交渉し、一番大切なものを差し出さなければならない……。霊園を訪れた人々が語った話から青年が解き明かす信実とは。
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posted at 22:19:56
ファンタジックな世界観を得意とする作者の持ち味がよく活かされた連作ミステリ短編集。収録作はどれもこの設定ならではの仕掛けで読み応えがあるが、個人的なベストを挙げるなら、「ハーメルンの笛吹き男」をなぞったような事件を扱った「ヴァルキューリの丘」だろう。
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posted at 22:20:21
この短編は収録作中、最も寓話的雰囲気が濃厚だが、その一方で「漆黒の王子」以来の黒初野を堪能することができる。ただでさえ最悪な構図をそれ以上の最悪で塗り替える展開は実に秀逸の一言。ハルチカシリーズだけでは味わえない要素が詰まった秀作である。
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posted at 22:20:53
2012年09月27日(木)
東川篤哉「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」読了。熟女大好きでドMの刑事・小山田聡介の行く先々に現れる箒を持った可愛らしい少女の正体は何と魔法使いだった――東川篤哉の新シリーズは魔法使い少女が登場する倒叙ミステリ中編集。
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posted at 13:23:25
正直かなり微妙。雑誌掲載時も感じたことだが、収録作はどれもネタが小粒過ぎて、中編だとどうしても間延びしている感が否めない。また折角倒叙形式を採用しているにも関わらず、犯人との駆け引きに物足りなさを覚える。
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posted at 13:23:40
そして何より魔法使いである必然性をほとんど感じないのがいただけない。唯一ネタとしては殺人現場にある物が何故かさかさまにされている「魔法使いとさかさまの部屋」が悪くなかったが、それでもベストとは言い難い。とりあえず次回作に期待したい。
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posted at 13:23:57
2012年09月28日(金)
戸松淳矩「うそつき」読了。舌先三寸で生きている男が、遭遇した殺人事件の現場に落ちていた死者のバッグを盗んだことから嘘に嘘を重ねた危険な綱渡りを演じる羽目に。一方、同人仲間と創作活動をしている「私」は自身が書いた苦心の自信作が海外作家の作品に酷似していることを知り衝撃を受ける――。
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posted at 15:57:05
仕掛けだけ取り出せば幾つか前例のあるもので、巧く処理してあるとはいえ、本作ならではの工夫が凝らされているかというと正直微妙なところではあると思う。しかしながら平行して語られる二つの物語はどちらも読み応えがあり、仮に仕掛けがなかったとしても面白い作品に仕上がっていると断言できる。
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posted at 15:57:36
2012年09月29日(土)
「金田真一耕助之介の冒険」読了。中島かずき、戸梶圭太、おかゆまさき、大倉崇裕、喜国雅彦といった、多彩な……というよりカオスな執筆陣で送る金田一耕助パロディーアンソロジー。収録作の中には金田一物である必要があるのか疑問が残るものもあるが、良くも悪くも書き手の個性は出ていると思う。
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posted at 16:46:31
ミステリとして最も出来がいいのは「迷路荘」ならぬ「メイド荘」で起こった殺人事件を扱っている中島かずき「メイド荘の惨劇」で内容は完全にバカミスだが、トリックを成立させるためのシチュエーションは意外にも(!)よく考えられている。
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posted at 16:46:47
次点は大倉崇裕「トランプ台上でクビ」。密室で発見されたトランプ台上の生首という謎は魅力的だが、手掛かりの出し方に難があるのが残念。その他「犬神家の一族」の隠された真相に迫る米光一成「恋の呪文はスケキヨヨキスケ」も悪くないが、映画版を都合よく組み込んでいるのがいただけない。
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posted at 16:47:10