麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年11月30日(金)
勿論、厳密な本格ミステリとしてみると出来は少々粗い。しかしながら最低限の伏線は張ってあるし、何より一歩間違ったらギャグになりかねない(!)この大胆な仕掛けは個人的には好印象。いくつか前例があるネタだが、それをこの作者がどう料理したのかという観点で読むと面白いかもしれない。
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posted at 18:24:18
伝奇ファンタジー・ソウルドロップシリーズの番外編。とはいえ過去に「紫骸城事件」のようなファンタジー設定の本格ミステリを書いている作者だけにもしやと思って読んでみたのだが、結論から言えばその予感は間違っていなかった。
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posted at 18:24:08
上遠野浩平「ソウルドロップ孤影録 コギトピノキオの遠隔思考」読了。絶海の孤島に建つ秘密施設。そこは謎の怪盗ペイパーカットに遭遇し九死に一生を得た人々を収容した研究所だった。元警察官・伊佐俊一もまた怪盗から負わされた傷を癒すべく島を訪れるがそれから間もなく所内で連続殺人が発生する。
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posted at 18:23:47
2012年11月29日(木)
但し本作の真相は「幽女~」に比べると分かりやすく、しかも三津田ファンであればそれが某作品のトリックの変形であることに気付くはずだ。とはいえ真相のうち、ある人物の正体については充分驚いたし、何よりホラーとして本作が頁をめくる手が止まらなくなるほど面白い作品であることは間違いない。
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posted at 22:41:33
作家・三津田信三を登場人物としたシリーズの新作。しかしながら、その構成は「幽女の如き怨むもの」と非常に似通っている。明らかにホラーとしか思えない二つの物語が語られた後に、刀城言耶ならぬ三津田信三が一つの合理的な解決を示す。
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posted at 22:40:41
三津田信三「のぞきめ」読了。作家の「僕」が知った二つの恐ろしい体験談。それはやがて、一つの呪われた村の物語へと収斂していく。――読んでは駄目。あれが覗きに来る。
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posted at 22:40:10
ミステリとしては「イ2号館の幽霊」が最も凝っているが、この手の作品は労力の割りにインパクトに欠けるのが難点か。個人的には「妖精の誘拐」がベストだが、この短編のアイディアは後に作者の某長編にも活かされている(そして、見せ方もそちらの方が上)。
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posted at 18:14:49
また「妖精の誘拐」ではお馴染みのカジタツ語(?)を堪能できるし、「母と子の探偵小説」では掲載紙(「幻影城」)を意識してか、あちこちに盛り込まれた探偵小説に纏わるエピソードの中に「赤毛連盟」について言及している箇所があり思わずニヤニヤさせられる(理由は「龍神池の小さな死体」参照)。
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posted at 18:14:31
本作はある意味、梶龍雄の全てが詰まっている作品集である。例えば「追憶の中の殺人」からは旧制高校シリーズなどの青春ミステリを、「黒猫の数」からは人妻探偵シリーズを、「遠い景色」からはストリッパー探偵シリーズを……といった具合に作者がこれまでに発表した様々な作品を彷彿とさせる。
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posted at 18:12:31
梶龍雄「男と女の探偵小説」読了。戦時中の浅草で起こった殺人事件の真相「追憶の中の殺人」、密室で死んでいた恋多き女「黒猫の数」、古い校舎に出現する幽霊の意外な正体「イ2号館の幽霊」、友人から絶対に捕まることはない誘拐計画を持ちかけられる「妖精の誘拐」他、全八編収録。
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posted at 18:12:12
2012年11月28日(水)
更にその構図を悟らせないようにボーイミーツガール物を採用した点も非常に技巧的。とはいえ、本作はボーイミーツガール物として見ても秀逸であり、読了後には石持作品とは思えない(?)甘酸っぱさが味わえることだろう。
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posted at 22:16:16
これまでにも何作か異世界本格ミステリを発表してきた作者だが、異世界「学園」本格ミステリとなると「BG、あるいは死せるカイニス」以来になる。異世界本格というと大概トリックなり動機なりにそれが活かされることになるが、本作はそれを構図に活かし、そこから犯人を特定しているのが面白い。
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posted at 22:15:42
石持浅海「フライ・バイ・ワイヤ」読了。僕が通う高校の選抜クラスに転入生としてやってきた二足歩行ロボット。それは一ノ瀬梨香という少女が遠隔操作で操っているという。ある日の放課後、彼女の背中が血で真っ赤に染まっていたことに気付いた僕は彼女が来た道を辿った先に女生徒の撲殺体を発見する。
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posted at 22:15:02
2012年11月27日(火)
一応、作者が頑張ってミスディレクションをしようとしているが、それをすればするほど悪い意味で落差が際立ってしまっているように思う。動機などのその他の作り込みがしっかりしているだけに、メイントリックをもう少し何とかしてほしかった。
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posted at 19:37:18
うーん……謎の演出がいい分、真相との落差が酷い。正直いえば、あるキーワードが作中に出てきた時に、嫌な予感がしたのだ。だがいくらなんでもそれはないだろうなと切り捨てたものが、もろに真相だったのにはさすがに脱力せずにはいられなかった。
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posted at 19:36:40
ポール・アルテ「カーテンの陰の死」読了。頭皮を剥いだ刺殺体が発見された。現場に偶然居合わせたマージョリーは犯人らしき人物が自分の下宿に入っていくのを目撃する。その後、下宿の住人が密室状態の玄関で殺され、しかもそれが七十五年前に起きた迷宮入りの事件と瓜二つであることが発覚する――。
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posted at 19:36:10
2012年11月26日(月)
もともとそういう傾向はあったが、中期以降はいささか装飾過剰気味で、話やオチが分かりづらいものが多いような気がする。お気に入りは「残されていた文字」「ロマンチスト」「潮招く祭」「魔女の巣箱」あたりだが、個人的には「とうにハロウィーンを過ぎて」も入れてほしかった。
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posted at 17:38:00
井上雅彦「四角い魔術師」読了。怪奇と幻想をこよなく愛する伯爵こと井上雅彦のベストセレクションとも言うべき作品集。今回、初期から現在に至るまで幅広く発表された短編やショートショートを読んでみて改めて思ったが、やはり自分は初期の作品の方が好みかもしれない。
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posted at 17:37:24
2012年11月25日(日)
北山猛邦「てんちゅわうわう 第一話 少女の盾となれ」読了。帝国に侵略された小国というよくある話ながらも、この作者らしいキャラ造形は健在。第一話を読んだ時点ではまだ何ともいえないが、今後面白くなるかどうかは武器を持たない防御専門の護衛隊という独自の設定がどう活かされるか次第だろう。
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posted at 11:27:38
2012年11月23日(金)
美術調律者・影シリーズの二作目。前作「赤い球体」よりも展開は大人しめだが「黒い楕円」の使われ方が極めてこの作者らしい。個人的にはページ全てアレで埋め尽くすぐらいのハッチャケぶりを見せてくれても良かったのだが、どうもこのシリーズは作者が自ら暴走に歯止めをかけているような気がする。
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posted at 18:18:48
倉阪鬼一郎「黒い楕円」読了。自らの作品を呪物と化し人々に災いを齎す異形の天才芸術家・黒形上赤四郎。そんな彼の回顧展が空間デザイナー・日限月介のプロデュースにより開催されることになった。その回顧展でモチーフとなっている「黒い楕円」は観客ばかりか様々な形で日常に影響を及ぼし始め……。
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posted at 18:18:02
2012年11月22日(木)
一応、物語的にはよく練られているものの、読み終わってみると全てはエピローグのための布石だったような気がしてならない。とりあえず新たな展開を迎えた次巻に期待したい。
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posted at 22:24:32
ファンタジーとミステリの融合を目指したシリーズの第三弾。今回は、前二作に比べて謎の解明によるカタルシスよりもタイムリミットサスペンスとコンゲームに比重がおかれた内容となっている。これはこれで面白いとは思うが、前二作のような謎解き要素を期待すると少々物足りないかもしれない。
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posted at 22:24:07
山形石雄「六花の勇者3」読了。魔哭領を奥へと進む六花の勇者たち。その道中、ゴルドフが突如姿を消したことが全ての始まりだった。続いてチャモが秘かに仕掛けられていた罠により、命の危険に晒される。チャモを救うためには一刻も早くそれを仕掛けた者を探し出さなければならない――。
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posted at 22:22:57
ただ個人的にはこの合理的な解決よりもむしろその後に明かされるあるエロエロな構図の方を評価したい。登場人物の少なさのせいで犯人の意外性こそないものの、この構図をきっちり伏線を張った上でやってのけた作者は正直バカとしか言いようがない(褒め言葉)。本作はバカエロミスの隠れた良作である。
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posted at 16:31:48
始まりこそよくあるサスペンスものだが謎の殺人事件が起こる中盤以降からは轢き逃げにあった若い女の幽霊まで登場し俄にホラーっぽい雰囲気になってくる。これが草野唯雄だったらヤっちゃった展開にしかならないのだが、そこは中の人が大谷羊太郎ということもありちゃんと合理的な解決をつけてくれる。
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posted at 16:31:33
鷹見緋沙子「悪霊に追われる女」読了。資産家の順子は不倫関係にあった夫の友人・寺西とドライブを楽しんでいたが、帰りがけの山道でうっかり若い女を轢き殺してしまう。死体は寺西が岩穴に隠し事なきを得たかに思えたが、一年後、白骨死体の発見が報じられたのを機に寺西のもとへ脅迫状が届けられる。
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posted at 16:31:10
また読み終わって初めてその意味が分かるタイトルも秀逸。これは言ってしまえば作者自身が本作のメインはあちらであると証明しているようなものだろう。本作は、徹底した構図の隠蔽に作者の技巧を見出だすことができる傑作である。
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posted at 13:09:04
読了後の感想を一言でいうなら「お前かよ!」(爆)。三人の少年少女によるひと夏の恋の終わりと共に浮かび上がる事件の構図には大いに唸らされた。このやられた感は作品のテイストこそまるで違うが、国内作家Hの某作品に近いものを感じる。
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posted at 13:08:33
多島斗志之「黒百合」読了。一九五二年夏。父の古い友人である浅木さんに招かれて六甲にある別荘を訪れた私はその翌日、浅木さんのひとり息子・一彦と共に向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女・香に出会う。夏休みの避暑地を舞台に育まれる淡い恋、そして死――。
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posted at 13:08:09