麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年11月21日(水)
更に最後のまとめ方にしても収録作的に仕方ないとはいえ、イヤミスと言っておきながらホラーになるのはさすがにどうかと思うし(もしかしたら作者が「着信アリ」の脚本家ということで担当が要請したのかもしれないが)ホラーをやるにしてもこの短さでは説明だらけで雰囲気もあったものではない。
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posted at 18:42:29
ミステリとして見ると表題作がベストで、定番の設定ではあるが小説という媒体を巧く活かしているのは○。但し、それ以外の収録作はというと悪いとは言わないがイマイチ目新しさはない。一番奇をてらったと思しき「ストックホルムの羊」も完全に見せ方、仕掛けが某国内作品と被ってしまっている。
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posted at 18:42:10
本作はイヤミス連作集とあるが、何故か読んでいて一度もイヤミスだとは感じなかった。それは自分がこの手のものを読み慣れているからというのもあるだろうが、どうも文体からあまりイヤ感が伝わってこない。また短く纏めようとして説明しすぎるきらいがあるのもそれに拍車をかけているような気がする。
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posted at 18:41:26
美輪和音「強欲な羊」読了。大輪の薔薇のように艶やかで気性の激しい麻耶子と、桜のように可憐で儚げな沙耶子。対照的な性格の美しい姉妹の間で、次々と起きる陰湿で邪悪な事件。遂には妹が姉を殺害するに至るが……。第七回ミステリーズ!新人賞受賞の表題作含む五編収録。
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posted at 18:40:38
2012年11月20日(火)
そして本作もまたそれを体現したような、トリックをぶちこんだだけの作品になっており、それを活かすための伏線や構成はかなりおざなりと言わざるを得ない。できればプロットの段階からきっちり練り込んでほしかった。
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posted at 17:34:22
自分は本格ミステリとはトリックだけぶちこんで終わりな小説ではないと思っているが、そういう人間からすると本作の探偵役である久我京介は好きになれない。というのも彼は『トリック百科事典』の執筆をライフワークとしており推理小説のトリックだけ抜き出して教えてくれるバイトまで雇っているのだ。
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posted at 17:33:59
藤原宰太郎「密室の死重奏」読了。ミステリー研究家・久我京介の助手・明夫の姉が自室で殺された。警察は発見時、現場が密室状態だったこと、そして自殺と思われる大学助教授の死体も一緒に発見されたことから無理心中と断定。だが、それに納得できない明夫は久我の協力を得て真相解明に乗り出す。
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posted at 17:33:40
2012年11月17日(土)
とはいえ目をひくものも幾つかあり、その中でも前述した「ケーキの好きな死体」と殺された画家の遺した『髭のある女』の解釈を巡る「ヘソまがりな死体」はホワイダニットから導かれるロジックが秀逸な二編である。
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posted at 19:11:45
不可解な状況を巡るホワイダニットを扱っているという点ではシリーズ一作目「おかしな死体ども」と共通しているが、一作目と比べると明らかに出来が落ちている。特に酷いのが「たいやきを喰った死体」で一応ある小道具でフォローはしているものの、メインのダイイングメッセージの解答は正直脱力もの。
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posted at 19:11:23
海渡英祐「ふざけた死体ども」読了。日本の元首相と同じ名を持つ、頑固で無愛想で皮肉屋な吉田茂警部補が探偵役を務めるシリーズの二作目。死体の顔一面にケーキが塗りたくられた「ケーキの好きな死体」、奇術サークルのメンバーが殺されテーブルの下から発見される「隠れん坊する死体」など八編収録。
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posted at 19:10:05
2012年11月16日(金)
ラストは些かご都合主義感が否めない部分もあるが、これはこれでエンタメ作品のお約束か。本作は映画業界という舞台を巧く活かした本格ミステリであると同時に、主人公の成長小説としても秀逸な作品である。
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posted at 22:41:49
傑作。本作には映画に賭ける人々の熱さが凝縮されており、映画に少しでも思い入れのある人であれば、思わず手に汗握らずにはいられないだろう。正直本作を読んでいるとミステリ要素なんてどうでもよくなる(!)のだけど、そちらでも作者は手を抜かずこの設定ならではのロジックで魅せてくれる。
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posted at 22:40:59
中山七里「スタート!」読了。数々の傑作を生み出してきた日本映画界の巨匠・大森宗俊が久々にメガホンを取ることになり映一もスタッフの一人として撮影に参加することになった。だが撮影は順風満帆とはいかず様々なトラブルに見舞われる。人為的な事故、脚本やフィルムの流出、そして遂に殺人が……。
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posted at 22:39:34
2012年11月15日(木)
もっとも第七話「大政の幽霊」以降は時代小説の方に比重が置かれて、ミステリ的にはやや物足りなくなるも、最終話「蛍とんで」で用いられる、ある意味ミステリの定番とも言える趣向には思わずニヤリ。ベストはシンプルなロジックが導き出す意外性が見事に決まった「川岸の女」。
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posted at 19:45:31
一応この短編はダイイングメッセージ物ではあるが、それよりもむしろ終盤に明かされる盲点をつく伏線が秀逸。その他、英語のテキストに残されたアルファベットの血文字「横文字破り」や西洋奇術一座の公演中に起こった殺人「迷い獅子」など、その時代ならではの設定、小道具の使い方が絶妙。
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posted at 19:44:40
内容の方は言えば、時代小説と本格ミステリのバランス配分が素晴らしく、最初の短編「星のある男」からして、明治という時代を魅力的なキャラと語り口でグイグイ読ませるなあと思っていると、突然予想もしなかったところからあっと驚かせてくれる。
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posted at 19:43:54
これは思わぬ掘り出し物だった。本作はタイトルだけみると次郎長が探偵役を務める短編集のように思えるが、実際はそうではなく、状況によって五郎と次郎長の間で探偵役とワトスン役がコロコロ入れ替わる。そういうところからもこの二人がいいコンビであることが窺えるだろう。
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posted at 19:42:59
海渡英祐「次郎長開化事件簿」読了。維新の激動まだ鎮まらぬ明治十一年を舞台に、老ヤクザの親分・清水の次郎長と、のちに「東海遊侠伝」で次郎長の名を広めることになる青年・天田五郎のコンビが怪事件、難事件を鮮やかにさばく連作短編集。全九編収録。
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posted at 19:42:14
2012年11月14日(水)
言うなれば本作はトラベルミステリの王道パターンを踏襲することで意外性を際立たせており、そこからの構図の反転も実に鮮やか。特に秀逸なのはプロローグの書き方で、その時点から作者が仕掛けていたことがよく分かる。本作はアリバイ物が苦手な人にこそ読んでほしい、隠れた良作である。
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posted at 17:34:53
そして、それ以降も火サスの域を出ることはなく(ただ事件を追う妹の、姉の呼び名が「お姉ちゃま」なのにはさすがに吹いたw)イマイチ面白みのわかないまま頁をめくっていたのだが……まさか後半であんな展開が待っていたとは思わなかった。
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posted at 17:34:10
正直言えば途中まで本作のことをダメミスだとばかり思っていた(爆)。何しろ序盤から、殺されるかもしれないと手紙まで書いていた女が何の疑いもなく人気のない河原に連れ出され、あからさまに怪しいワインを飲んで死ぬというツッコミどころ満載の展開なのだ。
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posted at 17:33:29
津村秀介「北の旅 殺意の雫石」読了。東京でホステスをしていた藤本昌代が岩手・雫石の河原で死体となって発見された。現場には「川口」というダイイングメッセージが残されていた。事件の謎を追う妹の亜紀とルポライターの浦上はやがて姉の元愛人・牧内に目をつけるが彼には鉄壁のアリバイがあった。
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posted at 17:32:32
とはいえ事件の構図自体はなかなか面白く、きっちり伏線を張っていれば、かなりの秀作になっていたかもしれない。ちなみに本作(自分が読んだのは徳間文庫版)の裏表紙に書かれているあらすじは、犯人や動機のネタバレになっているため、これから読もうとしている人は要注意。
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posted at 17:32:06
ハードボイルドと本格ミステリの融合。もっとも犯人当てとしてみると、犯人を特定する伏線がほとんどなく、完全に後付けの説明になってしまっているのが残念。むしろ本作で見るべきところは密室トリックの方であり、このトリックを成立させるための状況設定が実に秀逸。
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posted at 17:31:46
荒木一郎「シャワールームの女」読了。妹が財閥の次男坊と結婚することになったので恋人との縁を切ってほしい。費用は秘書として働いた給料と相殺で――それが元刑事の探偵・一条精四郎の許へ舞い込んだ奇妙な依頼もとい秘書志願だった。だがいくら探っても恋人の情報は掴めず、やがて密室殺人が……。
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posted at 17:31:19
2012年11月09日(金)
尤も担当編集者は「ミステリーとしてどうよ」と苦言を呈しているが、はなからバカミスとして書かれている以上、個人的には充分アリだと思う。野崎まどの入門編としてはお勧めできないが、野崎まどファンであればニヤニヤできること請け合いの短編集である。
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posted at 21:48:20
また文章表現だけではなくイラストを多様する構成はある意味、蘇部健一作品にも通じるものがある。基本的には非ミステリ作品ではあるが、唯一例外なのが「首狩島容疑者十七万人殺人事件」で、首を切らなかった理由という逆説的なロジックを扱っているのが素晴らしい。
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posted at 21:47:49
だがその一方で単なるギャグ物には留まらない、この作者ならではの文章実験が炸裂しており、例えば最初の短編「Gunfight at The Deadman city」では小説の常識を打ち砕くような衝撃(笑撃?)の超絶技巧を見せてくれる。
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posted at 21:47:23
本作を一言で例えるならば、小説版「ギャグマンガ日和」。全編シュールとしか言いようのないギャグ物で統一されており、「パーフェクトフレンド」のトムなどのギャグが好きだった人にはうってつけの作品と言えるだろう。
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posted at 21:46:27
野崎まど「野崎まど劇場」読了。野崎まど初の短編集。死体を探しに行く検死官、対局にペットを連れてくるプロ棋士、勇者を何とかしたい魔王、色々とツッコミどころ満載の森の音楽団、密室を舞台に活躍するアイドルグループ、アンドロイド対人間のビームサーベル戦記などバラエティ豊かな24編収録。
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posted at 21:45:52