麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年01月31日(木)
またそれを示す伏線も実に巧妙。トリックの一つ一つもよく練られているが、密室トリックに関してはそのおぞましい(?)光景を想像して思わず笑ってしまったw 一部バカミス好きが惹かれそうなトリックはあるものの、基本的には作者の計算が隅々まで行き届いた精緻な本格ミステリである。
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posted at 18:45:41
山岳を舞台にした本格ミステリの秀作。本作で最も秀逸なのは何と言っても終盤で浮かび上がる事件の構図だろう。ミステリでは定番のネタながら画壇という設定と組み合わせることにより、ただのサプライズだけに終わらず、きちんと説得力を与えていることにも成功している。
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posted at 18:45:11
長井彬「北アルプス殺人組曲」読了。北アルプス南岳で起きた新進画家・植垣達雄の遭難死には幾つも不審な点があった。友人のピアニスト・竜泉寺純が調査を始めるが謎は深まるばかり。そうこうしているうちに雪の中の全裸死体、山小屋の密室殺人と次々と事件が発生、遂には竜泉寺に殺人の容疑が――。
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2013年01月30日(水)
むしろもう一つの見所は事件の動機の方で、犯人のそれまでの行動と相俟って最後の皮肉なオチが絶妙な効果をあげている。本作は伏線探しが好きな読者には堪らない作品である。
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posted at 22:19:17
特に秀逸なのは一つ目のアリバイトリックで、ミスディレクションの巧さもさることながら、被害者の心理をここまで見事に利用した犯人の計画には脱帽と言わざるを得ない。但し優れているのは一つ目のトリックのみであり、三つ目に至ってはかなり早い段階で大半の人間が分かってしまうことだろう。
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posted at 22:18:44
「なにげなく見える一行一行がすべてナゾ解きのための伏線であるような、そんな推理小説を目指しました」とは本作に寄せられた作者のコメントだが、事実、本作で犯人が仕掛けた三つのアリバイトリックを解くための伏線は作中にかなり細かく張られている。
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posted at 22:18:11
長井彬「死の轆轤」読了。高校の歴史教師・妻木玲子が密室状態の自宅で死んでいるのが発見された。玲子は瀬戸の高名な陶芸家・高田弥四郎のもとに通い陶芸の歴史を調べていたという。やがて玲子の知り合いが次々と謎の死を遂げ弥生四郎の弟子・瀬尾利雄に疑いがかかるが彼には鉄壁のアリバイがあった。
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2013年01月29日(火)
尤もこのあるネタに関しても今となっては珍しくないかもしれない。だが、それをいち早く採用し、かつそれが成立する舞台を作り上げたという点では、本作は紛れもなく本格ミステリと言っていいだろう。
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posted at 18:47:42
とはいえ本作で延々と描かれるのは隔世の感があるコンピューター犯罪であり、恐らく本作を読んだミステリ読みの大半が「どこが本格ミステリなのだ?」と首を傾げるに違いない。だが終盤に至り、あるネタが明かされると共に本作は忽ち本格ミステリとしての顔を覗かせる。
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長井彬「殺人オンライン」読了。大手銀行のオンラインが何者かに操作され、二億八千万円がキャッシュコーナーから流出する事件が発生した。同じ頃コンピューター室勤務の女性行員が失踪、犯人と思われていたが、間もなくバラバラ死体となって見付かり、事件は混迷の様相を示し始める。
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2013年01月27日(日)
ミステリとしては表題作と「カレーライス」が構図の反転に、「天丼」「鰻料理」が料理に纏わる伏線に見るべきところがある。個人的には、本作は「恐怖の食卓」までの全五編+エッセイで纏めてしまった方が良かったかもしれない。
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posted at 18:08:45
尤も第五話「恐怖の食卓」に関してはミステリではないもののブラックユーモアに満ちた好編という印象で決して出来自体は悪くないのだが、それ以降になるとどうにも完成度がぐっと落ちる。それはもしかしたら第四話以降、雑誌発表期間が随分とあいていることと何か関係があるのかもしれない。
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posted at 18:08:02
グルメで知られる作者による連作ミステリ短編集。タイトルにもなっている料理に纏わる殺人事件を解決するという趣向は「グルメ殺人事件」を彷彿とさせるが、「グルメ~」のようにきっちりミステリをやっているのは第四話「鰻料理殺人事件」までである。
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posted at 18:07:36
嵯峨島昭「ラーメン殺人事件」読了。グルメでキザな酒島警視と人妻探偵・鮎子らが解き明かす七つの事件。表題作の他「天丼殺人事件」「カレーライス殺人事件」「鰻料理殺人事件」「恐怖の食卓」「ジンギスカン料理殺人事件」「能登恐竜グルメ」に加え、特別エッセイ「男の中の男は料理が上手」を収録。
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posted at 18:07:00
2013年01月24日(木)
そして本作の一番の見所は何と言っても連作としての纏め方で、各話に張られた伏線の場所こそあからさまながら、それを回収していく様は実にそつがなく、前作以上にこなれている。ただのキャラ物ミステリと敬遠することなく読んでほしい、連作本格ミステリの良作である。
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posted at 22:15:38
その片鱗を最初に感じたのは第三話「選挙」で、選挙戦の最中に発覚したスパイを三人の容疑者から見付け出すこの短編は正統派のフーダニットをやりつつも巧みなミスディレクションを配して一筋縄ではいかない内容となっている。真相は某クイズを知っていると苦笑ものだが、盲点を巧く突いていると思う。
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posted at 22:14:50
前作「葬式組曲」で異世界ミステリという新境地に挑んだ作者の新作は、政治の世界を舞台にした連作ユーモアミステリ。タイトルからはあまり想像がつかないかもしれないが、本作は意外にも本格ミステリとしてもきっちり作り込まれている。
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posted at 22:14:07
天祢涼「セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎」読了。甘いマスクと巧みな弁舌を兼ね備えながらも度重なる問題発言、問題行動でお騒がせ議員として知られている漆原翔太郎。そんな翔太郎に頭を痛める真面目一辺倒の秘書・雲井進。そんな二人が遭遇した五つの事件を収録したユーモアミステリ短編集。
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2013年01月23日(水)
あとの二編は同じ探偵が活躍する話ながら、騙し合いと奇妙な謎に端を発する宝探しと、それぞれ毛色が異なるのが面白い。子供向けに書かれた作品ではあるものの、大人が読んでも充分楽しめる、丁寧な仕上がりの短編集である。
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posted at 17:57:37
「双眼鏡は知っている」は双眼鏡で目撃した殺人の光景が一瞬のうちに消えてしまった謎を巡る話で、真相を成立させる状況設定は巧みだが、他作品のネタバレを前提とした謎解きのため注意が必要。
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posted at 17:55:54
本作に収録された四編のうち、最もミステリ度が高いのは表題作だろう。捜査線上に浮かび上がった三人の容疑者から犯人を特定するオーソドックスなフーダニットで、事件が起こる前の何気ない行動が思わぬ繋がりを見せる点が実に秀逸。
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posted at 17:54:54
高原弘吉「アトリエ殺人事件」読了。アトリエで美術教師が殺された事件の犯人探し「アトリエ殺人事件」、双眼鏡で目撃した殺人の光景は幻か現実か「双眼鏡は知っていた」、奪われた書類を巡る駆け引き「かくしマイクのわな」、雨の中で木を切る男の謎と宝探し「古屋敷ののろい」の全四編収録。
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posted at 17:54:39
2013年01月22日(火)
しかもそれだけでは終わらず、前述の設定に対してきちんと必然性を用意している点は好印象。それとカバー裏で紹介されている著者の近況が、まさかあんな形で活用されているとは思わなかった……。本作は「赤い靴少女殺人事件」に並ぶ、ハードボイルド風本格ミステリの良作である。
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posted at 19:55:16
本作は粗筋からも分かるように極めてトリッキーな設定だがミステリとしては意外にも(?)真っ当なフーダニット物に仕上がっている。二転三転する推理の中には結構驚かされるものもあるが作者はそれを惜しげもなく手掛かりの一つとして投入し単純ながらも盲点といえるロジックで犯人を特定してみせる。
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posted at 19:54:59
梶龍雄「女たちの復讐」読了。気が付くと探偵兼殺し屋の真藤は全裸で椅子に縛り付けられていた。目の前にはこちらに銃口を向けた女がいる。これは私の父を殺した復讐なのだと女は言った。だが真藤は彼女の父親を手にかけていない。刻一刻と迫る命の危機に真藤は必死の安楽椅子探偵を試みることになる。
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posted at 19:54:14
2013年01月21日(月)
アリバイトリックはこの設定ならではのものであり、なかなか大がかりで見応えがある。そして幾重にもわたるどんでん返しの果てに待つ結末は意外性よりもどこか哀愁漂うゴシック小説の匂いを感じさせる。本格ミステリとしては勿論のこと、芸術美やゴシック・ロマンスに惹かれる読者向けの作品である。
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posted at 23:50:40
「古典の甦りを告げる英米風本格推理」と謳った本作だが、確かに肉食植物やピラニアなどの猛魚に彩られたビクトリア様式の豪邸で起こる密室殺人という内容はいかにもそれっぽい。とはいえ本作は密室にはそれほど重きは置かれておらず、むしろアリバイトリックと多重どんでん返しがメインとなる。
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posted at 23:50:16
余志宏「蒔く如く穫りとらん」読了。アメリカ中部の湖畔に建つビクトリア様式の豪邸の密室で変死した大富豪。その事件の背後には死を呼ぶ呪われた飛鳥仏の存在があった。捜査陣は「内的啓示」によって真相を見抜く日本人留学生・白水万里を招聘するが、その一方で関係者たちが次々と怪死を遂げていく。
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2013年01月20日(日)
そして、いつもならサイボーグ女将・リリー様が最後に美味しい部分を全て持っていくところだが、今回に限っては珍しく最後まで花咲か爺さんが大活躍する。言うなれば本作は変態スペオペと日本昔ばなしの夢の共演(狂演?)ともいうべき怪作なのである(意味不明。けど読めば分かります)。
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posted at 19:23:01
「ブラック・ホールも平手で叩き落とす」が売り文句のプレッジ・スミスさんの活躍はお預け状態だし、シリーズ二作目「恐怖の暗黒魔王」に引き続き魔王の忠実なる側近であり四天王の一人・竜神童子が再び登場するも、残念ながら今回も見せ場一切なし(涙)。
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posted at 19:22:35
……と粗筋はえらく仰仰しいが読み終わってみれば花咲か爺さんしか覚えていない(爆)。というか何でスペオペに花咲か爺さんが出てくるのか意味不明だが、それこそが友成クオリティ。ぶっちゃけヴァニスで花咲か爺さんが終始大暴れして、その合間にバカ同士のバトルがちょこちょこあった印象しかない。
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posted at 19:22:14
友成純一「戦闘娼妓伝」読了。反世界主義分子を統率し銀河連邦に反旗を翻す、民主主義の魔王ことプレッジ・スミス。その魔王の所在を探るべく、銀河の辺境ヴラド星域へやってきた密偵娼妓船ヴァニス。宇宙の命運を賭けた魔王軍団と戦闘娼妓たちの戦いの火蓋が今、切って落とされようとしていた――。
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posted at 19:21:59
個人的に感心したのは伏線をキャラ描写に巧く溶け込ませている点で、事件の構図も定番ではあるが、非常に効果的。ボトルネックとは全く違った物語ではあるが、この作者らしい苦味の混じった本格ミステリの秀作だと思う。
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posted at 16:37:12
本作は帯を見ると版元が同じためか「ボトルネックの感動ふたたび」とあるが、意外にも(?)真っ当な本格ミステリだったことに驚いた。これがボトルネック系なら超自然現象&突き放した結末で終わるところだが、謎にはきちんと合理的な解決が与えられ、結末も仄かな希望が存在する。
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posted at 16:36:48
米澤穂信「リカーシブル」読了。父が失踪したのを機に母の故郷に引っ越してきた姉ハルカと弟サトル。だがそれから間もなく弟は予知能力を発揮し始め姉は「タマナヒメ」なる町の伝説とそれに纏わる奇怪な死の数々を知ることになる。この町はどこかおかしい――。
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posted at 16:36:29