麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年04月29日(月)

中山七里「切り裂きジャックの告白」読了。東京・深川警察署の目の前で臓器を全てを抜かれた若い女の死体が発見されたのが全ての始まりだった。犯人は「ジャック」と名乗りテレビ局に声明文を送ると共に立て続けに第二、第三の犯行をやってのける。そんな中、被害者たちに思わぬ共通点が見付かり……。
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posted at 22:24:55

本作の内容に触れる前にこれだけは言っておきたいのだけど、まず帯がネタバレし過ぎ。特に驚きのポイントを具体的に言及している某書評家の推薦文は言語道断であり、できればこれから本作を読もうとしている人は速やかに帯を捨てるか、カバーをかけて見えないようにすることを強くお勧めしたい。
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posted at 22:25:10

自分は生憎その帯を見てしまったがために途中で犯人の正体に気付いてしまったが、それでも本作の魅力が完全に失われてしまったわけでは決してない。切り裂きジャックという定番の題材とあるテーマを融合させた手法が素晴らしく、それに絡んだドラマの盛り上げ方はもはやベテランの域に達している。
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posted at 22:25:27

ミステリとしてはそこまで凄い仕掛けではないものの伏線は丁寧に張ってあり、意外性を出しつつもきちんと納得できるものになっている点は好印象。個人的には犯人の正体よりもむしろ○○の隠し場所に感心した。過度な期待をしなければ問題なく楽しめる社会派本格ミステリの良作である。
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posted at 22:25:49
2013年04月30日(火)

笹沢左保「対決」読了。様々な対決をテーマにした短編集。夫を脅迫する男とそれに巻き込まれた新妻「穴」、幸せいっぱいの若妻と醜く不幸な妻「妻となって三年」、一人の男の死を巡り対立する二人の女「女ふたり」、真実を語らない殺人犯と検事「逆光の像」、殺人者と目撃者「惨劇の海」の五編を収録。
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posted at 20:47:40

「穴」は伏線の弱さが気になるものの、二転三転する展開と意外な着地が秀逸。「妻となって三年」は展開から真相は容易に読めてしまうが、それよりもむしろラストの女の恐ろしさが見所か。「女ふたり」は解説でも触れられているが、殺人事件の犯人と探偵の対決にも拘わらず平穏に終わっている点が新鮮。
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posted at 20:48:07

「逆光の像」はミステリというより、息子の自殺を経て、若者の隠された心情に迫る検事の姿が胸を打つ。そして「惨劇の海」は島に建つ別荘を舞台に殺人者と目撃者が対決するシンプルな構図からの反転が素晴らしく、幕切れも申し分ない。ベストを挙げるなら、この作品しかないだろう。
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posted at 20:48:36