麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年07月31日(水)
というのも今回の仕掛けは人によってはかなり早い段階で気付く類のものであり、むしろ作者が「陰摩羅鬼の瑕」のような読み方を推奨しているのではと勘繰ってしまう。しかしながら「Another」の設定を活かしたある動機部分は悪くない。あくまでミステリとして読まない方が楽しめる作品である。
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posted at 21:03:28
本作の帯には「Another」の続編と銘打たれているが、どちらかといえば番外編に近い。「Another」が特殊状況下から抜け出そうともがく話だったのに対し本作は奇妙な幽霊譚で、「Another」同様ミステリ的仕掛けはあるものの、正直それに過度な期待はしない方がいいだろう。
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posted at 21:02:33
綾辻行人「Another エピソードS」読了。「見えるの? きみには、僕が」夏休みに家族と共に別荘へやってきた見崎鳴はそこで死の前後の記憶を失い、消えた自らの死体を探し続けているという賢木晃也の幽霊と出会う。興味を惹かれた鳴は彼の死体探しに協力することになるが……。
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posted at 21:02:02
「民主主義殺人事件」はトリックよりもむしろ手掛かりの隠し方に見るべきところがある。「わがままな死体」は生憎トリックは読めてしまったが、ユーモラスな語り口と構成が○。「Xの被害者」は同様のネタを用いた作品が幾つかあるものの、伏線とタイトルが秀逸。ベストを挙げるなら「Xの被害者」。
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posted at 16:31:15
本作は読者に探偵士を目指してもらうべく七つの短編を「予備テスト」「二級探偵士への道」「一級探偵士への道」の三つの難易度に分けて収録しているが、正直「二級探偵士~」の途中までは初歩的なネタばかりでかなり物足りない。それが一転して面白くなってくるのは「民主主義殺人事件」以降だろう。
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posted at 16:30:51
土屋隆夫「あなたも探偵士になれる」読了。「小説を楽しみながら探偵士になれる!」がコンセプトの異色謎解き短編集。バスの中での不可能犯罪「民主主義殺人事件」、舞台上で発生した殺人事件「わがままな死体」、完全犯罪を計画した犯人が逮捕された理由を推理する倒叙物「Xの被害者」など七編収録。
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2013年07月30日(火)
本作の見所は何といっても電話で得た僅かな手掛かりから犯人や被害者、犯行現場まで特定してしまう点で、その過程は実に鮮やか。その後の展開にしても首吊り死体が着替えた理由といった不可解な謎で読者の興味を惹き付けるものの、終盤になると一転して微妙なサスペンス物になってしまうのが残念。
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土屋隆夫「妻に捧げる犯罪」読了。交通事故で性的不能になったばかりか妻にも裏切られた男がかけた悪戯電話がある夜、偶然にも殺人現場へ繋がってしまう。男は電話での僅かなやり取りから事件の全容を推理していくが……。犯人も被害者も犯行現場も不明の殺人事件の真相とは?
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posted at 17:10:10
2013年07月27日(土)
飛鳥部っぽいといえば本作の構成もまたしかりだが、これについての詳しい言及はネタバレになるので各自で読んで確かめてほしいと思う。ただその一方で、最後に語られる動機が些か伏線不足なのと、ミレイのその後の扱いに不満を感じるが、それを差し引いても、個人的には偏愛したい作品である。
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posted at 17:26:00
トリック自体は単純な一発ネタだが、それを悟らせないように組み上げたプロットが秀逸。それに加えてミレイのキャラが何とも艶かしく描かれており、読みながら凄く飛鳥部勝則が書きそうなキャラだなと感じた(そういう意味では、飛鳥部の絵を表紙に起用した創元推理文庫版の判断は実に正しい)。
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posted at 17:25:31
土屋隆夫「ミレイの囚人」読了。人気推理作家の江葉章二は街で美しく成長したかつての教え子・白河ミレイと再会する。ミレイの誘いに応じ彼女の家を訪れた江葉だったが、一瞬の隙をつかれて足に鎖を繋がれ書斎に幽閉されてしまう。彼女の目的は何なのか。そして、それと平行して起きた殺人との関係は?
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posted at 17:25:16
2013年07月26日(金)
ミステリ×ファンタジーシリーズの四作目。微妙なコンゲームを繰り広げた3巻よりは物語的に面白くなってはいるものの、肝心のミステリ要素は更に稀薄になっている。何となくこのままただのファンタジーシになってしまいそうな気がしなくもないが、とりあえず次回作でテコ入れがあることを期待したい。
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posted at 18:19:48
山形石雄「六花の勇者4」読了。「黒の徒花」と呼ばれる聖具が「七人目」に関する重大な手掛かりであると聞き、それが造られた神殿へと向かう六花の勇者たち。その行く手を、人間を兵器に作り替えた「屍兵」が立ちはだかるが、その中にアドレッドの故郷の人間も含まれていることが判明し――。
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posted at 18:19:35
2013年07月25日(木)
作者としてはこどものトラウマになるような話を目指したらしいが、全体的に描写がマイルドなせいか、どうも物足りない感が否めない。悪い作品ではないが、個人的にはもっとはっちゃけてほしかった。
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posted at 21:26:58
本作の帯には「『殺戮にいたる病』を凌ぐ衝撃!」とあるが、結論から言うと煽り過ぎ。別に何か仕掛けがあるわけでもないし、どちらかと言えば「子どもの王様」をより殺伐とさせたような印象がある。尤もあとがきを読むと、元々ミステリーランド用の話だったとあって、至極納得した。
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posted at 21:26:26
我孫子武丸「狼と兎のゲーム」読了。二年前に母親が失踪して以来、小学五年生の心澄望と弟の甲斐亜は警察官の父・茂雄の暴行を受け続けていた。ある日、心澄望と友人の智樹は庭で穴を掘る茂雄とその傍らで死んでいる甲斐亜を目撃してしまったことから茂雄に命を狙われることに――。
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posted at 21:25:57
その一方で本作は本格SFというのを意識したからなのか、これまで以上に世界観の作り込みとエンタメ性に力が入れられている。基本的には従来のファンであれば問題なく楽しめるのは勿論のこと、新規読者にもアピールできる完成度の高い作品である。
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posted at 13:44:59
また本作のメインの謎――天才研究者、道終・常イチが生み出した少女、知ルが“何をしようとしているのか”は作者のデビュー作である「[映]アムリタ」を思わせる。そして、それは最後に明らかになる真相にも同じことが言えるだろう。
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posted at 13:44:07
傑作。以前「2」を読んだ時は野崎まどの集大成と感じたが、今回初の本格SFである本作を読んで、これまで出た野崎まど作品の発展系という印象を受けた。本作に出てくる天才や「知る」という行為はこれまでの作品でも繰り返し用いられてきたモチーフだ。
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posted at 13:43:42
野崎まど「KNOW」読了。超情報化対策として人造の脳葉〈電子葉〉の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く御野・連レルは情報素子のコードの中に失踪した恩師の天才研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。その“啓示”に誘われた先で待っていたのは一人の少女だった。
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posted at 13:43:04
しかしながら未来の自分との改変合戦(?)は面白いし、何より定番ではあるものの、作者の仕掛けたサプライズは成功していると思う。「リライト」を読んでいる人間なら間違いなく楽しめる良作である。
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posted at 09:41:34
SF史上最悪のパラドックス「リライト」から数ヵ月後を描いた本作。相変わらず複雑な話を分かりやすくコンパクトに纏めあげている点はさすがだが、その反面テンポ良く進みすぎて『我が子のために手段を選ばない母親の狂気』があまり感じられなかったのが残念。
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posted at 09:41:19
法条遥「リビジョン」読了。1992年秋、家の女性に代々受け継がれる手鏡で未来を視ることができる霞はある日生まれたばかりの一人息子・ヤスヒコが一週間後に亡くなるビジョンを視てしまう。我が子をなんとしても救いたい一心で霞は手鏡の能力を利用し息子が死ぬという「未来」の改竄に挑むが……。
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posted at 09:40:58
しかしながら「フジコ」と比べると展開が些か駆け足過ぎて事件やキャラの描写が浅いように感じてしまうのが残念。とはいえ作者の企み自体は成功しており、一応館物っぽいタイトルに相応しく(?)探偵役が関係者を一堂に集めて謎解きを披露するオーソドックスなスタイルも○。
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posted at 00:20:44
「『殺人鬼フジコの衝動』を超える戦慄のミステリー」とは、本作の帯に書かれた煽り文句だが、確かに半世紀にわたり続く殺人の連鎖や、思わぬところからから事件の中心人物を引きずり出す本作の構成は「フジコ」とよく似ている。
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posted at 00:20:06
真梨幸子「鸚鵡楼の惨劇」読了。かつて凄惨な殺人事件が起きた鸚鵡楼。その跡地に建った超高級マンションで、人気エッセイストの蜂塚沙保里は誰もが羨むセレブライフを送っていた。そんなある日、連続幼女レイプ犯として刑務所に服役していた元恋人が出所し、彼女の生活を脅かし始める……。
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posted at 00:19:31
2013年07月22日(月)
ベストを挙げるなら、誘拐されたアイドルが惨殺体で発見される「わがままな女」で、特殊能力の法則から事件の構図を一気にひっくり返してみせる技巧が素晴らしい。作者の持ち味を最も発揮したこの短編が読めただけでも個人的には収穫だった。
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posted at 19:42:16
夢を通じて死者の声を聞くことができる特殊能力を持った探偵役が活躍する連作ミステリ。基本的に扱う事件は全て完全犯罪であり、それをイレギュラーである探偵役がどう打ち崩していくかが本作の焦点になる。必ずしもフェアな書き方ばかりとは限らないがその多彩なバリエーリョンは充分読み応えがある。
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posted at 19:42:00
井沢元彦「死にたくなかった女たち」読了。売れない劇団員・司門貘の夢の中にいつしか恨めしげな美女たちが現れるようになった。女たちは決まって貘に対し自分たちを殺した犯人を探してくれと哀願するのだ。半信半疑の貘が調べてみると、果たして夢の中に現れた女たちは皆、不審な死を遂げていた――。
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posted at 19:41:27