麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年07月21日(日)
ミステリとしてみると死体の装飾の理由が今一つだったり、賞に関された秘密がバレバレだったりする反面、構成を利用したダイイング・メッセージやもう一つの事件を巧く隠し通した点など光る部分もある。必ずしも完成度が高いとは言えないが、様々なアイディアが盛り込まれた意欲作ではあると思う。
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posted at 20:34:46
まず本作には賞の最終候補作である三本の短編ミステリがまるまる収録されているのだが、それらは全て作者が昔雑誌に発表した単行本未収録短編である。言ってしまえばお蔵出しというやつだが、こういう形で再利用してみせたのは面白い。
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posted at 20:34:29
辻真先「本格・結婚殺人事件」読了。文英社が主催する第一回「ざ・みすてり」大賞に推理作家・牧薩次の入選が決まった矢先に、選考委員の一人であるタレントで作家の文月みちやが何者かに殺害される。死体は奇妙なことにぬいぐるみを被せられた上、下半身は剥き出しという状態だった。
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posted at 20:34:18
2013年07月19日(金)
ところで本作の帯には何故か「著者の初短編集」とある不思議。「ホラー×ミステリー」という意味合いだとしても、別に収録作の全てがそうというわけでもないしなあ……。
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posted at 22:42:04
にも拘わらず、そこで示される展開と真相は石持浅海にしか書けない内容なのが非常に面白い(あと探偵役が完全に碓氷優佳)。その他、表題作がホラーミステリっぽい味わいだったが、後で初出がSFアンソロジーの「NOVA」と知ってちょっと意外に思った。
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posted at 22:40:51
一部の設定に某作との関連性も見られるが、この世にも奇妙な物語にありそうなヘンテコ話(非ミステリ)はある意味石持浅海の新境地と言えるかもしれない。また「院長室」も二階堂黎人企画のミステリアンソロジーの一作だっただけあって、緊急推理解決院という設定だけ見れば極めて石持浅海らしくない。
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posted at 22:40:28
収録作は基本的にはいつもの石持浅海らしい、ひたすら議論で進行するミステリなのだけど、中には本作ならではの変わり種も存在する。その一つが「黒い方程式」で、一人の主婦がトイレに現れたゴキブリを撃退するために殺虫剤を使ったことからまさかあんなトンデモ展開になるとは思わなかった(驚愕)。
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posted at 22:39:59
石持浅海「三階に止まる」読了。いつも三階で止まるエレベーターの謎を描いた表題作を始め、女子更衣室の覗きをしていたらしい男子生徒が殺害された事件を巡る「壁の穴」、二人の自殺志願者が廃墟になった工場跡で見付けた死体について推理する「心中少女」など八編を収録したノンシリーズ短編集。
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posted at 22:39:28
2013年07月18日(木)
とはいえ、そのトリック自体は特殊知識に依存し過ぎだったりバレバレだったりと必ずしも褒められるものばかりではないが、それらを纏めあげた構成力と様々な趣向を盛り込んだサービス精神は充分評価に値する。中山七里のようなエンタメ性の高い本格を読みたい人にこそお勧めしたい作品である。
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posted at 23:14:33
「変若水」で第三回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞した作者の二作目は、これでもかとばかりにトリックを詰め込んだ力作である。その詰め込み具合は小島正樹を彷彿とさせるが、小島正樹が島田荘司系であるのに対し、本作の作者は由良三郎系なのが特徴か。
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posted at 23:14:08
吉田恭教「ネメシスの契約」読了。八年前に実父が犯した首切り事件を追う新聞記者。医療ミス疑惑の調査をしていた厚労省職員。人権派弁護士の息子惨殺事件の捜査にあたる女性刑事。三人がそれぞれ関わった事件がやがて密接に絡み合い、ある義憤の構図を浮かび上がらせる――。
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posted at 23:10:51
人工受精という、この作者らしいテーマを扱った倒叙ミステリ。重厚かつ丁寧な構成で読ませる反面、ミステリとしてみると全てが予測の範囲から出ないため、かなり物足りなさを覚える。「影の告発」同様、本作もまた本格ミステリとしての面白さを求めると期待ハズレな作品と言えるかもしれない。
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posted at 23:10:36
土屋隆夫「不安な産声」読了。明和医大教授・久保伸也。地位も名誉もある彼が、なぜ強姦を装って罪のない女性を殺したのか? 彼の仕掛けたアリバイトリックこそ見破った千草検事だったが、彼のこの理解を超えた行動には大いに悩まされる。彼の真意は一体どこにあるのか?
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posted at 23:10:12
2013年07月17日(水)
とはいえ動機の一部にはまたかと思わなくはないが(爆)物語としては綺麗に決まっているので、まあいいかなという気もする。何にせよプロットの凝った誘拐物が読みたいという人には是非とも本作をお勧めしたい。
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posted at 20:00:08
それは言い換えれば、探偵と犯人の一進一退の攻防であり、その熾烈な展開には手に汗握ること必至である。個人的に感心したのはかなり早い段階で仕掛けられていたある大胆な伏線と誘拐の狙いで特に後者に関しては大いに唸らされた。
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posted at 19:59:23
傑作。本作は探偵役がいきなり事件の渦中に放り込まれる設定もさることながら、各章の冒頭に挿入される古典ミステリからの引用文が否応なく物語を盛り上げてくれる。勿論その引用文はただの演出ではなく、各章ごとに変化する事件の様相を的確に言い表している。
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posted at 19:58:58
土屋隆夫「針の誘い」読了。製菓会社社長の一歳になる一人娘・ミチルが何者かに誘拐された。すぐに犯人から身代金の要求があり、社長夫妻が指定の場所に出向くが、身代金を渡す段階で夫人が目撃者の直前で姿なき犯人に刺殺されてしまう。偶然事件に巻き込まれた千草検事の推理やいかに?
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posted at 19:58:34
2013年07月16日(火)
捜査活動の合間に挿入される童話の意味もさることながら、まさか指紋の謎にアレが関わってくるとは思わなかった(笑)。序章との関連性がイマイチ薄い点など不満もあるものの、全体的にみればよく練られた良作だと思う。
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posted at 17:20:47
事件が始まって早々、容疑者が特定されることにまずびっくりさせられるが、むしろ本作はここからが本番。以降、次々と不可解な謎が浮上し捜査陣を翻弄する展開は圧巻だが、トリックそのものよりは手掛かりの出し方にこそ本作の巧さがある。
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posted at 17:20:08
土屋隆夫「危険な童話」読了。傷害致死で服役し仮釈放されたばかりの男が従姉妹のピアノ教師の家で殺害された。現場に残された手掛かりからすぐに容疑者は一人に絞り込まれるが、肝心の動機と凶器が見付からない。更に自分が犯人だと主張する謎の投書までが舞い込み、事態は混迷の度合いを深めていく。
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posted at 17:19:30
2013年07月13日(土)
何よりも登場人物の一人一人が生き生きと描かれており、故に事件を通して見えてくる各キャラの行動にもちゃんと説得力がある。これといったトリックやロジックはないものの、その時代の匂いを感じさせてくれるミステリを読みたい人には打ってつけの作品と言えるだろう。
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posted at 16:28:35
戦後間もない舞台と渾名で呼ばれる登場人物たちから一部で梶龍雄っぽいと称される本作だが、梶龍雄の書くその手のミステリと比べると著しく童貞臭が足りない(爆)。加えて怒濤の伏線回収も構図の反転もないけれど、その時代ならではの設定を活かしたミステリとしてはよくできていると思う。
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posted at 16:28:09
土井行夫「名なし鳥飛んだ」読了。戦後間もない新制高校で起きた連続殺人。新任教師の小谷真紀ことオタヤンが日直の日に校長が青酸カリで毒殺されたのを皮切りに、学校の教師たちが次々と謎の死を遂げていく。事件の鍵を握る「名なし鳥」とは一体何者なのか。第3回サントリーミステリー大賞受賞作。
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posted at 16:27:51
2013年07月12日(金)
収録作中、最も運命の悪戯度(?)が高いのは「卍の眼」で、作者の仕掛けたサプライズがより悲劇性を高めている。作者が追求するテーマの一つだけあって、様々なバリエーションの運命の悪戯が楽しめる作品集である。
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posted at 14:26:13
本作は宿命をテーマにした短編集だが、どちらかというと運命の悪戯と言い換えた方がしっくりくるかもしれない。収録作はミステリというより小説として読ませるものが多く、逆にミステリとして読むと「クリスマス物語」なんかはかなりモヤモヤすることになるだろう。
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posted at 14:25:55
笹沢左保「宿命」読了。殺人の時効を目前に控えた女「十五年は長すぎる」、何気に蹴った石によって運命が狂った男「墓場の存在」、男子高校生が犯した動機なき殺人「クリスマス物語」、最果ての地で出会った男女の悲劇「サランパ国境の町」、心中した娘から判事の父に届いた手紙「卍の眼」の五編収録。
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posted at 14:25:44
2013年07月11日(木)
また様々なアイディアを盛り込みつつ、完全に読者が油断したところにサプライズを仕掛けた「さよならを、夜景に」もいい。その他「九人目」もロジックの弱さはあるものの、意外性を何よりも重視した作者の意気込みは買いたい。
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posted at 18:12:30
本作はタイトルにもあるように逆転をテーマにした短編集だが、必ずしも結末の意外性に特化した短編だけが収録されているわけではない。とはいえ五編中三編がそれ系であり、中でも最も鮮やかに決まっているのは作者自身、意外性に力を入れたという「清志を返して」だろうか。
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posted at 18:12:10
笹沢左保「逆転」読了。連続婦女暴行事件がやがて殺人に発展する「九人目」、愛する男にかかった強盗殺人の嫌疑「清志を返して」、職人気質の刑事の意地「馬鹿野郎」、想いを寄せる女を暴行された男の苦悩「さよならを、夜景に」、刑事たちの目の前で起きた完全犯罪「透明の殺意」の五編を収録。
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posted at 18:11:50