麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2014年03月31日(月)
本作は『オイディプス王』になぞらえた展開の中に巧妙に隠された仕掛けもさることながら、それまでの憎しみと情欲にまみれた物語を浄化するような結末が美しい佳作である。
タグ:
posted at 19:43:04
全四章から成る本作の、事件の構図自体は大半の読者が早い段階で読めることだろう。だが本作のメインはどうやってやったかというハウダニットであり、終盤にそれがある気付きから明らかになった時、読者は初めて作者の仕掛けた罠に嵌まっていたことに気付かされる。
タグ:
posted at 19:42:32
連城三紀彦「青き犠牲」読了。大雨が降った夜、高名な彫刻家の父・杉原完三を殺害した容疑で高校三年生の息子・鉄男が逮捕された。『ギリシャ悲劇集』を愛読する彼は父を殺し母を犯したオイディプス王の轍を踏んだのか。そして、美貌の母・沙衣子の微笑は何を意味するのか。
タグ:
posted at 19:42:16
2014年03月30日(日)
またシリーズ中最も登場人物が生き生きと描かれており、特に元プリマドンナの老夫人・愛子媼の強烈なキャラは読者に忘れ難い印象を残すことだろう。「蝶々夫人」の物語を楽しむ上で、謎が程よいアクセントとして巧く機能している作品である。
タグ:
posted at 18:36:05
守泉音彦と鮎村尋深のコンビが活躍するシリーズの三作目は、坂本龍馬の愛刀に纏わる過去の事件とリンクさせることで、タイトルにもなっているオペラ「蝶々夫人」を読み解く内容となっている。真相自体には意外性はないものの、さりげなく散りばめられた伏線にミステリ的技巧を感じる。
タグ:
posted at 18:35:47
森雅裕「蝶々夫人に赤い靴」読了。絵描きの守泉音彦は友人でプリマドンナの鮎村尋深の結婚式に出席するはずが、ひょんなことから知り合った老夫人の逃避行に巻き込まれる形で長崎まで来る羽目になった。そこで彼は実在した蝶々夫人の悲劇に織り込まれた謎を解くことになる。鍵は彼女が残した短刀――。
タグ:
posted at 18:35:31
小道具や設定に凝るのはいいが、せめてもう少し自然に見えるように配慮してほしかった。謎の見せ方や合間に挿入される童話との繋がりが悪くないだけに、非常に残念。
タグ:
posted at 18:35:21
身勝手な大人たちに振り回される子供の悲劇を描きたかったという作者の狙いは分からないでもないが、ミステリとしてみると手掛かりがあからさま過ぎて(というより不自然過ぎて明らかに浮いている)真相が読めてしまうのが難。
タグ:
posted at 18:35:05
辻真先「SLブーム殺人事件」読了。来るべき総選挙を控え候補者同士が火花を散らす山口県・湯原温泉にやってきた薩次たちはそこで奇怪な事件に巻き込まれる。両候補の家に殺人予告の脅迫状が届いて間もなくレストランで少年の死体が見付かるもすぐに消失。その後、密室状況下の別の場所で発見される。
タグ:
posted at 18:34:56
2014年03月29日(土)
また作中で展開される推理にしてもダミーが(目新しさはないものの)一番出来がいいのはどうかと思うし、何より最終的な真相がアンフェアになってしまっているのがいただけない。ガジェットを詰め込むのはいいが、もう少しきちんと練り込んでほしかった。
タグ:
posted at 21:12:34
人気ボカロ曲を元にしたミステリシリーズの二作目。連作形式だった前作から一転、長編となった本作には本格ミステリではお馴染みのガジェットが幾つも盛り込まれているが、それらが仕掛けとして活かされていないのはかなりマイナス。
タグ:
posted at 21:12:04
てにをは「古書屋敷殺人事件」読了。一ヶ月前、蔵書家だった主が首を吊って死んだ通称「古書屋敷」へ本の査定の手伝いでやってきた推理小説好きの女子高生・ひばり。だが屋敷に脅迫状が舞い込んだのを皮切りに亡き主の妻が首なし死体となって発見される。さながら村に伝わるわらべ唄の見立てのように。
タグ:
posted at 21:11:24
2014年03月28日(金)
ミステリとしてみると、前述したある事実に気付くロジックが実に秀逸。その反面、肝心の怪人の正体に関しての伏線がないのが残念だが、動機に捻りを入れている点は○。適度に軽い文体とテンポのいい展開でタイトル通りのスリリングなドライブ感覚が味わえる快作である。
タグ:
posted at 22:18:09
クロケン久々のオリジナル新作は「SAW」の車版とも言うべきソリッド・シチュエーション・スリラー。怪人が仕掛けた罠に嵌まって次々と人が死んでいく展開はまんま「SAW」だが、ある事実が明らかにされたのを境にクローズド・サークル物の様相を示していくあたりが何ともミステリ作家らしい。
タグ:
posted at 22:17:59
黒田研二「ドライブ」読了。何者かに拉致された犬塚琢磨が目を覚ますと見知らぬ五人の男女と共にワゴン車の中に囚われていた。そんな彼らにタブレット型のPCモニターを通じて仮面をつけた怪人〈夢鵺〉が言う。定められたルートを走行し制限時間内に最終目的地に辿り着けば君たちを解放する、と――。
タグ:
posted at 22:15:57
2014年03月27日(木)
「モザイクとフェリスウィール」はミステリ部分よりもルチオ・フルチ好きの女子高生(!)によるフルチ映画蘊蓄の方が面白かった。特に「秩序も思想も計算もなく、豪快に意味不明なルチオ・フルチ先生には誰も勝てないけどな」という発言には痺れた(爆)。収録作中最も作者の趣味が出た作品である。
タグ:
posted at 23:39:30
「夏風邪とキス以上のこと」は「消失グラデーション」の後日譚ともいえる内容で、「消失グラデーション」に登場した某人物と美少女探偵の頭脳戦が楽しめる一方で、明らかに昨年出た某作品へのディスりにもなっているある発言が実に痛快(爆)。またラストの、この作者らしいエロスの匂わせ方も○。
タグ:
posted at 23:39:20
美少女探偵・樋口真由シリーズの三作目にしてシリーズ初の中編集。収録作はいずれもハウダニットをメインに扱っているが謎の設定にそれぞれ工夫が凝らされている。ベストは表題作で、豪快なトリックもさることながら、動機に纏わるこの作者ならではのミスディレクションの巧さに唸らされる。
タグ:
posted at 23:39:10
長沢樹「冬空トランス」読了。性同一性障害に苦しむ少女が監視下にあった四階の教室から飛び降りた謎に迫る表題作を始め、絶対に撮影不可能な映像を作り出した方法を当てる「モザイクとフェリスウィール」、密室に囚われた名探偵の意外な脱出手段を推理する「夏風邪とキス以上のこと」の二編収録。
タグ:
posted at 23:38:37
2014年03月26日(水)
やがて物語は主人公が巻き込まれた「首絞めピエロ事件」に収束していくわけだが、この事件の真相がバカミスと紙一重ともいうべき凄まじさで思わず唖然とさせられる。構図で見れば前例はあるものの、ハウダニットとしてはなかなか画期的なのではないだろうか。
タグ:
posted at 22:02:03
しかしながら見事に状況をひっくり返してもそれが真実とは限らないのが本作の面白いところで、言うなれば本格ミステリとアンチミステリを巧く両立させた構成が実に秀逸。
タグ:
posted at 22:01:48
今年度国内ミステリのダークホース。「七人の証人」と「インシテミル」を足して2で割ったような設定の本作は、裁判を一種のコンゲームとして処理しているのが特徴で、裁判パートは与えられた手掛かりをもとに主人公がどう不利な状況をひっくり返すかが焦点になる。
タグ:
posted at 22:01:29
仁科裕貴「罪色の環 ―リ・ジャッジメント―」読了。かつて多くの犠牲者を出した「首絞めピエロ事件」の裁判で無罪になった青年・音羽奏一。ある日、彼は何者かに拉致され人工島に連れてこられる。そこで彼は裁判員の一人として男女五名と共に日給四百万円である事件の再審判を行うことになるが……。
タグ:
posted at 22:01:19
2014年03月25日(火)
そこだけ見れば完全にバカミス(もしくはトホミス)だが、それが解かれることにより過去の事件の真相も明らかになる構成が実に秀逸。その真相にしても初歩的な手にも拘わらず、それと気付かせない巧さがある。本作は、ネタ自体は小粒でも書き方次第で面白くなるという見本のような作品である。
タグ:
posted at 23:42:59
久々の死相学探偵シリーズ四作目は、過去に起こった事件に纏わる死の連鎖の繋がりを探すミッシング・リンク物。ミッシング・リンク自体はある一部のヒントがあまりにあからさまなので早々に気付く人もいそうだが、気付いたら気付いたでその隠し方に爆笑(もしくは脱力)するに違いない。
タグ:
posted at 23:42:50
三津田信三「五骨の刃 死相学探偵4」読了。半年前、ホラー映画監督・佐官甲子郎が主催する〈恐怖の表現〉展の最中に五種類の凶器による無差別連続殺人が起こった。その現場である〈無辺館〉に忍び込んだ依頼人に死相が浮かんでいることを見て取った俊一郎は依頼人の命を救うため真相解明に乗り出す。
タグ:
posted at 23:41:38
2014年03月21日(金)
盗難の瞬間を映したビデオを巡って二転三転する展開などミステリ的に見るところが全くないわけではないが、どちらかというとミステリ風味のリドル・ストーリーとして楽しむのが吉な作品である。
タグ:
posted at 22:51:07
その理由は実在した人物を中心に扱っているからで、故に作者もあとがきで「本書では“これが正しい”という書き方は避け、ストーリーも謎解き的な解決は果たさなかった」と語っている。
タグ:
posted at 22:50:56
鮎村尋深と守泉音彦のコンビが活躍する芸術ミステリシリーズの二作目。前作同様、メインとなる事件にあるものの真贋疑惑とオペラを絡ませているが、前作に比べるとミステリ色は薄めで、解決も非常にモヤモヤしている。
タグ:
posted at 22:50:48
森雅裕「あした、カルメン通りで」読了。伝説のオペラ歌手、マリア・カラスがその音楽活動を終えた札幌に15年後、カラスの後継者、タルガ・パルフェッタと若きプリマ、鮎村尋深がカルメン公演のために訪れる。だが公演の夜、カラスの遺品である金の十字架がタルガの楽屋から盗まれてしまう――。
タグ:
posted at 22:50:20
終盤のタイムリミットを設けた毒殺の仕掛け探しもサスペンス性を大いに盛り上げていて○。毒殺トリックを始めとしたミステリ的技巧と生き生きと描かれたキャラクターで読ませる佳作である。
タグ:
posted at 22:50:12
鮎村尋深と守泉音彦のコンビが活躍する芸術ミステリシリーズの一作目。毒殺方法がどれも独創的で、芸術学園という舞台設定がよく活かされている。特筆すべきは第二の殺人で、美術の技法と毒殺を組み合わせた点もさることながら、ある登場人物の行動に隠された犯人を示す伏線が秀逸。
タグ:
posted at 22:49:58
森雅裕「椿姫を見ませんか」読了。新芸術学園のオペラ「椿姫」公演練習中に主役を演じる若尾謡子が毒殺された。練習前に彼女が口にしたキャンディに毒が仕込まれていたのだ。そしてそれは23年前に起こった椿姫のモデル、マリー・デュプレシの肖像画贋作事件に端を発する連続毒殺事件の幕開けだった。
タグ:
posted at 22:49:49