麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2014年06月16日(月)
またキャラのエピソードとミステリパートが見事に解離している点もいただけない。あくまで本作のメインはキャラ小説であり、少なくともミステリとしては間違っても手を出すべきではない作品である。
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posted at 23:06:36
ただのミステリ風キャラ小説。本作には幾つかミステリ的ガジェットが盛り込まれているが、残念ながらどれも有機的に繋がっているとは言えず、雑な印象を受ける。それは単にミステリで最も重視しなければいけない「何故こうしなければいけなかったのか」という必然性に欠けているからだろう。
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posted at 23:06:04
柏枝真郷「貴族デザイナーの華麗な事件簿 ロンドンの魔女」読了。19世紀末のロンドン。仕立て屋を営むジェレミーと貴族でありながらデザイナーの仕事をしているエドガーはある日、17世紀のセイラムで魔女狩りにあったと主張するメイドの話を聞く。一方、巷では謎の人体発火事件が続発していた。
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posted at 23:05:38
他にも時効寸前というシチュエーションや人物描写を活かした切り札などこの作者ならではの要素がそこかしこに盛り込まれているのも○。作者のストーリーテラーとしての才が存分に発揮された作品である。
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posted at 02:53:07
これといった仕掛けがなくてもプロット次第で面白いものが書けるという見本のような作品。加えて三人の刑事たちの一人が取調室シリーズでお馴染みの水木警部補ということもあり、終盤では取調室シリーズらしい水木警部補と被疑者の攻防で魅せてくれる。
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posted at 02:52:46
笹沢左保「十九歳の葬式」読了。ボーイフレンドと共に裕福な養父母の殺害を企てていた十九歳の女子大生・美和。ところがその美和自身が佐賀県の武雄で何者かに毒殺されてしまう。捜査は難航し、事件は迷宮入りとなるが、15年後の時効直前になって三人の刑事たちの執念が新たな事実を見付け出した。
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posted at 02:52:19
2014年06月14日(土)
アリバイ崩しのパターンを逆手にとった異色作。探偵役の敗北という展開を織り込むことで本当のテーマを際立たせる構成も秀逸だが、一方で人物描写をもとに動機の発生ポイントを探っていく点がこの作者らしくて○。ミステリというより、皮肉のきいたミステリ風ダメ男小説(?)として面白い作品である。
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posted at 23:47:20
笹沢左保「水木警部補の敗北 取調室4」読了。佐賀県多久市の山中で横浜在住の画家・井坂俊介の絞殺体が発見され、妻のレイに殺人の嫌疑がかかる。だがレイには死亡時刻に完璧なアリバイがあった。落としの達人こと水木警部補は偽装アリバイは絶対に通用しないと豪語するが……。
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posted at 23:46:50
二度にわたり繰り返される不可解な誘拐に残虐な殺人事件を絡めた展開は魅力的だが、その反面、真相が途中で読めてしまうのが難。とはいえ「人間の持つ愛憎の凄まじさはこの作品のなかで描ききったつもりだ」と語る作者の言葉に偽りはなく、ミステリ部分さえ割り切ることができれば楽しめる作品である。
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posted at 15:28:32
笹沢左保「取調室3 敵は鬼畜」読了。佐賀県鳥栖駅で保護された少女・知香は三ヶ月前にも男に東京から連れ去られた後、同じ場所で母を待っているのを目撃されていた。一方、鳥栖市内の採石場で無残な焼死体が発見され、捜査の結果、それが知香の母・綾乃であることが判明する。二つの事件の関係は?
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posted at 15:28:24
2014年06月12日(木)
一方「青い地上」は様々なミスディレクションを駆使してバカミスすれすれの真相を隠し通した技巧もさることながら、動機が判明してからの落差が何ともこの作者らしい。その他の短編だと覗き癖のある男が偶然娘の情事を目撃してしまったことから苦悩する「娘をそこで見た」がキワモノ好き的に○(爆)。
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posted at 23:53:51
本作の内容紹介には「本格推理の醍醐味を伝える推理小説集」とあるが、実際その醍醐味が味わえるのは「炎の女」と「青い地上」の二編しかないのが少々残念。「炎の女」は作者が得意とする人物描写を活かした気付きが秀逸で、真相が明かされた後に更にもう一捻りしてみせた点もいい。
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posted at 23:53:24
笹沢左保「ささやかな復讐」読了。失踪していた整形外科医が白骨死体で発見されたのを機に事件が新展開を迎える「炎の女」、プレイボーイの男を上様と呼んで付きまとっていた女が殺され〈ウエ〉とダイイング・メッセージを残していたことから男が疑われる「青い地上」など単行本未収録短編八編収録。
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posted at 23:52:28
2014年06月11日(水)
本作が秀逸なのは何と言っても誘拐劇そのものが強力なミスディレクションになっていることで、いくら伏線が張り巡らせているとはいえこれを見抜くのはかなり至難の業だろう。加えて第三者の探偵役を設定することで謎解きが初めて成立する点も巧い。本作は作者久々の技巧的な本格ミステリの傑作である。
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posted at 22:55:57
作者の新境地とも言うべき誘拐ミステリ。犯人が身代金を奪取した方法だけでも一本書けるくらいよく練られているが、本作には更にその先に意外な仕掛けが用意されている。正直なところ誘拐物でこうくるとは全く予想していなかったため、一読呆然としてしまった。
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posted at 22:55:45
鯨統一郎「冷たい太陽」読了。健康食品の輸入販売会社〈高村交易〉の社長宅にかかってきた一本の電話から全てが始まった。「娘を誘拐した。返してほしければ今日中に五千万用意しろ」次々と犯人から出されるとんでもない要求に関係者たちが翻弄される中、ある人物の一言によって事件は急展開を迎える。
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posted at 22:55:25
2014年06月09日(月)
ミステリとしてみると登場人物の少なさと分かりやすい伏線のせいで謎解きに入る前に犯人の見当がついてしまうのが難だが、きちんと二重誘拐ならではの犯罪計画を構築している点は○。ただ一方で笹沢作品を出しにしてまで新本格批判をしている解説にはかなりゲンナリした。
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posted at 23:25:05
アリバイと並ぶ作者の十八番である誘拐に挑んだ意欲作。冒頭から誘拐物を扱った推理小説を引き合いに出した後、更にそれを上回る奇妙な誘拐劇を起こしてみせるあたりに作者の本作に賭ける意気込みが窺える。
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posted at 23:24:53
笹沢左保「血の砂丘」読了。能代三香子はかつて自分を罠に嵌めた別れた夫に復讐するため、彼が溺愛する娘の千秋を誘拐した。ところが三香子がちょっと目を離した隙に再び千秋が誘拐されてしまう。三香子は現在の愛人である別所と共に娘の行方を追うが、それと平行して殺人事件が……。
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posted at 23:24:07
2014年06月07日(土)
ミステリとしてみると使われているトリック自体はさすがに古びてしまっているが、その代わり構成の妙がそれを上手くカバーしている。言うなれば物語とプロットさえ優れていれば、いつの時代でも楽しめるという見本のような作品である。
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posted at 14:10:22
作者が「濡れた心」で江戸川乱歩賞を受賞するよりも前に書かれた長編処女作。特筆すべきはやはり巧みな人物描写であり、「氷柱」と呼ばれる主人公と、徐々に彼に惹かれていく薄幸の女のドラマでぐいぐいと読ませてくれる。
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posted at 14:09:22
多岐川恭「氷柱」読了。ある地方都市に親の遺した遺産で暮らす元中学教師の男がいた。冷然たる性格から「氷柱」と呼ばれる彼は偶然轢き逃げされた女児の死体を発見したことから、一人の女を家に引き取ることになる。やがて女の過去を知った彼はある独創的な犯罪を思い付き、実行に移したのだった。
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posted at 14:08:59
2014年06月05日(木)
それとミステリの出来とは全く関係ないが、まさかの収録で愕然とした(!)遠藤武文「フラッシュモブ」の探偵役である安孫子警視正がサンマーメンのもやししか食べなかったり、相手を罵倒する時にやたらとシナプス連呼し過ぎだったりと、相変わらず無茶苦茶で笑ったw
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posted at 23:39:30
次点は明神しじま「あれは子どものための歌」で、北山猛邦のメルヘン世界にも通じる物語と、特殊設定を活かした仕掛けのバランスがいい。その他、深木章子「犯人は私だ!」はキワモノとしか思えない(?)ダイイング・メッセージを扱いつつも意外な伏線と絡めてきちんと納得させてくれる点が○。
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posted at 23:38:48
一応良かった作品もあったが、どちらかといえば微妙なものの方が多かった印象。ベストは円居挽「ディテクティブ・ゼミナール 第三問 ウェアダニット・マリオネット」で作者の持ち味である推理合戦を経て最良と思われる仮説を示しつつ更にその上をいく奇想を用意してみせた点が実に秀逸。
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posted at 23:38:31
「ベスト本格ミステリ2014」読了。とあるゲームの一環で、潜水服を身に付け密室で死んだ人物の状況と死因について推理する円居挽「ディテクティブ・ゼミナール 第三問 ウェアダニット・マリオネット」など2013年に発表されたミステリ短編の中から選りすぐった八編と評論一編を収録。
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posted at 23:38:19
2014年06月04日(水)
しかもその解決編にしても、謎のほとんどは助手が解いてしまい、肝心の探偵の見せ場が蛇足になってしまっているのが少々残念。どうせなら助手が一旦解いたものを探偵が更にひっくり返す的な豪快さが見たかった。
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posted at 22:46:16
あるスイッチが入ると、あるゆる犯罪を立ち所に砕いてしまう『ガラスの探偵』こと朝倉透が活躍するシリーズの二作目。前作に比べると構成がすっきりしていて分かりやすくなっている反面、事件の状況を限定し過ぎたために解決編に入る前にだいたいの真相が読めてしまうのが難。
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posted at 22:45:53
小島正樹「硝子の探偵と銀の密室」読了。雪の降り積もった多摩湖畔の桜の木の天辺からウエットスーツ姿の女の刺殺体が発見された。奇妙なことに被害者は発見場所で刺されたとしか思えず、しかも現場には足跡が一切残されていなかった。更に同時刻、現場から少し離れた住宅地では三重密室殺人が……。
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posted at 22:45:40
2014年06月03日(火)
作者らしいスケールの大きな消失トリックを始め、様々なトリックの連打が魅力のタイムリミットサスペンス。但しミステリとしてみると謎解きに必要な伏線に乏しく、加えて探偵対犯人という構図の割りに十津川が後手に回り過ぎて犯人の立てた緻密な計画の解説役にしか見えないのが難。
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posted at 23:48:00
西村京太郎「ミステリー列車が消えた」読了。ブルートレイン「ミステリー号」が東京駅を出発した後に行方不明となり、程なくして国鉄総裁の許に身代金十億円を要求する電話が入る。全長250メートルに及ぶ列車を400名の乗客ごと誘拐するという前代未聞の犯罪に十津川警部はどう挑む?
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posted at 23:47:50