麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2014年07月26日(土)
笹沢左保「アリバイの唄」読了。元警官のタクシードライバー・夜明日出夫がある晩乗せたアベック客の女の方が殺された。容疑者として浮かび上がったのは夜明の幼馴染みで富豪の美女・大町千紗。だが彼女には犯行時刻に逗子の豪邸にいたという鉄壁のアリバイがあった。
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posted at 12:11:09
元警官のタクシードライバー・夜明日出夫が探偵役を務めるシリーズの一作目。メインのアリバイトリックは大仕掛けな反面、ある手掛かりのせいで分かりやすいのが難点だが、その代わり人物設定を活かした動機とダイイング・メッセージに光るものがある。
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posted at 12:11:24
またタイトルの意味にもなっている気付きに関しては少々強引な気がしないでもないが、作者の茶目っけが感じられるのは○。メインのトリックが分かりやすいという欠点はあるものの、全体的な出来としては良作の部類に入ると思う。
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posted at 12:11:43
2014年07月27日(日)
二階堂黎人「クロノ・モザイク」読了。ある日突然、時間を飛び越える現象に見舞われるようになった中学生の上条友介は、五年後に不可解な連続殺人事件に巻き込まれ命を落とすことになる恋人・菱村美沙緒を救うため、現在と未来を行き来しながら知力と体力の限りを尽くすことになる。
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posted at 14:21:28
タイムパラドックスSFをベースにミッシングリンクテーマのミステリと恋愛要素を盛り込んだ作者の新境地とも言える作品。とはいえSF部分は某円谷作品を彷彿とさせるオーソドックスな物だし(一部ギガンテス要素もあり 爆)、恋愛要素にしてもジュブナイル的ベタなのが何ともこの作者らしい。
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posted at 14:21:46
ミステリとしてはミッシングリンクがただの雑学でしかないのが難だが犯人の正体について定番ながらも捻りを入れているのはいい。また二階堂作品ではお馴染みの探偵役が出てくる点も○。むしろ本作は複雑な構成を巧く纏めあげている点を評価したい。個人的には近年の蘭子シリーズより面白かった(爆)。
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posted at 14:22:01
「オペラ座 血の喝采 完全版」観了。「フェノミナ」と同時期の映画なだけあってカメラワーク、小道具の使い方、殺人シーンの演出と映像センスがとにかく素晴らしい。目の下に針をつけてヒロインに強制的に惨劇を見せ付けるというアイディアもさることながら個人的には第三の殺人の見せ方が実に秀逸。
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posted at 22:58:16
ドアスコープから発射された弾丸が覗いていた人間の眼球を撃ち抜いた挙げ句、ちょうどヒロインが引き寄せていた電話をピンポイントで吹っ飛ばしたのには何というか○タゴラスイッチ的な美しさを感じてしまった。また終盤の○○○で犯人を見付ける点も映像的に面白い。
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posted at 22:58:36
但しそれ以降の展開が些か蛇足気味なのが残念で、これだったら犯人があのまま○○○に殺されてエンドの方がまだ綺麗だったように思う。あと「フェノミナ」の時も思ったけど殺人シーンにロックは合わないような気がする(爆)。
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posted at 22:58:58
2014年07月29日(火)
東川篤哉「魔法使いと刑事たちの夏」読了。所属タレントの密会写真を揉み消したい芸能事務所社長、手抜き工事の恨みを晴らしたい建築士、親戚の遺産を狙う愛妻家の推理作家、テナントビルから追い出されそうな紳士洋品店店主……彼らの犯罪を家政婦魔法使いと変態刑事のコンビが暴く連作倒叙ミステリ。
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posted at 22:35:14
魔法使いという設定を導入することで犯人探しの過程をすっ飛ばし、倒叙ミステリの一番の魅力である犯人をどう追い詰めるかのみに特化したシリーズの二作目。前作同様ネタは小粒なものの、その見せ方は断然本作の方が優れている。
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posted at 22:35:39
総じて言えるのは最後に明らかになる犯人のミスを効果的に見せるために逆算して話が作られていることで一見関係なさそうなギャグやエピソードが終盤で絶妙な伏線に転じる点が素晴らしい。特に決まっているのは第四話で、序盤のミスディレクションを兼ねた伏線と傘を巡るロジックの合わせ技が実に秀逸。
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2014年07月30日(水)
柚月裕子「蟻の菜園 ―アントガーデン―」読了。婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして逮捕された美貌の容疑者。だが彼女には完璧なアリバイがあり、共犯者の影も見当たらなかった――。彼女に興味を抱いた週刊誌ライターの由美は、千葉・房総から福井・東尋坊へと事件を追い始める。
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posted at 23:00:22
本作は何といってもアリバイに対するアプローチの仕方が面白い。普通は容疑者に鉄壁のアリバイが――とくれば、当然次はアリバイ崩しとなるところだが、本作では何とアリバイ崩しそっちのけ(!)で、ひたすら容疑者の過去を描いていくのだ。
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posted at 23:00:56
それは一見明後日の方を調べているように思えるが勿論ちゃんと意味がある。しかもそこにはさりげなくミスディレクションも施されており、その意味が分かった瞬間アッと驚かされることになる。ネタだけ取り出せば定番だが、人物を徹底的に描くことでアリバイトリックが判明するその構成が実に秀逸。
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posted at 23:10:08
ただその反面、事件を起こす原因となったものや中盤から二人称を取り入れた理由などは少々安直であり、折角の良質なサスペンス劇に水を差された感すらある。そこさえ何とかなっていれば「最後の証人」に匹敵する秀作になっていたかもしれない。
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posted at 23:10:22