麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2015年08月05日(水)
早坂吝「RPGスクール」読了。ある日、高校一年生の剣先が通う学校にやって来た超能力者イマワが足跡のない運動場で他殺体となって発見された。その直後に学校が外部と遮断され魔王と名乗る人物が宣言する。「私を倒すことができたら君たちを解放しよう」……かくして魔王退治と犯人探しが始まった。
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posted at 22:38:07
何と言うか、たまたま超能力ネタとRPGネタを同時に思い付いたから両方入れちゃいましたというような作品。ただ両方入れたはいいが、融合というほど物語として作り込まれていないため、何とも消化不良な気分が残る。
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posted at 22:38:50
相変わらずトリックの一つ一つは面白いのだから(特に手垢のついたネタのアレンジが秀逸)個人的には超能力は超能力、RPGはRPGで分けてきっちり練った作品を書いてほしかった。
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posted at 22:39:05
2015年08月06日(木)
小林泰三「記憶破断者」読了。前向性健忘症により数十分しか記憶がもたない田村二吉はある日、たまたま触れた者の記憶を改竄できる能力を持った殺人鬼・雲英(きら)光男の存在を知ったことから、彼と対決することになる。果たして記憶がもたない男は記憶を書き換える殺人鬼に勝てるのか?
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posted at 20:08:28
この作者らしい独特な発想が目を惹く作品。とはいえ内容的には知能バトル物というより特殊シチュエーションのブラックコメディといった趣であり、最終的な必勝法にしてもこの設定なら真っ先に思い付くもので些か面白味に欠ける。
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posted at 20:08:47
一応帯には「最後の一行で裏切られる」とあるが、あくまでミステリとしての意外性ではないので人によっては肩透かしを覚える可能性がある。とはいえ、本作には作者の作品ではお馴染みの徳さんが出てくるので、ファンなら押さえておいてもいいかもしれない。
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posted at 20:09:14
2015年08月08日(土)
深木章子「ミネルヴァの報復」読了。夫の浮気相手に対して妻が損害賠償請求を起こした。その直後に相手が失踪し、妻は巨額の慰謝料を得ることになった。ところがそれから間もなく、弁護士会館と裁判所で発見された二つの他殺体により、様相ががらりと一変する――。
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posted at 00:28:16
「敗者の告白」に続き、弁護士・睦木怜が探偵役を務めるシリーズの二作目。本作のミステリとしての興味はやはり不可解な損害賠償請求の顛末とその後の殺人事件ということになるが、個人的には前者の真相の方に唸らされた。
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posted at 00:28:39
ネタだけ取り出せば定番ではあるものの、それを裁判と絡めることで成立させた点がまず新しい。一方後者に関しては犯人が容易に推測できてしまうのが難点だが、相変わらず伏線の張り方が巧く、中には全く予想外のエピソードと繋がったりするのが面白い。
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posted at 00:29:14
小島正樹「モノクローム・レクイエム」読了。隣家の窓に映った戦時中の亡霊、公園で目撃された浮遊する無数の光る目、次々と血が湧き出る密室に飾られた西洋剣……怪異に隠された五つの見えざる犯罪を暴いていく連作ミステリ。
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posted at 17:21:53
作者初の連作短編集。扱っている謎自体は実にこの作者らしい反面、長編の時のように謎が詰め込まれていないせいか手掛かりがあからさまで真相にほとんど意外性が感じられないのが難。また全体的に文章が粗いのも気になる。
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posted at 17:22:06
唯一最終話のみ、いつものようにやり過ぎなくらい謎が詰め込まれているが、やはり頁数が足りないのか展開が急ぎ足かつ、真相の強引さがかなり目立ってしまっている。もしかしたら短編は短編で無理せず別のスタイルを模索した方がいいのかもしれない。
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posted at 17:22:22
囲恭之介「バリアクラッカー 神の盾の光と影」読了。あらゆる傷と病いから人を守る不可視の盾、アイギス。その恩恵を受けている千年都市アーモロートで有り得るはずがない殺人事件が起こる。アイギスを砕く者の存在が囁かれる中、異端審問官のベルヘルミナは情報屋クリカラと共に事件の謎を追う。
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posted at 17:22:33
見た目は異世界ミステリ。しかしながら肝心の謎解きの直前でミステリであることを放棄してしまうため読んでいて非常にモニョる。とはいえ仮にミステリとして読んでいなかったとしても、いきなり○○展開に突入し世界の真実が語られ出すのは意外性を狙ったとはいえ、さすがに強引と言わざるを得ない。
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posted at 17:23:04
加えて謎解きにしても、幾つか説明不足な点があるのが気になる(もしかしたら十月に出る次回作ではそこに焦点をあてていくのかもしれないが)。ある意味本作は国内作家Iの某作品にも通じる、要注意作品である。
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posted at 17:23:39
2015年08月09日(日)
「モデル連続殺人!」観了。何といっても殺人シーンの演出が奮っており、特に仄かなエロスと色彩美、残酷描写が渾然一体となった第二の殺人が秀逸。また黒のコートにのっぺらぼうの覆面という殺人鬼の姿も怪しさ満点で素晴らしいが、その反面、正体と動機の俗っぽさに違和感を覚えてしまう。
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posted at 15:20:47
もしかしたらギャップを狙ったのかもしれないが、個人的には狂気の殺人鬼として最後まで突っ走ってほしかった。あと作品内容とは全く関係ないが、イタリア公開版の予告編が思いっきり犯人の正体をバらしていて吹いたwww
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posted at 15:21:35
2015年08月11日(火)
松屋大好「宇宙人の村へようこそ 四之村農業高校探偵部は見た!」読了。岐阜県四之村――母の都合でこの村に引っ越してきたぼくが見たものは想像を絶する事件の数々だった。麦畑の中の吸血死体、首を引きちぎられた教師と金次郎像、小箱から出てきた謎のメッセージ……なんでもありの村へようこそ!
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posted at 20:45:45
第21回電撃小説大賞で物議を醸した怪作。『八つ墓村』にSF要素を盛り込みつつ、どんどん膨らませたら本作になりました――とは作者の弁だが、その言葉通りミステリあり、ホラーあり、SFありの、どことなく清水義範の幻想探偵社シリーズを彷彿とさせる連作短編集に仕上がっている。
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posted at 20:46:08
ただ連作として纏まっていない点は好みが分かれるかもしれないが、その分全編やりたい放題でかなりバラエティに富んでいる。ベストを挙げるならバレバレの展開と思わせて唖然とする真相に着地するバカミスの第一話だが、何故か友成純一的SFスプラッターを最終話に持ってくるセンスは大変好ましい。
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posted at 20:47:01
2015年08月15日(土)
アガサ・クリスティー「ねずみとり」読了。若夫婦の山荘に大雪をついて五人の泊まり客と一人の刑事がやってきた。刑事が言うにはある凄惨な殺人事件の現場にマザーグースの楽譜と共にここの名が書かれたメモが残されていたらしい。不気味な緊張感が高まる中、やがて客の一人が殺されて……。
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posted at 21:11:32
とにかくシチュエーションの盛り上げ方が巧くマザーグースの調べと事件を報じるラジオ放送が否応なくサスペンス感を高めてくれる。扱われる謎にしてもシンプルな犯人当てと見せかけて様々な意外性が盛り込んであるのも心憎い。本作はオーソドックスな設定の中でどう騙すかに重きが置かれた良作である。
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posted at 21:11:44
岡嶋二人「どんなに上手に隠れても」読了。白昼のテレビ局から新人歌手の結城ちひろが誘拐された。しかもその直前、誘拐を暗示する奇妙な匿名電話が警察に入っていた。犯人が要求した身代金は一億円。警察は発信器をつけて身代金を追跡するが、厳しく監視していたにも拘わらず犯人に奪われてしまう。
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posted at 21:12:16
芸能プロやCMのスポンサーを巻き込んだ派手な誘拐劇を扱った秀作。凝りに凝ったプロットもさることながら何故ここまで派手な誘拐が計画されたのかという点が素晴らしく、そこから浮かび上がるテーマは今でも他のものに当て嵌めることで充分通用するだろう。
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posted at 21:12:28
加えて犯人含む誘拐事件を利用しようとした様々な人間たちが最終的に迎える皮肉な結末も実に忘れ難い。「どんなに上手に隠れても」結局いつかはバレるのだという作者のメッセージが伝わってくるような作品である。
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posted at 21:12:43
2015年08月16日(日)
鳥飼否宇「中空」読了。何十年に一度、開花する竹の花の撮影のため、鳶山と猫田が訪れたその村は老荘思想の説く理想郷を目指す人々が自給自足で暮らしていた。村長から二十年前に起きた血腥い惨劇の顛末を聞かされて間もなく村で猪や兎が相次いで殺される事件が発生。そして遂に村人の惨殺死体が……。
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posted at 15:56:51
観察者シリーズの一作目にあたる作者のデビュー作。まず何といっても老荘思想が根付いた竹林に囲まれた村で起こる連続殺人という設定が魅力的であり、それだけで異世界本格好きとしては読まないわけにはいかないだろう。
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posted at 15:57:00
個人的には真相よりもダミーの解決の方(逆説的な動機もさることながら特にある現象を利用した第二の事件のトリックが秀逸)が好みだが、真相も真相で外部の人間が介入するからこそ成立する仕掛けを持ってきている点がいい。ある種幻想的な結末の余韻も含め、異世界本格の秀作と言っていい作品である。
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posted at 15:57:12
笹沢左保「江戸の夕霧に消ゆ 追放者・九鬼真十郎1」読了。街道で人を襲う青鬼、無念の死を遂げた娘の祟りと思しき連続死、盗賊一味から狙われている村……ある出来事がきっかけで重追放を言い渡され、愛犬以外人を信じなくなった浪人・九鬼真十郎が行く先々で巻き込まれた六つの事件を収録。
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posted at 20:47:25
愛犬シロと共に流浪の旅を続ける浪人・九鬼真十郎が主役の連作時代小説。全編、何かしらのミステリ的意外性が盛り込まれている点もさることながら、基本的に人を信じないという真十郎の設定と作品全体に漂う虚無感がどこか作者の木枯し紋次郎シリーズを彷彿とさせる。
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posted at 20:47:57
ベストは闇の七福神と呼ばれる盗賊一味から村を守る「恐怖の村祭り」で人を信じない主人公のキャラがあってこそ、意外な展開からの救いのなさが際立つのがいい。次点は祟りによる連続死の謎を追う「むらさきの姫君」で国定忠治との共演という趣向と構図の反転によってガラリと変わる光景が素晴らしい。
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posted at 20:48:08