麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2016年01月28日(木)
青崎有吾「図書館の殺人」読了。試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書館に向かった袴田柚乃はそこで殺人事件のアドバイザーとして警察と一緒にいる裏染天馬と出会う。閉館後に山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺された被害者は二つの奇妙なダイイング・メッセージを残していた……。
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posted at 01:39:39
裏染天馬シリーズの三作目。これまでの作品に比べるとロジックが分かりやすいのはいいが、その反面、犯人の意外性を追求するあまり、犯人の行動原理にイマイチぴんとこない部分があるのが難。
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posted at 01:39:49
また真相が明かされてみると結局のところ探偵役のせいで単純な事件が複雑化しているように見えてしまうのも気になる。それと探偵の過去を描くなら描くで、事件と何らかの形で絡めてほしかった。
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posted at 01:39:58
2016年01月30日(土)
伽古屋圭市「からくり探偵・百栗柿三郎 櫻の中の記憶」読了。密室状態の離れで射殺された悪名高い高利貸し、屋根裏から覗き見していた殺人犯の告白。屋敷から誰も出入りしていないのに起きた誘拐、白骨死体と工場に隠された秘密……四つの謎をからくり探偵こと発明家の柿三郎が鮮やかに解き明かす。
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posted at 00:42:06
大正時代を舞台にした、からくり探偵シリーズの二作目。一読すれば分かる通り、本作に収録された話はどれも有名な古典ミステリのオマージュになっており、それらを踏まえつつも、どう作者が捻ってみせるかが本作の見所となっている。
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posted at 00:42:29
第一話から第三話までは真相が見えたと思っても更にその先がある油断ならない構成が魅力なのに対し、第四話はかなり素直な作りの冒険ミステリなのが些か物足りない(オマージュ元からして仕方ないのかもしれないが)ものの、それでも全体的にみれば綺麗に纏まっている方だと思う。
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posted at 00:43:41
ベストを挙げるなら探偵と犯人の対決後に判明する切ない動機が絶妙な余韻を残す「屋根裏の観測者」だが、バカらしくもネタの見せ方が丁寧な「さる誘拐の話」も捨て難い。連作ミステリとしての完成度は前作よりやや落ちるものの、相変わらず高いクオリティを保った良作である。
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posted at 00:44:20
2016年01月31日(日)
仁木悦子「二つの陰画」読了。アパート「満寿美荘」の経営者で高利貸しでもあった木岡満寿が密室状態の自宅で殺された。しかも遺言状が指名した遺産相続人は全くの赤の他人だった。満寿美荘の住人である櫟健介・知子夫婦が犯人探しに乗り出すが、アパートの住人の誰もが暗い動機を抱いていて……。
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posted at 19:07:13
本作は頁数の割りに登場人物がかなり多めだが、それでも読みづらいとあまり感じないのはひとえに作者の卓越した人物描写あってのものだろう。ある程度ミステリを読み慣れている人間であれば途中までの展開は容易に読めるだろうが、それこそが実は作者の仕掛けた罠だったというのだから恐れ入る。
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posted at 19:07:29
事件の構図や細かく張られた伏線の妙もさることながら、何気に密室が作られた理由も登場人物の設定が巧く活かされていて○。更に読了後にはタイトルの意味にも唸らされるという、至れり尽くせりの傑作である。
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posted at 19:07:58