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麻里邑圭人

@mysteryEQ

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  • 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
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2019年06月02日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月2日

安萬純一「滅びの掟――密室忍法帖」読了。伊賀の忍びの里に服部半蔵から五人の甲賀忍者の殺害指令が下された。指名された五人の忍者は甲賀の里に向かうが、甲賀の里にも同じような命令が届いていた。忍者同士による殺し合いが始まるが、その頃、忍びの里では次々と村人が殺される事件が起きていた。

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posted at 21:33:02

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月2日

伊賀と甲賀の対決と、その裏で進行する連続殺人の謎を描いた時代ミステリ。作者は以前も「忍者大戦 黒ノ巻」で忍者小説の良作を書いているが、本作はそれに加えて本格ミステリ作家としての技巧を存分に詰め込んだ作品に仕上がっている。

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posted at 21:33:29

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月2日

伊賀と甲賀の対決では忍者らしいトンデモトリックの数々を見せつつも、一方で史実を巧みに活かした構図と定番の手法に捻りを加えて意外な犯人を演出しているのがいい。また結末に関してもそれまでの物語を踏まえた登場人物たちの関係性と史実と絡めて何とも言えない哀愁感を醸し出している。

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posted at 21:33:38

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月2日

惜しむらくは帯やカバーにミステリっぽいことが何一つ書いていないため肝心のミステリ読者の目に触れる機会があまりないだろう点だが、少なくとも内容的には忍者活劇と本格ミステリの融合を高いレベルで実現した、現時点の作者の最高傑作と言っていいだろう。

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posted at 21:33:50

2019年06月09日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月9日

「VA-11 Hall-A」クリア。サイバーパンクな世界のバーを舞台にした日常物かつ百合。見た目の可愛さに反して結構赤裸々な会話が飛び交うので最初は戸惑うかもしれないが慣れるとそのギャップが癖になる(特にドロシー)。萌え要素は低いが、きっちりキャラの内面を描いたシナリオが好印象の作品である。

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posted at 08:32:20

2019年06月12日(水)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月12日

エラリー・クイーン「悪魔の報復」読了。倒産した発電会社の社長・ソリー・スペイスがハリウッドの別荘で殺された。彼は倒産したにも拘わらず私腹を肥やし、欺かれた共同経営者や一般投資家から深い恨みを買っていた。ハリウッドへ脚本を書くために訪れていたエラリー・クイーンの推理やいかに。

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posted at 21:05:41

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月12日

ハリウッドを舞台にしたクイーン中期の長編ミステリ。本作を読む前にたまたま本作を下敷きにした短編「完全犯罪」(「エラリー・クイーンの事件簿2」収録)を先に読んでいたため犯人の見当はついてしまったものの、それでも殺害方法に隠された意外な奸計と犯人当てのロジックを堪能することができる。

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posted at 21:05:56

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月12日

何より秀逸なのはこの奸計を見破らないことには犯人に辿り着けない点であり、更に登場人物たちのそれぞれの思惑を絡め、動機発生のポイントを絶妙にずらすことで二重三重の煙幕を張っている点も巧い(個人的には犯人が何故凶器に毒を塗ったのか、その理由が説得力があって○)。

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posted at 21:06:07

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月12日

起こる殺人が一件だけなので人によってはやや退屈に思えるかもしれないが、終盤で展開される緻密なロジックは一読に値するフーダニット物の佳作である。

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posted at 21:06:15

2019年06月14日(金)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月14日

エラリー・クイーン「ハートの4」読了。ハリウッドを訪れたエラリーは二十年以上も互いに敵対してきた俳優一家を題材に脚本を執筆することになるが突然両家の男女が結婚を宣言。二人は飛行場で結婚式を挙げた後、新婚旅行へと飛んだが間もなく二人は機上で毒殺され、操縦士は忽然と姿を消してしまう。

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posted at 20:07:15

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月14日

「悪魔の報復」に続くハリウッド物第二作。本作をフーダニットとしてみた場合、犯人を絞り込むロジックそのものはシンプルだが、そのロジックにおいそれと気付かせないための煙幕が尋常ではなく、特に動機の発生に関するずらしと舞台設定を活かしたある大胆なミスディレクションが素晴らしい。

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posted at 20:07:34

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月14日

またそれ以外にもタイトルに象徴されるトランプという小道具を効果的に使ったサスペンス性もさることながら何より裏で進行していたある企みとさりげなく張られていた伏線(まさかそんな所にあったとは!)が実に秀逸。結末もなかなかに洒落ており、作者の策士ぶりに舌を巻くこと請け合いの傑作である。

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posted at 20:07:43

2019年06月15日(土)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月15日

エラリー・クイーン「クイーン警視自身の事件」読了。保母のジェシー・シャーウッドが育児室に飛び込むと、養子の赤ん坊は顔の上に枕をのせたまま冷たくなっていた――。たまたま現場に立ちあうことになった退職したばかりのクイーン警視は殺人を主張するジェシーを助けて、単独犯人に立ち向かっていく。

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posted at 21:20:30

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月15日

タイトルからも分かるようにエラリーの父親であるリチャード・クイーンが主役の番外編的長編。故に推理よりもサスペンスと冒険の色が強く、加えてジェシーとのラブロマンスも盛り込まれることで普段にも増してリーダビリティーの高い作品に仕上がっている。

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posted at 21:20:50

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月15日

本作の見所は何と言っても、か弱いヒロイン・ジェシーのために全力で捜査にあたるリチャード・クイーンのハードボイルドヒーロー的カッコ良さであり、更にリチャードを助けるべく退職したかつての仲間が集う場面には思わず胸が熱くなること請け合いである。

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posted at 21:21:06

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月15日

その一方で物語の後半リチャードの前に立ちはだかるある人物がまた名犯人的貫禄があり、その対決は最後まで予断を許さない緊張感に満ちている。しかもそれらの展開がラストのサプライズをこれ以上ないほど引き立てており、作者の熟練した技巧の冴えが存分に発揮された秀作と言っていいだろう。

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posted at 21:21:14

2019年06月17日(月)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月17日

加藤元浩「Q.E.D.iff」13巻読了。古井戸前での殺人、轢き逃げ、そして吊り天井(!)……同一人物が異なる三つの場所で殺されたと語る三人の目撃者と消えた死体の謎「殺人風景」、25億円相当の薬物強奪事件。自首してきた一人の男の証言で謎の女の存在が浮かび上がる「特異点の女」の二編収録。

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posted at 17:25:36

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月17日

「殺人風景」は同一人物が異なる三つの場所で殺されるという不可解な謎もさることながら、それ以上にまさかの吊り天井というキワモノ凶器(?)に唖然とさせられる。個人的には事件の真相よりもただのキワモノだけでは終わらない、吊り天井であることを活かしたトリックに感心した。

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posted at 17:25:54

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月17日

一方「特異点の女」は数学用語である特異点が象徴するように登場人物たちは勿論のこと、読者もまた謎の女に振り回され、何が起こっているのか見落としてしまう構成が○。また何気に漫画らしい見せ方が決まっている作品である。

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posted at 17:26:09

2019年06月18日(火)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月18日

七月鏡一/杉山鉄兵「探偵ゼノと7つの殺人密室 」6巻読了。遂に隠神島編完結。殺人密室のネタこそ定番のものだが巧くそれまでの流れに組み込んでいるのは○。その他、本筋以外の事件二編は真相よりも解決の仕方に見るべきものがある。次の殺人密室――AIが管理する別荘での殺人事件にも期待したい。

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posted at 09:27:28

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月18日

工藤哲孝/笹古みとも「シチハゴジュウロク」3巻読了。まずトンデモトリックはトンデモトリックの中に隠せと言わんばかりの展開が面白い。正直そこまでする必要があったのかどうかはやや疑問が残るが、少なくとも前巻で幕とはせずに更に一捻りして読み応えのある内容に仕上げた点は評価したい。

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posted at 09:32:44

2019年06月19日(水)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月19日

叶紙器「美しすぎる教育評論家の依頼 よろず請負業 さくら屋」読了。有名教育評論家の認知症を抱える母の世話防犯カメラに映る子供の万引き犯の保護、不気味な大声が響き渡る病院の祈祷……”よろず請負業さくら屋”を営んでいる多村安佐郎のもとに持ち込まれた三つの依頼に隠された真相とは?

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posted at 00:32:36

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19年6月19日

福山ミステリー文学新人賞受賞作家による全三話+αで構成された連作ミステリ。全体的に目につくのは情報の出し方の拙さであり、物語の中にさりげなく織り込むことなく延々とそれを書き出すかのような展開の仕方はもう少し何とかならなかったのだろうかと思わずにはいられない。

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posted at 00:32:55

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月19日

加えて凝った真相にしようとすればするほど状況の不自然さが際立ってしまい読み終わっても釈然としないものが残るのが残念。最後に語られる主人公の過去にしても唐突かつ悪い意味で奇をてらいすぎており、コンパクトに纏めるくらいならもっと自然に見えるように頁数を割いてきっちり描いてほしかった。

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posted at 00:33:57

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月19日

浅倉秋成「九度目の十八歳を迎えた君と」読了。通勤途中のホームで僕は高校の同級生の姿を目撃する。あの十八歳の時の姿の彼女を――。僕が卒業してからもずっと十八歳のまま高校に通っている彼女。何が彼女をその姿に止めているのか。彼女が年を取らなくなった原因を探るべく僕は高校時代を追想する。

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posted at 23:53:36

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月19日

仄かなファンタジー設定が光る青春ミステリ。本作は所謂過ぎ去った青春ものに当たる作品だが、同時に本作ならではの不思議要素――昔片想いしていた彼女が十八歳のまま年を取らなくなったという謎を盛り込むことで、置き去りにされた青春ものというべき独自の物語を構築しているのが面白い。

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posted at 23:53:54

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月19日

過ぎ去った時の中に一体何を置き去りにしてきたのか? 十八歳のまま年を取らなくなった彼女という生きた証拠(?)を通すことでその解答に説得力が生まれる点もさることながら、伏線に定評がある作者らしく何気ないエピソードの数々が後半思わぬ形で繋がり、物語を大いに盛り上げてくれるのもいい。

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posted at 23:54:24

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月19日

終盤で明かされるある事実に関しては仕掛けのわりにやや不発気味の感が否めないものの、それを差し引いてもある程度年を重ねた読者であれば程よいノスタルジーと良薬のような苦味が後を引く青春ミステリの良作と言っていいだろう。

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posted at 23:54:33

2019年06月20日(木)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月20日

城平京「虚構推理 スリーピング・マーダー」読了。「二十三年前、私は妖狐と取引し妻を殺してもらったのだよ」妖怪と人間の調停役として怪異事件を解決する岩永琴子に大富豪の老人はそう告白した。彼の依頼は親族に自身が殺人犯であると認めさせること。だが妖狐の力を借りた老人にはアリバイが……。

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posted at 23:15:02

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月20日

虚構推理シリーズの三作目。内容紹介を見ると本作は長編ということになっているが、どちらかというと短編集に近く、しかも二作目の「虚構推理短編集 岩永琴子の出現」よりも更にミステリ度が下がってキャラクター小説寄りになっているのは些か好みが分かれるところだろう。

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posted at 23:15:19

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年6月20日

タイトルにもなっている本題の話に関しては一瞬ミステリとして期待できそうな雰囲気はあるものの、残念ながら虚実が反転する本作の醍醐味からは程遠い出来と言わざるを得ない。キャラクター小説として力を入れるのもいいが、そろそろミステリ的にも気合いの入った作品を読ませてほしいと思う。

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posted at 23:15:29

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