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麻里邑圭人

@mysteryEQ

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  • 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
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2019年09月18日(水)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月18日

七月鏡一/杉山鉄兵「探偵ゼノと7つの殺人密室」8巻(完結)読了。最後までミステリとして満足いく出来だったかと言われると疑問が残るし殺人密室の美学もあまりピンとこないし物語的にも既視感が否めないものになってしまったなど問題点は多々あるが、ひとまずちゃんと完結した所は評価したい。

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posted at 09:01:15

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月18日

あと記憶を取り戻した最後のゼノの顔が目の綺麗なカイジっぽくて違和感が半端なかったw

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posted at 09:06:24

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月18日

宇佐美まこと「展望塔のラプンツェル」読了。労働者相手の娯楽の街として栄えた多摩川市は貧困、暴力、家庭崩壊が後を絶たない。この荒んだ地域に寄り添って暮らすカイとナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け面倒をみることにする。居場所のない子供たちの幸せは一体どこにあるのだろうか……?

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posted at 20:36:00

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月18日

貧困と暴力が社会問題化している街・多摩川市を舞台に、明らかに虐待の形跡のある幼児の面倒をみることになった家庭に恵まれない未成年のカップル、児童相談所の職員、不妊治療に励む妻の三つの視点で描かれる長編ミステリ。その群像劇的見せ方は同じ版元から作者が出した「熟れた月」を彷彿とさせる。

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posted at 20:36:32

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月18日

言うなれば本作はファンタジー要素のない「熟れた月」なのだが、「熟れた月」に比べるとミステリ的仕掛けの難易度はそこまで高くないかもしれない。しかしながらそんなのが気にならなくなるくらい相変わらず物語の没入感が高いし、何よりその仕掛けが登場人物たちへの救いとして機能しているのがいい。

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posted at 20:36:49

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月18日

運命に翻弄された登場人物たちの前にどんな形でラプンツェルの髪が齎されるのか、最後まで見届けたくなること請け合いの佳作である。

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posted at 20:37:00

2019年09月20日(金)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月20日

夕木晴央「絞首商會」読了。大正の東京。秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる村山博士が刺殺された。不可解な点は三つ。遺体が移動させられていたこと、鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、解決を依頼されたのが以前村山邸に盗みに入った元泥棒の蓮野だったこと――。

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posted at 23:51:25

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月20日

第60回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞で本格ミステリというと派手で捻くれた作品が多いイメージがあるが、本作に関して言えばびっくりするほどオーソドックスな探偵小説で、展開はいたって地味……というか見せ方が悪いのか色々起こっているはずなのに終始全く盛り上がらないのがある意味凄い。

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posted at 23:51:40

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月20日

そのせいで、せっかく真相に面白い部分があるにも拘わらず「成る程、そうだったのか!」というカタルシスがほとんど感じられないのが非常に勿体ない。もっと作者には真相だけではなく、そこに至るまでの課程の面白さも考えてほしかった。

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posted at 23:51:50

2019年09月21日(土)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月21日

有栖川有栖「カナダ金貨の謎」読了。民家で発見された男性の絞殺体――殺害現場から持ち去られていたのは一枚の「金貨」だった。“完全犯罪”を計画していた犯人を臨床犯罪学者の火村英生と推理作家の有栖川有栖がロジックで追い詰めていく表題作のほか四編収録。

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posted at 13:01:34

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月21日

国名シリーズ十作目にあたる中短編集。本作は中編三編の間に短編二編「エア・キャット」「あるトリックの蹉跌」が挟まれる構成になっているが、「エア・キャット」ではお馴染みの火村の猫好きっぷりが、「あるトリックの蹉跌」ではアリスと火村の出会いのエピソードが語られるのが何とも微笑ましい。

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posted at 13:01:47

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月21日

一方ミステリとしてみるならベストは「船長が死んだ夜」で、作者が「ストレートな犯人当てを書いてみた」とあとがきで語る通り、些細な気付きからのシンプルなロジックが巧く決まっている。また有名なトロッコ問題と絡めた「トロッコの行方」はある事実からの火村の推理と作者が狙った幕切れが○。

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posted at 13:01:55

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月21日

表題作は国名を冠した作品では初の倒叙物で、作中に「スイス時計の謎」の話が出てくるところからロジック物として期待する人もいるかもしれないが、あいにくミステリ的にはそこまでの出来ではない。とはいえ今風の犯人の動機や火村と犯人の心理戦など倒叙物ならではの見所が印象深い一編である。

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posted at 13:04:17

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月21日

「HELLO WORLD」観了。『ラスト1秒でひっくり返る』が売り文句のSF映画。確かにひっくり返りはしたものの、このオチは正直評価が分かれると思う。とりあえず過程を面白がれる人なら楽しめるかもしれない(あといい加減挿入歌を流すシーンのワンパターンな見せ方はやめてほしい)。

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posted at 17:55:31

2019年09月22日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月22日

深水黎一郎「犯人選挙」読了。築30年の「大泰荘」で起こった密室殺人。住人の誰もが怪しく、誰にも動機があった……。問題篇を1ヵ月間ウェブサイトや電子書店で無料公開し、読者に「7つの選択肢」から、犯人を「当てる」のではなく「決めて」もらった新形式の多重解決ミステリ。

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posted at 11:48:59

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月22日

「ミステリー・アリーナ」以来の多重解決物。ネット投票で犯人を「決めて」もらうという本作の趣向はユーザー投票で物語の展開を決める「Fate/Grand Order」のミステリーイベントに近いものを感じる(実際あとがきによると当初は最多投票の選択肢のみを解決篇として出す予定だったらしい)。

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posted at 11:49:15

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月22日

本作を読んでまず思うのは多重解決の難しさだ。基本的に辻褄合わせに終始するため作者の苦労の割に謎解きのカタルシスや意外性がどうしてもイマイチになってしまう。それらを得るためにはやはり唯一無二の真相が必要なのかもしれない。とはいえ本作が今の時代だからこそ生まれた労作なのは間違いない。

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posted at 11:49:39

2019年09月23日(月)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月23日

市川憂人「神とさざなみの密室」読了。政権打倒を標榜する若者団体で活動する凛は気付くと薄暗い部屋にいた。両手首を縛られ動けない。一方隣の部屋では外国人排斥をうたう「AFPU」のメンバー大輝が目を覚ましていた。二人に直前の記憶はなく眼前には横たわる人体。一体、誰が、何のために?

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posted at 00:19:51

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月23日

作者初のノンシリーズ物の長編ミステリ。本作を一言で例えるとポリティカル要素のある「ソウ」みたいな話(?)であり、左翼右翼それぞれの政治団体で活動する男女が事件に巻き込まれたのをきっかけに推理を通して「民主主義」を実現していく過程がまず面白い。

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posted at 00:20:07

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月23日

ミステリとしてみるとある気付きをきっかけにサイコスリラー的状況の意味がロジックの綱渡りによって徐々に紐解かれていく点と、そこから導かれた犯人の条件によって某ミステリ作品を彷彿とさせる意外な犯人が明らかになる点が秀逸な反面、その後に続くある謎解きが伏線に乏しすぎて無理があるのが難。

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posted at 00:20:24

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月23日

最後まできっちり練り込めば傑作になっていたかもしれないだけに何とも惜しい作品である(あと本作のような作品が新潮社から出たというのがなかなか興味深い)。

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posted at 00:20:38

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月23日

エラリー・クイーン「最後の一撃」読了。1905年に起きた事故は双子の赤ん坊の運命を分けることとなった。それから二十五年後の1930年、「ローマ帽子の謎」を出版したばかりの若きエラリーは双子の長男を巡る奇妙な殺人事件に遭遇する。だがこの殺人は1957年を待たねば解決をみないほどの難事件だった。

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posted at 19:12:25

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月23日

クイーン後期の長編ミステリ。事件の発端から半世紀にわたる壮大な構成、クリスマスの夜から毎晩届けられる謎の贈り物と身元不明の他殺体、そして極めつけは読者への挑戦と、本作はミステリ的に盛り上がる要素が結構揃っていると言っていいだろう(但し贈り物の数が多すぎて些かだれるが)。

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posted at 19:12:38

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月23日

しかしながら肝心の真相が特殊知識に依存し過ぎて正直ピンとこない上に、途中で明らかになるある事実の伏線が皆無なのもいただけない。何よりここまで引っ張るほどの事件なのかというと大いに疑問と言わざるを得ないし、全体的に釈然としない作品である。

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posted at 19:12:55

2019年09月24日(火)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月24日

エラリー・クイーン「心地よく秘密めいた場所」読了。巨大なコングロマリットを一代で築き上げた経営者ニーノに公金横領の証拠を握られた監査役のウォレスは刑務所送りとなる代わりに娘と結婚させろという要求を飲まされた。だが娘が生贄となった時、一方では凶悪な犯罪計画がひそかに芽生えていた。

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posted at 23:28:25

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月24日

クイーン最後の長編ミステリ。後期クイーン作品にしては珍しく(?)テンポ良く人が死ぬし、被害者となるある人物の異常な拘りとそれが齎す展開も面白い。更に事件が起こる過程を妊娠から出産に見立てた構成もなかなか洒落ている。

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posted at 23:28:42

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月24日

……と、ここまでは良いこと尽くめで書いてきたが、それも謎解きの段になって失速する。というのも犯人がとった一部の行動に対する説得力がまるでないのだ。これが本作にとって大きなマイナスなのは間違いないが、一方で犯人を導き出す手段に関してはさすがクイーンと思わせるものもある。

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posted at 23:29:03

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月24日

正直手放しで褒めるには欠点が大きすぎるものの、だからと言って見るべきところもなくはない、何とも悩ましい作品である。

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posted at 23:29:13

2019年09月26日(木)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月26日

米澤穂信「Iの悲劇」読了。六年前に滅びた山間の小さな集落・簑石に人を呼び戻すため、Iターン支援プロジェクトが実施されることになった。業務にあたるのは簑石地区を擁する、南はかま市「甦り課」の三人。彼らが向き合うことになったのは一癖ある「移住者」たちと次々と発生する「謎」だった。

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posted at 08:56:08

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月26日

一度死んだ村に人を呼び戻す「甦り課」の面々が様々な事件に遭遇する連作ミステリ。日常の謎を得意とする作者が本作ならではの日常を描きつつ、その日常にふさわしい小道具を駆使してミステリではお馴染みの密室やアリバイ、毒殺ネタといった謎を作り出しているのがまず面白い。

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posted at 08:56:27

麻里邑圭人 @mysteryEQ

19年9月26日

個々の短編のミステリとしての難易度はそれほど高くはないものの、最終的に見えてくるあるミステリ的な趣向と、この作者らしい動機の苦味のブレンドが実に秀逸。本作は社会派要素と本格ミステリ、そして作者らしさが程よく溶け込んだ連作ミステリの秀作である。

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posted at 08:56:45

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