麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年07月25日(土)
米倉あきら「インテリぶる推理少女とハメたいせんせい -In terrible silly show,Jawed at hermitlike SENSEI-」再読了。とある孤島の中学校を舞台に文芸部顧問で処女専門の強姦魔(!)である「せんせい」が次々と部員に手をかけ、それを女子中学生の比良坂さんがロジックで無効化する対決の行方は?
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posted at 13:51:54
第6回HJ文庫大賞奨励賞受賞作。怪作、奇書、アンチミステリ――恐らく本作を読了したミステリ読みはだいたいこんな感想を抱くことだろう。あるいは某ミステリ作家兼評論家の某作に対する発言のように「これは、ゴミである」と思う人もいるかもしれない。
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posted at 13:52:31
しかしながら今回再読して感じたことは、本作が思っていた以上に誠実であることだ。本作は徹頭徹尾ライトノベルの形式を借りて本格ミステリの構造について論じた小説であり、ある時は本格の現状を茶化しつつも本格ミステリとして成立させるものは何なのかその正体について真摯に描こうとしている。
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posted at 13:52:52
それは作中の比良坂さんの存在や終盤の怒涛のような多重解決からも窺うことができるが、その一方で小説という媒体における読者と作者の関係が強姦もとい一方的なディスコミュニケーションであることに対する諦観の念も感じさせる。
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posted at 13:53:33
果たして作者がどんな意図で本作を書いたのかは定かではないが、少なくとも本作が読む人によって感じ方が異なる、万華鏡のような底知れない作品であるのは間違いない。
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posted at 13:54:01
2020年07月29日(水)
月原渉「鏡館の殺人」読了。妾腹の少女たちが暮らす鏡館。左右対称の新旧の館に、48枚の姿見が配置されている。富豪の父は一年に一度訪れ、政略結婚のために娘を選び出す。娘たちが籠の鳥から自由になれる唯一の日に連続殺人の幕が開く。犯行前に鏡を使って殺人予告をする犯人の狙いとは?
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posted at 16:45:54
謎めいた使用人・栗花落静(ツユリシズカ)が探偵役を務めるシリーズの四作目。前作に比べるとオーソドックスなクローズドサークル物ながら、いかにもゴシックな舞台設定と幻想ミステリ色濃厚な展開はシリーズ中最も好み。
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posted at 16:46:12
また今回のテーマの一つである予告殺人に関して、探偵役がその予告を逆手に取ろうとする展開は見立て殺人で同様のことを試みた一作目を彷彿とさせる。その一方で真相の一部や手がかりがあからさま過ぎるのが気になるが、それをミスディレクションにした仕掛けを用いているのは○。
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posted at 16:46:28
但し第二の殺人の真相に関しては捻りすぎてスマートさに欠けるのがやや残念か。とはいえ、幻想ミステリ的雰囲気とシンプルながらもロジックに拘った作りは好感触な作品である。
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posted at 16:46:50
2020年07月30日(木)
玄武聡一郎「君の小説が読みたい」読了。君は一週間後に死ぬ――ある日、突然現れた茉莉花と名乗る女性は僕にそう告げた。彼女は僕の「死」をトリガーに何百回とタイムリープを繰り返しているらしい。そこから逃れるには僕を救うしかない、と。その日を境に犯人を捜す彼女に振り回される日々が始まった。
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posted at 20:21:22
一言で言えばループミステリ風青春小説。「風」と書いたのは本作がループ物としてもミステリとしても中途半端だからだ。あくまで本作の本質は青春小説であり、ループミステリ的展開はあくまで青春小説部分を際立たせるための演出に過ぎず、間違ってもサプライズを期待するものではない。
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posted at 20:21:54