麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年02月04日(木)
大場つぐみ/小畑健「DEATH NOTE短編集」読了。タイトル通り「DEATH NOTE」の後日談や読み切り版などを収録した短編集。ベストは「aキラ編」でこれまでのルールを踏まえた新しいデスノートの使い方が実に秀逸。ある意味誘拐物に近い駆け引きが味わえるのも○で、やはりこの作品は面白いと再確認した。
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posted at 11:31:11
天野明「鴨乃橋ロンの禁断推理」1巻読了。訳あり名探偵とピュアな迷刑事のコンビが活躍する作者初のミステリ物。但しミステリとしてみるとネタの弱さを感じてしまうものの、テンポのいいキャラのやり取りは○(あと雨宮先輩がかわいい)。とりあえず謎自体は惹かれるものもあるので今後に期待したい。
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posted at 11:51:55
2021年02月08日(月)
吹井賢「破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S」読了。内閣情報調査室に極秘裏に設置された「特務捜査」部門、通称CIRO‐S。“普通ではありえない事件”を扱うここに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子は目撃者トウヤの協力により二人で事件と消えた国家機密ファイルの捜査にあたることに。
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posted at 20:04:23
第25回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞作。内容紹介からはピンとこないかもしれないが本作は異能ギャンブル&コンゲーム物であり、やり方次第では面白くなるジャンルだとは思うものの、本作の場合、その異能の扱い方が杜撰で売りであるはずの心理戦を台無しにしてしまっているのが残念。
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posted at 20:05:21
また設定がとことん中二病なのはまだいいとして、無駄に設定を盛って事件のスケールを大きく見せようとしている割りに肝心の敵の立ち回りがそれに見合っておらず、どうしても小物感が否めないのも気になる。
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posted at 20:05:55
個人的には本作に寄せられた「普通じゃない事件と捜査――あなたはこのトリックを、見抜けるか?」という煽り文句と、あとがきにある作者のミステリアピールに惹かれて読んだものの、結論から言えばミステリ観の不一致と言わざるを得ない作品である。
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2021年02月09日(火)
吹井賢「破滅の刑死者2 内閣情報調査室CIRO-S第四班」読了。雙ヶ岡珠子と戻橋トウヤの次の任務はある大学の同一教室で起こる「連続不審死事件」の潜入捜査。不可解な死因。物証もゼロ。接点のない三人の被害者……。捜査は手詰まりに見えたがトウヤは〈象牙の塔〉に潜む悪魔の気配を感じ取り――。
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posted at 17:32:31
破滅の刑死者シリーズの二作目。作者や公式のミステリアピールとは裏腹にお世辞にも出来がいいとは言い難かった前作に対し本作はあらすじだけ見れば前作よりもミステリっぽいし、さすがに前作よりはマシになっているだろうと読んでみたところ、前作を遥かに下回る完成度で逆にビックリしてしまった。
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posted at 17:32:45
意味のない潜入捜査にはまだ目を瞑るとしても連続不審死事件の真相はそういう能力でしたの一言で終わり、更に被害者たちを繋ぐミッシング・リンクに関しても情報の後出しもさることながら、それをやるならもっと作中で描いておかないとダメだし何より全体的に扱っている出来事の脈略のなさが気になる。
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posted at 17:32:57
もしかして作者は何も考えずに思い付きで書いたのではないかと思わず邪推してしまうくらいのひどさであり、前作からの便利アイテム化とした異能の扱いの杜撰さも相俟って頭を抱えたくなる作品である。
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小島正樹「怨み籠の密室」読了。大学生の飛渡優哉にとって故郷の謂名村は禁断の土地だったが父の死に際の言葉を聞いて病死と言われていた母の死に疑問を持ち謂名村を訪れる。 だが村人は彼を拒絶。優哉は考えた末、友人で名探偵の海老原を伴い再び村を訪れるが待っていたのは密室の首吊り死体だった。
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posted at 21:18:20
「呪い殺しの村」以来、久々の名探偵・海老原シリーズの八作目。本作は開始早々密室の謎が出てくるものの、これまでのやり過ぎミステリだったシリーズ作と比べると地味な印象が否めないかもしれないがそこは作者も理解しており、ちゃんと海老原物らしい派手な事件も用意されているのでご安心(?)を。
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posted at 21:18:46
そしてトリックの方もまたこのシリーズらしい大胆な物理トリックが使われているが、その一方でこれまでのシリーズ作とは異なり、トリックだけに頼らない、人間ドラマを軸にした事件の構図もしっかりと描いているのがいい。恐らくその辺は近年の浜中刑事シリーズの影響が少なからずあるだろう。
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posted at 21:19:16
最初は唐突に感じたある趣向にしても、その後に明かされる事件の構図を際立たせるのに一役買っているし、犯人の正体に関しても見え見えと思わせてきっちり捻っただけでなく、さりげなく張られた伏線の数々で絶妙にフォローしているのが○。
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2021年02月12日(金)
「プリンセス・プリンシパル Crown Handler」第1章観了。劇場版ながらアクションは少なめで二重スパイを巡る物語を無難に纏めてはいるもののスッキリしない終わり方なのは次回への布石のためか(個人的にはチェスを使った見せ方は○)。とりあえずアクションとベアトリスの見せ場は次回に期待したい。
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2021年02月14日(日)
「名探偵コナン 緋色の不在証明」観了。TVシリーズで放映された赤井一家登場回をピックアップして劇場用として編集した総集編。故に映画として見るとどうしても物足りなさが否めないが、4月に公開予定の「名探偵コナン 緋色の弾丸」を観る前に赤井一家について復習するには丁度いいのかもしれない。
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2021年02月15日(月)
紙城境介「僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない」読了。明神凛音は、どんな事件の犯人でも神の啓示を受けたかのように解ってしまう才能があった。だがその一方で無意識下で推理を行うため真実に至ることができた論理が解らないという。伊呂波透矢は「彼女の推理」を推理することになるが……。
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posted at 23:56:45
今やラブコメの書き手として知られる作者がデビュー作「ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件」以来久々に書いた待望の本格ミステリ連作。本作は何と言っても名探偵の推理を無意識の行動という理由で吹っ飛ばすことによりまさかの「推理当て」を成立させてしまった点がまず非常に面白い。
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posted at 23:57:43
しかも扱っている事件は全て所謂日常の謎であるにも拘わらず、その「推理当て」の内容は驚くほど緻密であり、別解ならぬ別推理の余地を一切許さないロジックの徹底ぶりには正直脱帽と言わざるを得ない。
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posted at 23:58:04
それでいて本作は構成にもかなり気を配っており、全三話中最初の二話を使って「名探偵がどういう手順で推理したのか」そのプロセスを完璧に理解させた後、三話目でそれを逆手に取った応用編ともいうべき仕掛けを用意して、あっと言わせてくれる。
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posted at 23:58:30
更にトドメとばかりに作者が得意とするラブコメ要素を隠れ蓑に使った強烈な真相で主人公と共に読者を奈落に突き落としてくれたとあっては、もはや何も言うことはない。本作は「ウィッチハント・カーテンコール」から更に磨きがかかったロジックと構成の妙に圧倒されること請け合いの傑作である。
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2021年02月16日(火)
天祢涼「Ghost ぼくの初恋が消えるまで」読了。小学生の生方理人の下へ現れたのは、連続通り魔殺人の犠牲者となった初恋の人――六歳年上の幼なじみ・四条いのり。幽霊となった彼女は犯人の顔を目撃しており、連続殺人犯の逮捕への協力をただ一人、彼女が視える理人に求めたのだった。
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通り魔に殺されて幽霊となった初恋の人と主人公の奇妙な共同生活を彼らが遭遇した幾つかの事件を通して描いた連作ミステリ。主人公が小学生の時から物語が始まることもあって本作の雰囲気はどことなくかつて講談社から出版されていたジュブナイルレーベル・講談社ミステリーランドに近いものがある。
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もっと言えばミステリーランドの黒さを強調したあの系譜を彷彿とさせるため、それらの作品が好きだった人には堪らないものがあるだろう。収録作はいずれも主人公の性格と幽霊という特殊設定を活かした本格ミステリに仕上がっており、ベストを挙げるなら一種の被害者当てと言うべき二編目になる。
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posted at 19:20:33
いじめに遭っているクラスメイトが殺害しようとしている相手を探すこの話は主人公が被害者候補を絞り込んでいく課程そのものを巧くミスディレクションとして使いつつ、意外性のある歪んだ悪意を描いた点が実に秀逸。
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また連作形式を活かした仕掛けと社会派要素のある動機を扱った四編目は近年の〈仲田・真壁コンビ〉シリーズの影響が窺えるだろう。本作はタイトルにある通り「ぼくの初恋が消えるまで」の課程を主人公の成長と共に描いた特殊設定青春ミステリの良作である。
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2021年02月17日(水)
加藤元浩「Q.E.D.iff ―証明終了―」18巻読了。精霊が家に災いをなす者を殺すという伝説がある家で先代当主の遺言状が開封された直後、密室殺人が起きる「精霊の家」、文化祭に向けての準備が進む中、剣道部の喫茶店が荒らされるなど不可解な事件が続発する「学園祭組曲」の二編収録。
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「精霊の家」は密室殺人のハウダニットよりもホワイダニットがメインであり、派手な事件にある事実を巧みに隠蔽してみせた点もさることながら、それ以上に現場から消えていたあるものを使って犯人を追い詰めてみせた手腕と、タイトルにある精霊とは何かをそれとなく示した不穏な幕引きが○。
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一方「学園祭組曲」はタイトルやシチュエーションからシリーズの傑作エピソードの一つ「学園祭狂騒曲」を彷彿とさせるが「学園祭狂騒曲」と比べると気になる点が多く、いまいち纏まりに欠けるのが難。とはいえ一つの事件だけに絞れば隠蔽の仕方に見るべきところがある作品である。
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posted at 09:35:15