麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年06月17日(木)
渡辺静「魔女に捧げるトリック」4巻読了。今回で一旦完結ながら内容自体は駆け足になることもなくこれまで通りのノリで楽しめるのが嬉しい。今回は動物を話せる少女というネタを活かしてアレを先取りした点や血清が意外なところから出てくる点が面白かった。いつの日か続きが読めることを祈りたい。
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posted at 09:23:18
加藤元浩「Q.E.D.iff ―証明終了―」19巻読了。謎の魔術「ドッペルゲンガー」を使いターゲットを焼き殺すマフィアのナンバー2「魔術師」に燈馬が挑む「ドッペルゲンガー」、相模湾の沖合で見付かった女性占い師の水死体とそこから十キロ離れた海上で救助された夫の関係を探る「春の風」の二編収録。
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posted at 10:19:51
「ドッペルゲンガー」はお馴染みの数学ネタを絡めた謎の演出と解決もさることながらそれ以上にドッペルゲンガーの正体が実にマフィアらしい残虐さで印象に残る。一方「春の風」は不可能犯罪と複雑な人間関係を鮮やかな構図の反転で解き明かしてみせる点とそれによって見えてくる人間ドラマが秀逸。
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2021年06月18日(金)
「新13日の金曜日PART5」観了。意外に思う人もいるかもしれないがミステリとしても観ることができるシリーズの中でも異色作。改めて見直してみると思った以上にしっかりと伏線が張られていて何でアレがあんな所に停めてあったのかという疑問も真相が分かると腑に落ちるようになっているのは○。
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市川憂人「ボーンヤードは語らない」読了。空軍基地での変死事件、雪の小屋で見付かった死体、雨の夜の墜落事件、そしてマリアと漣のコンビが結成されて最初に出会った虐待疑惑に端を発する事件……「ジェリーフィッシュは凍らない」に連なる四編を収録。
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posted at 17:18:30
〈マリア&漣〉シリーズの四作目にして初の短編集。収録された四編のうち一編目以外は全て「ジェリーフィッシュ」以前の過去が舞台となっており、高校時代の漣の物語、ハイスクール時代のマリアの物語、マリアと漣のコンビ結成時の物語が楽しめる構成となっている。
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posted at 17:18:58
但しミステリとしてみると四編中三編が些か精彩に欠いており、現場の状況を見た時点で気付いてしかるべきものが無視されていたり、詰め込みすぎて構成に失敗していたり、少ない登場人物で無理やりこねくり回した結果、構図が不自然になってしまっていたりするのが難。
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posted at 17:20:02
唯一良かったのが「レッドデビルは知らない」で、不可能犯罪を犯人の些細なミスから切り崩してみせる点もさることながら、何よりもある仕掛けと共に舞台設定を活かした切実な動機を読者の目の前に突き付けてみせた点が実に秀逸。ただできればこの短編にも他の収録作同様、見取り図を付けてほしかった。
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2021年06月19日(土)
「血の魔術師」観了。美女を残虐な手段で切り刻むマジックと同様の手口で行われる連続殺人の謎。ミステリというより幻想ホラーっぽい話ながらスプラッター要素(但し結構チープ)が強すぎてあまりそんな気にならないのが何ともこの監督らしい。オチはマジック物らしい煙に巻いた感じで嫌いではない。
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「ゾンゲリア」観了。寂れた田舎町で続発する殺人事件の裏で暗躍する怪しげな住人達。ゾンビホラーと銘打たれてはいるものの所謂ゾンビ物とは異なるアプローチで、事件の捜査に当たる保安官視点によるミステリ的な展開からホラーへと転じる見せ方が秀逸。オチもベタだが保安官の絶望感を煽っていて○。
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2021年06月22日(火)
「血のバレンタイン」観了。バレンタイン×殺人鬼×鉱山という異色の組み合わせが光るスラッシャー物。最初は町で繰り広げられていた猟奇殺人が鉱山に舞台を移した途端に冒険感が増すのもさることながら何よりガスマスク姿の殺人鬼が実に絵になっている。殺人鬼の正体も意外性があり大変面白かった。
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2021年06月23日(水)
天樹征丸/さとうふみや「金田一37歳の事件簿」10巻読了。綾瀬連続殺人事件中盤戦。ABC殺人事件的な展開と思われたが、ここに来て被害者たちの繋がりが明らかになり一転して「剣持警部の殺人」を彷彿とさせる胸糞事件に。加えてシリーズ中随一のしぶとい犯人が見れるらしいので次巻にも期待。
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2021年06月24日(木)
早坂吝「四元館の殺人 探偵AIのリアル・ディープラーニング」読了。犯人のAI・以相が電脳空間で開催した闇オークションに端を発する企みを阻止すべく探偵のAI・相以と助手の輔が辿り着いた先は奇怪な館、四元館だった。連鎖する不可思議な殺人事件の果てに相以が解き明かす前代未聞の犯人とは?
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posted at 00:07:33
探偵AIシリーズの三作目。前作に引き続き長編である本作の舞台は意外にもかつての新本格を彷彿とさせる奇妙な構造の館であり、しかも館を訪れて早々不可解な連続殺人の幕開けと共に外界との連絡手段を断たれるというこのシリーズらしからぬベタ展開に戸惑う読者もいるかもしれない。
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posted at 00:07:53
しかしながら物語が進むにつれてこのシリーズらしさが顔を覗かせると共に一つ一つの殺人が有機的に結び付くことによってある構図が浮かび上がる点が秀逸。だがそれ以上に本作の目玉と言えるのが、その構図から導き出されるフーダニットである。
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posted at 00:08:29
そこで明らかになる犯人の正体こそメフィスト賞作家である作者の本領発揮であり、唖然としつつもなぜ今回こういう展開にしたのか腑に落ちることだろう。本作は作者が自信作と語るだけあって、大胆な発想と全ての要素が綺麗に繋がっていく技巧が同時に堪能できる秀作である。
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posted at 00:08:49
河合莞爾「カンブリア2 傀儡の章 警視庁「背理犯罪」捜査係」読了。都知事候補が次々と大惨事に巻き込まれて死亡した。偶然か? それとも殺人か? 〈能力者〉による女性連続不審死事件を解決した尾島警部補と相棒の閑谷が、法で裁けない新たな悪を追い詰める。
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posted at 01:08:47
「理に背く力」を使う犯罪者に立ち向かう「背理犯罪」捜査係の活躍を描いた警察小説シリーズの二作目。今回は都知事候補が次々と謎の交通事故死を遂げていく事件を扱っており、設定の端々に窺える昨今の時事ネタはやや賛否が分かれるかもしれない。
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posted at 01:09:32
事件の真相自体は途中であっさり判明するものの、本作の見所はむしろその後――特殊能力を使った犯罪を現在の法律でどう裁くかにある。とはいえ前作にあったような作者らしい奇想はなく、どちらかと言えば前作に登場した特別な力を持つ青年・高山宙の生い立ちや次回作への布石に比重が置かれている。
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エラリー・クイーン「消える魔術師の冒険」読了。足跡のない殺人、度重なる事故で大金を得る男の謎、魔術師の消失トリック、タクシーの中で殺されていた名士、四人の殺人者を巡る犯人探し、色盲として集められた容疑者たち、不可解な盗難と毒蛇を使った殺人……“聴取者への挑戦状”つきの七編を収録。
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posted at 18:14:13
クイーンのラジオドラマシナリオ集第四弾。訳者解説によると今回収録された七編は全て脚本そのものから直接訳したのだそうで全体的に前作「犯罪コーポレーションの冒険」よりもクオリティーが高くしかもオーソドックスな物からプロットに捻りがある変則的な物まで実にバリエーション豊かなのも嬉しい。
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posted at 18:14:53
その中からベストを選ぶなら「タクシーの男の冒険」で交差点で突如動かなくなったタクシーの中からニューヨークの名士が他殺体で発見される導入部も魅力的ながら、それ以上にオーソドックスな犯人当てと思わせて、そこから更に捻った構図を浮かび上がらせる点が素晴らしい。
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posted at 18:15:23
次点は「十三番目の手がかりの冒険」で収録作唯一の一時間枠として書かれただけあって実に読み応えのある内容に仕上がっており、奇妙な盗難に密室殺人、更にエラリーの推理も二転三転し読者を翻弄、そしてトドメとばかりにあるミスディレクションを利かせた真相であっと驚かせてくれる。
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posted at 18:15:45
その他、変則的な犯人当てとして「不運な男の冒険」「四人の殺人者の冒険」も面白かった。なお解説によるとあと一冊分訳す価値のあるラジオドラマの脚本が存在するとのことなので、第五弾にも大いに期待したい。
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posted at 18:16:04
2021年06月25日(金)
「サスペリア・ナイトメア」観了。孤島の修道院を舞台にしたゴシック・ホラー。タイトルは日本で勝手に付けられたものでサスペリアとは全く関係ない内容ながら実際観てみると美しくも恐ろしい映像と音楽で構築された世界観はアルジェント作品にも通じるものがある。雰囲気で魅せるホラーの隠れた傑作。
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posted at 00:05:54
「恐怖のいけにえ」観了。森の中に佇む屋敷で美女たちに襲いかかる謎の怪物の恐怖。うん、これは色々な意味でヤバい(確信)。前半の得体の知れない怪物による殺害シーンも見応えがあるが、それ以上に怪物の正体が判明してからの怒涛の展開が圧巻で今では到底実現不可能なホラーを堪能させてもらった。
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posted at 02:21:53
久住四季「異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 剥皮の獣」読了。奥多摩署勤務となった莉花が地域課から刑事課へ復帰を果たした直後、潜伏中の強盗犯が廃屋で殺される事件が発生。しかもなぜか被害者の首から上の皮膚は剥がされ持ち去られていた。果たして首から上の皮を持ち去る殺人鬼の正体とその動機は?
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posted at 17:25:52
女性刑事・氷膳莉花が未決死刑囚で天才的な犯罪心理学者・阿良谷静の協力のもと連続猟奇殺人犯を追うシリーズの二作目。前作はベタな猟奇サスペンスといった印象だったが本作では一転現場の状況から浮かび上がる幾つかの魅力的なホワイダニットで物語を引っ張るミステリらしい構成になっているのは○。
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posted at 17:26:29
尤も登場人物が少ないせいでイマイチ犯人の正体に意外性がないのは前作と同様ながら今回は犯人の異常な手口と舞台設定を巧く結び付けた異形のロジックを前述したホワイダニットを突破口にして解き明かしてみせる点が秀逸。ある意味特殊設定ミステリを得意としていた作者らしさが感じられる快作である。
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posted at 17:26:56