麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2017年04月11日(火)
とはいえ中には小粒ながらも巧く盲点をついているものもあり、その最たる例が二話目における本読みなら頷くであろう、ある小道具の使い方だろう。またミステリ部分以外でもシリーズの分岐点とも言える展開が用意されている、シリーズ読者には見逃せない作品である。
タグ:
posted at 23:57:42
魔法使いマリィと変態刑事・小山田のコンビが活躍するシリーズの三作目。今回の収録作は日常で目にする何気ないネタや些細なトリビアから話を膨らませたものが多く、その方向性は良くも悪くも有栖川有栖の火村短編に近い印象を受ける。
タグ:
posted at 23:57:11
東川篤哉「さらば愛しき魔法使い」読了。替え玉でアリバイ工作する弁護士、ストーカーに罪を擦り付ける映画評論家、ダイイング・メッセージを捏造するバー経営者、他人の吸殻を残し捜査の撹乱を図る喫茶店オーナー……四人の殺人者の犯罪を家政婦魔法使いと変態刑事のコンビが暴く連作倒叙ミステリ。
タグ:
posted at 23:56:29
2017年04月08日(土)
それでいて、この設定ならではの挫折を経た後、今度は逆に現実が虚構の物語へと収束していく構成が実に巧く決まっている。「――だから、わたしの初恋はエピローグのあとにはじまるのです」という帯の謎めいた台詞が読了後に胸に沁みてくる、メタ要素を取り込んだ恋愛小説の秀作である。
タグ:
posted at 19:18:58
愛読する小説の中のヒロインが目の前に現れたことから始まる恋愛物語。ヒロイン・トキコこと柊時子の童貞キラーな魅力(?)もさることながら(一番好きな小説は尾崎翠『第七官界彷徨』という不器用な文学少女)虚構の物語によって灰色の毎日だった主人公の現実が徐々に変化していく過程が素晴らしい。
タグ:
posted at 19:18:13
岬鷺宮「読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから」読了。灰色の毎日になるはずだった。新学年のホームルーム。黒板の前に立った彼女こそは俺が偏愛する小説『十四歳』の主人公「トキコ」だった。出会うはずがなかった読者(ぼく)と主人公(かのじょ)の物語。その結末にあるものは――。
タグ:
posted at 19:17:40
密室状況下のダンジョンで起きた魔法使い殺しというシチェーションもさることながら人間が絶対に使うことができない魔法の十戒が事件の不可能興味を掻き立ててくれるが生憎本作の眼目はそこではない。全ては物語のテーマと密接に関わる構図を際立たせるために用意されているのがなかなか興味深かった。
タグ:
posted at 17:11:37
ファンタジー世界を舞台にした裁判物。といっても基本的にはなんちゃってファンタジーであり所々に見られるあからさまなパロディーは人によって好みが分かれるかもしれない。主人公が悪徳弁護士ということでいかに真相をでっち上げるかが本作の見所になるが一番の見所はやはり第三章の殺人事件だろう。
タグ:
posted at 17:10:55
蘇之一行「剣と魔法と裁判所」読了。満員ダンジョン内での痴漢、武器をSM道具と偽った脱税疑惑、腕利き冒険者によるパワハラ……そんな事件の数々を弁護士のキールは捏造や詭弁を駆使して勝訴に導いてきた。ある日、彼の許に密室殺人の容疑者になった恩師を救いたいという少女アイリが現れて……。
タグ:
posted at 17:10:25
「ゴースト・イン・ザ・シェル」観了。そこまで悪い出来ではないし所々に押井攻殻や神山攻殻へのリスペクトが感じられるものの何故かロボ・コップやアウトレイジ、君の名は。等の成分が盛り込まれたせいで自分の知る攻殻とは別物の作品になっている。唯一攻殻らしさを感じたのはエンドロールくらいか。
タグ:
posted at 16:46:41
2017年04月05日(水)
そして何より凄いのは全ての設定がその真相を成立させるために用意されていることであり一見ギャグのように思われる気付きの部分でさえも完全に計算されたものだったのには思わず脱帽。正直この真相には怒る人もいるかもしれないが個人的には駕籠真太郎系(?)バカミスの傑作として大いに評価したい。
タグ:
posted at 22:02:08
尤も最初に語られる真相の方はトリビア的側面が強いため肩透かし感を覚える人もいるかもしれない。しかしながら本作の一番の見所はそれがある一つの矛盾(この矛盾の仕込み方も何気に巧い)によってひっくり返されてからであり、そこから語られる真相は早坂作品史上最も衝撃的と言っても過言ではない。
タグ:
posted at 22:02:01
援交探偵・上木らいちシリーズの四作目。前作「誰も僕を裁けない」はエロミスと社会派を融合させた画期的な作品だったが、本作では初心に戻ったというべきか再びデビュー作「○○○○○○○○殺人事件」のような凄まじいバカミス的真相で読者を唖然とさせてみせる。
タグ:
posted at 22:01:37
早坂吝「双蛇密室」読了。援交探偵・上木らいちの常連客である藍川刑事は二匹の蛇の夢を見続けていた。藍川自身は一歳の頃に自宅で二匹の蛇に襲われたのが由来だと信じていたが、らいちに矛盾点を指摘され両親に尋ねてみることに。だがそこで語られたのは過去に起きた蛇に纏わる二つの密室事件だった。
タグ:
posted at 22:01:16
2017年04月02日(日)
次点は移動した首吊り死体と消えたすき焼きの材料という不可解な組み合わせが目を惹く「スーパーは嫌い」で、謎を錯綜させ過ぎたせいか一部苦しいところも見受けられるものの、短編でこれだけやってくれれば申し分ない。その他の短編も奇妙な謎で魅せてくれる作品集である。
タグ:
posted at 22:02:01
三人の名探偵が登場する五編を収録した本格ミステリ短編集。ベストは呪師霊太郎物の表題作で、フェアであることが前提の本格ミステリで「まちがった事実から正しい推理が導かれる」逆説的な事件を扱っているのが面白い。
タグ:
posted at 22:01:36
山田正紀「見えない風景」読了。新築であるにも拘わらず一年で三回も改築する家、ゴミ箱に捨てられた大量のケーキ、移動した首吊り死体と消えたすき焼きの材料の謎……神出鬼没の路上探偵が活躍する三編の他、映画探偵・根司卓間、放浪探偵・呪師霊太郎がそれぞれ探偵役を務める二編収録。
タグ:
posted at 22:01:10
そして何より秀逸なのは前作同様第三話で、タイトルにもなっている不可解な質問を機に明らかになるシビアな現実もさることながら、予想外のところからくる前作を踏まえたある事実が実に衝撃的。それでいてきっちり救いも用意している計算された構成に唸らされる連作ミステリの秀作である。
タグ:
posted at 22:00:55
日常の謎に対し、こねくりまわされるロジックを楽しむシリーズの二作目。ロジックの切れ味は前作よりも増しており、第一話は状況が示す意外な犯人の正体が、第二話は落ちていたリボンのロジックから導き出される心の機微がそれぞれ秀逸。
タグ:
posted at 22:00:25
十階堂一系「赤村崎葵子の分析はデタラメ 続」読了。メイド服とすり替えられたユニフォーム、消えた迷子の少女、見舞いで立ち寄った病院で持ちかけられる奇妙な勝負……日常の中で起きたあらゆる事象を分析部部長・赤村崎葵子が勝手に分析し、驚愕と脱力の結論を導き出す、全四話構成の連作短編集。
タグ:
posted at 21:59:34
2017年04月01日(土)
「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」観了。これまでの神山リアルSFとジブリ的冒険ファンタジーの幸せな融合によって紡がれる家族の絆がとにかく素晴らしい。夢を見る必然性が弱いなど気になる点もあるが、個人的には夢と現実が交錯する構成が面白かったので良しとしたい。
タグ:
posted at 23:21:31
「キングコング: 髑髏島の巨神」観了。リアリティーなんか糞食らえと言わんばかりの設定と登場人物たちの様々な思惑を交えて展開する劇画的冒険ロマン、そして血湧き肉躍るツボを心得た怪獣バトルが実に熱い。何気に序盤の決闘から始まる構成も巧いし、何よりエンドロール後の大風呂敷に痺れた。
タグ:
posted at 23:20:54
2017年03月31日(金)
またミステリ部分以外では捜査行を通じて徐々に変化していく探偵役である麻衣子の弟・孝夫と百合子の関係も読みどころの一つで、そういった点ではシリーズ読者にとって見逃せない作品と言っていいだろう。
タグ:
posted at 20:54:33
幽霊事件シリーズの一作。空中密室に探偵役による密室講義とミステリ読みのツボを押さえたシチュエーションが盛り込まれている点は○だが、トリック自体の目新しさは残念ながらあまりない。むしろトリックよりもそのトリックの背景にある人間関係にこそ見るべきところがあるように思う。
タグ:
posted at 20:53:53
風見潤「九州一周幽霊事件」読了。友人の結婚式に出席するため長崎にやって来た百合子はたまたま乗った稲佐山のゴンドラで殺人事件に巻き込まれてしまう。百合子が眠っている間に同乗したカップルが血まみれになっていたのだ。途中で誰も乗り込むことができない六分間の空中密室で一体何が起きたのか?
タグ:
posted at 20:52:08
2017年03月30日(木)
中でも完成度が高いのはやはりタイトルにもなっている「痛み」「かたみ」「妬み」の三編で、「痛み」はそれしかない残酷な結末に辿り着くまでの過程が、「かたみ」はこの時代背景ならではの符合が、「妬み」は演目の盲点をついたオチがそれぞれ秀逸。全体的に作者らしい洒落た作品集である。
タグ:
posted at 22:38:54
作者の作品で最も入手困難な短編集「痛みかたみ妬み」に「またたかない星(スター)」収録の二編と未収録短編二編を加えた増補再編集版。収録作の殆んどはサスペンス物で、その大半が途中でオチが読めてしまうものの、基本的にどれも語りが巧いのでオチに意外性がなくても差ほど気にならない。
タグ:
posted at 22:38:38
小泉喜美子「痛みかたみ妬み 小泉喜美子傑作短篇集」読了。病院に担ぎ込まれた痛みと後悔に苦しむ少女が知らぬ真実(「痛み」)、突然ホテルで命を絶った裕福な人妻の謎(「かたみ」)、天才舞踏家をずっと見てきた女の心裏(「妬み」)……人生の裏も表も知る大人のためのミステリ十編収録。
タグ:
posted at 22:38:15
2017年03月29日(水)
また犯人側の人間関係が明らかになるにつれ、メインヒロイン二人との対比が浮き彫りになってくる構成は○。ミステリとしてみると正直物足りなさが否めないが、警察小説という枠組みの中でも作者らしさがきちんと感じられる作品である。
タグ:
posted at 23:34:36
作者初の警察小説。にも拘わらずメインヒロイン二人のキャラ造形は相変わらず作者の趣味丸出しというか、全くぶれないのが凄い。もっとも事件の構図に関しては作中でも言われている通りミステリではお馴染み過ぎて特に驚きがないものの何故そこまでする必要があったのかという点はよく考えられている。
タグ:
posted at 23:33:01
長沢樹「ダークナンバー」読了。東京西部で発生した連続放火事件と埼玉県の連続路上強盗致死事件。監視カメラの包囲網を潜り抜けて凶行を重ねる犯人。警視庁分析捜査三係の渡瀬敦子と東都放送の土方玲衣は業界と管轄を越えて必死の捜査を続ける。“この世に存在しない犯人”の目的とは……?
タグ:
posted at 23:32:21