麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2023年01月26日(木)
細音啓「神は遊戯に飢えている。6」読了。いまだ謎に包まれた世界最強チームのヘレネイアの真意を確かめるべく神秘法院本部へとやって来たフェイたち。そんな彼らの前に現れたのはフェイの旧チームのリーダー・ケイオスだった。彼の口から語られる世界最強チームの正体とヘレネイアの真意とは?
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posted at 19:18:05
神々が考案した様々なゲームに挑むファンタジー頭脳戦シリーズの六作目。前巻の感想でいよいよ核心に迫りつつあると書いたが今回はその核心に入る前の説明回といった印象が強く、一応後半に人対人のカードバトルが盛り込まれているものの前巻の神々のゲーム二連戦と比べると些か物足りなさは否めない。
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posted at 19:18:35
とはいえ、その説明回というワンクッションがあるからこそ次のゲームがより一層盛り上がるわけで、次巻から満を持して始まるマーダーミステリ『すべてが赤になる』(「すべてがFになる」っぽい名前だ)に大いに期待したいと思う。
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posted at 19:19:03
2023年01月29日(日)
紺野天龍「幽世の薬剤師3」読了。漢方診療科の薬剤師・空洞淵霧瑚が迷い込んだ異界「幽世」には現実世界では存在しえない者たちがいる。取り憑いた悪魔を祓う「エクソシスト」。神秘を探究する「錬金術師」。果たしてその奇跡は本物なのか。空洞淵は事件の背後にある《病》の解明を試みるが……。
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posted at 16:27:23
現役薬剤師でもある作者による異世界召還×医療ミステリシリーズの三作目は初の中編集で粗筋にある通り「エクソシスト」と「錬金術師」に纏わる二つの事件が収録されている。「エクソシスト」の事件はネタの見せ方こそ悪くない反面、ある重要な描写が省かれているせいで釈然としないものがあるのが難。
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posted at 16:27:45
また病気の正体も分かりやすいが一作目も二作目もそこは分かりやすかったので、もうそういうものなのだと割り切った方がいいのかもしれない。一方「錬金術師」の事件は認知の変化を巡るロジックにピンとこない部分があるものの物語自体はどちらの事件も面白いので細かいことは気にしないのが吉である。
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posted at 16:28:04
萩原麻里「人形島の殺人 呪殺島秘録」読了。幼馴染みの古陶里が僕に黙って彼女の実家がある壱六八島――かつて人形を介した呪術を使っていた一族の住む島へと一人で向かった。古陶里を追いかけて島を訪れた僕を迎えたのは崖に吊された死体。姿を消した古陶里が殺人の容疑者とされる中、更に殺人が……。
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posted at 16:29:08
呪殺島秘録シリーズの三作目。前作「巫女島の殺人」がネタの分かりやすさに目を瞑りさえすれば、伝奇とミステリの程よい配分と約束された大破局に向かって疾走感を増していく纏まりのあるプロットが好感触だったのに対し、本作はというと全体的に悪い意味で行き当たりばったりの印象が否めない。
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posted at 16:29:08
ネタに関しては前作同様分かりやすいのに加え今回は起こる事件に必然性というものが殆どなく事件の構造はかなり雑なのに都合良くバレない場面が多すぎて展開に無理がある。一応あとでフォローを入れてはいるもののそれでも穴を埋めたとは到底言い難くミステリ的にも伝奇的にも中途半端な作品である。
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posted at 16:29:09
2023年01月31日(火)
岩田洋季「ゲーム・オブ・ヴァンパイア」読了。吸血鬼が人を襲う災害が起こる現代。吸血鬼による殺人事件をきっかけに天霧学園の高等部へ潜入し学園に潜む吸血鬼を捜し出すことになった公安吸血鬼災害課の汐瀬命。やがて命たちの捜査により四人の生徒が候補として絞り込まれる。この中に吸血鬼がいる。
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posted at 13:39:38
吸血鬼が脅威として存在する現代日本を舞台に、吸血鬼捜しというフーダニットを趣向にした長編ファンタジーミステリ。本作を読んでまず目を惹くのは吸血鬼という定番の題材を使いつつも設定がよく考えられている点であり、それがメインのフーダニットにもきちんと反映されているのは好印象。
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posted at 13:39:38
加えてそのフーダニットは吸血鬼に纏わるある要素が活かされた一筋縄ではいかないものに仕上がっており厳密なロジックによる絞り込みではないものの前述した要素を踏まえたユニークな伏線がいい。また吸血鬼の正体を巡って二転三転する中で候補者たちの素性が明らかになっていく展開もスリリングで○。
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posted at 13:39:39
とはいえ物語の構造的に吸血鬼の正体が分かりやすい面があるしロジックによる消去法が使われているわけでもないのでガチの犯人当てを期待すると少々物足りないかもしれないが、ライトな吸血鬼ミステリとしては申し分ない良作である。
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posted at 13:39:39
2023年02月01日(水)
水鏡月聖「僕らは『読み』を間違える2」読了。うちの高校にいるという美人現役女子高生作家の捜索を引き受けたことがきっかけで学園祭の舞台の脚本を書くことになった僕。エース不在の演劇部や瀬奈たちと共に準備は進み遂に本番を迎えるが、その裏で何者かが脚本を書き換えていたことが分かり……。
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posted at 21:06:38
すれ違い青春恋愛劇の続編。前作は学園ミステリでないにも拘わらず(正確にはミステリ要素のある青春恋愛小説)学園ミステリとして売り出されていたが、それは本作でも変わらずであり、じゃあ今回はちゃんと学園ミステリしていたのかというと正直前作以上にその看板に偽りありと言わざるを得ない。
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posted at 21:06:38
一応前半に覆面の美人現役女子高生作家捜しという趣向はあるもののアンフェアかつメインの舞台に繋げるための前座的扱いだし、前作にあったミステリ風に描いたすれ違い恋愛劇の面白さも今回は最初からネタを割っているため、どうしても物足りなさは否めない。
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posted at 21:06:39
あくまで前作の恋愛劇の延長であり正直なぜまたミステリを謳ったのか理解に苦しむ(もしかしたら編集部的にはかつての富士見ミステリー文庫のようにラブ=ミステリという解釈なのかもしれないが)ものの読み所がないわけでもないので前作の恋愛劇の行方が気になった人は読んでみてもいいかもしれない。
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posted at 21:06:39
2023年02月04日(土)
「バイオレント・ナイト」観了。聖夜にサンタが武装集団と戦う話。前半はダイ・ハードを思わせる展開で一人倒すのがやっとなのにどうなることかと思ってたらまさかの覚醒→ドント・ブリーズ的スプラッター無双が実に圧巻。加えて残虐版ホーム・アローン要素も○で総じて心温まるクリスマス映画だった。 pic.twitter.com/pMjH1ElkaZ
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posted at 15:18:06
2023年02月09日(木)
依空まつり「サイレント・ウィッチV 沈黙の魔女の隠しごと」読了。冬休み中のモニカに与えられたのは隣国との外交取引で第二王子を護衛する公式任務。沈黙の魔女としての任務ゆえ、その隠れファンである殿下の熱視線が痛い。そんな中、外交の場に突如竜が襲来!しかも竜の暴れ方は尋常ではなく……?
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posted at 21:17:05
最強の引きこもり天才魔女が正体を隠し王子に迫る悪を密かに裁く学園ファンタジーシリーズの五作目。今回は冬休み編だけあって学園物らしさは弱めだがその代わりいつも以上に殿下に正体がバレそうなハラハラ感と、その殿下との熱い共闘という一見相反した要素を絶妙に両立させている点が素晴らしい。
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posted at 21:17:43
一応誰が竜を暴走させたのかというフーダニット趣向もあるものの、どちらかというとそれを機に明らかになるモニカの父の死に纏わる陰謀や、殿下に隠された秘密など今後の展開に関わってきそうな要素がいっぱい出てきたことの方が興味深い。学園物らしさは弱めでも個人的には読み所が多い巻だった。
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posted at 21:17:44
2023年02月12日(日)
「野獣死すべし」観了。松田優作の出ている方ではないルチオ・フルチ版「仁義なき戦い」というべき映画。一応兄を殺された弟の復讐劇がベースにあるものの次第に弟そっちのけで話が進んでしまい、最終的に復讐劇感が薄れてしまうのが残念。とはいえ無駄に残虐シーンが多いのが何ともフルチらしくて○。
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posted at 23:45:51
「魔鬼雨」観了。ある一家が一冊の本のせいで悪魔崇拝のカルト教団に狙われる話。何といっても圧巻なのはCGが一切ない時代に作られた雨で人間達が溶けるシーンでそれと異様な邪教の雰囲気だけで押しきった感があるが個人的にはその二つの見所だけで充分元は取れる。あとオチは定番だがインパクト強し。
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posted at 23:58:51
2023年02月14日(火)
門前典之「友が消えた夏 終わらない探偵物語」読了。一級建築士で探偵の蜘蛛手啓司が相棒の宮村達也から渡されたのは連続窃盗犯が所持していたある事件の記録。名門大学演劇部の劇団員たちが密室殺人に遭遇した挙げ句一夜にして首なし白骨死体と化したというその事件は一応の決着を見ていたのだが――。
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posted at 21:44:43
名探偵・蜘蛛手シリーズの七作目にあたる長編ミステリ。本作はここ数年の門前作品ではお馴染みの手記によって事件が語られる方式に加え謎のタクシーに一人の女が拉致されるエピソードが度々挿入される構成となっているがまず結論からいうと本作は門前史上(?)最も構成に力が入った内容となっている。
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posted at 21:44:44
とはいえその構成は定番とも言えるものであり、加えていかにもな書き方と分かりやすい伏線のせいである程度ミステリを読み慣れている人であれば作者がやろうとしている仕掛けに見当がつくかもしれない。しかしながらそこは作者も想定していたのか、更にもう一捻り入れてきているのは○。
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posted at 21:44:44
ちなみに門前作品ではお馴染みのバカトリックを期待するとやや物足りないかもしれないが、最初の事件における一石二鳥の密室トリック(何が一石二鳥なのかは読めば分かる)はユニークだし邪悪な犯人の動機や偶然が過ぎるとはいえブラックなオチなど見所は多々あると言っていいだろう。
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posted at 21:44:45
ただその反面これまでの門前作品同様欠点も多く、事件が起きるまではかなり退屈だし設定に無駄が多いしオチの伏線も唐突だし……と挙げていったらキリがないが、それでも作者らしからぬ仕掛けの連打が新鮮だし何より近年の門前作品の中では最良と言える佳作である。
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2023年02月15日(水)
倉知淳「大雑把かつあやふやな怪盗の予告状」読了。ミステリ小説っぽい事件がリアルに起きた時になんとかするための部署・警察庁特殊例外事案専従捜査課に配属されることになった新人警察官の木島。彼はクセツヨ探偵たちと共に中途半端な密室、あやふやな予告状、見立てっぽい殺人事件に立ち向かう。
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posted at 22:31:51
現実に起きたミステリ小説っぽい事件に対処するべく設立された警察庁特殊例外事案専従捜査課に所属するクセの強い探偵たちの活躍を描いた連作ミステリ。本作に収録された三つの事件はそれぞれ密室、怪盗の予告状、見立てといかにもなラインナップでミステリファンなら心惹かれるものがあるだろう。
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posted at 22:31:51
しかもどの事件も様々な理由で中途半端というのが何ともユニークだが、正直最初の事件である「古典的にして中途半端な密室」に関してはヒントがあからさまなせいもあってだいたいの人が途中で真相に気付いてしまうのではないだろうか。
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posted at 22:31:52
むしろ本番は第二の事件である表題作からで、ここでようやく作者の本領である発想の転換が堪能できるのもさることながら、なぜ予告状が大雑把かつあやふやだったのかの理由が秀逸。だがそれ以上に秀逸なのはトリを飾る第三の事件「手間暇かかった判りやすい見立て殺人」だろう。
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緻密なロジックが展開された先に待つ真相は実にこの作者らしい人を食ったものであると同時に、この連作の設定を最大限に活かした意外性を演出している点が素晴らしい。ある意味本作で完結しているものの、個人的には続編も読んでみたいと思わせる佳作である。
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