麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年05月25日(火)
次点は白井流異世界転生物の「げろがげり、げりがげろ」で主人公が転生した先が口と肛門の役割が逆転した世界だったと言えばタイトルの意味にも納得がいくと思う。そしてこのトンデモ設定とミステリ的仕掛けを結び付けてしまう豪腕もさることながら涙ぐましい努力の跡に思わずほっこりする作品である。
タグ:
posted at 19:51:07
中でも特に際立っているのが「ディティクティブ・オーバードーズ」で「そして誰もいなくなった」的展開を経てタイトル通りオーバードーズした探偵たちの妄想推理から犯人を突き止める趣向が非常に面白い。加えて収録作中唯一グロがないのでそれ系が苦手な人にも安心して勧められる一作と言えるだろう。
タグ:
posted at 19:50:52
表紙や収録作の内容から「少女を殺す100の方法」を彷彿とさせるミステリ短編集。収録された五編はいずれも本格ミステリながらウップオエップなグロ満載で間違いなく人を選ぶものの、だからといって手に取らないのは勿体ないと思うくらい斬新な仕掛けが凝らされたものも幾つか見受けられる。
タグ:
posted at 19:50:25
白井智之「ミステリー・オーバードーズ」読了。消えたグルメ探偵、AVの撮影現場で殺人事件に遭遇した直後の異世界転生、浚われた隣人の行方、フナムシ食い王決定戦の最中に起きた毒殺事件、麻薬を盛られた探偵たちの妄想としか思えない推理を手がかりにした犯人探し……奇想天外な設定の五編収録。
タグ:
posted at 19:50:07
2021年05月24日(月)
しかしながら犯人探し以外の謎を次々と出して読者の興味を惹き付ける物語の展開自体は悪くはないし何よりヒロインのゾンビ設定をきちんと回収しつつ少女小説らしいキュートなシチュエーションへと繋げた点は○。あくまで少し変わったミステリ風恋愛ファンタジーとして読んだ方が楽しめる作品である。
タグ:
posted at 21:35:03
何者かに殺された令嬢がゾンビとなって蘇り自身を殺害した犯人探しに乗り出すミステリアスファンタジー。ちなみに本作の帯には「英国風ロマンティック・ミステリー」とあるけれど正直犯人探しという趣向には全く意味はなく、それどころかミステリとして本作を読むと間違いなく肩透かしを覚えるだろう。
タグ:
posted at 21:34:45
渡海奈穂「伯爵令嬢ですがゾンビになったので婚約破棄されました」読了。令嬢エディスは何者かに殺されたはずだった。だがなぜか生ける屍として蘇った彼女は自身を殺害した犯人を探し出そうと決意する。そんな時、エディスを見た元婚約者のウィルフレッドが「なぜお前が生きている」と告げてきて――。
タグ:
posted at 21:34:21
2021年05月21日(金)
特に驚いたのはあるミステリ的仕掛けを凝らした世界観に関わる秘密であり今後のシリーズ化を想定した壮大な前振りとしては申し分ない。とはいえ細かく見れば描写や伏線に物足りなさを覚える部分もなくはないが良い意味で可能性を感じさせてくれる作品であり個人的には是非ともシリーズ化を期待したい。
タグ:
posted at 19:28:30
特筆すべきは闇堕ちイベントを回避しようとする主人公の前にフーダニットやハウダニット、ホワイダニットなどの様々な謎が立ち塞がり、その都度主人公が推理して突破口を見付けるというのが基本的な流れとなっており、些か粗削りなところはあるが時に大胆な伏線を盛り込んであっと驚かせてくれる。
タグ:
posted at 19:28:06
未来を予言する魔本を手に入れた主人公が将来人類を滅ぼすことになるヒロインの契機となった闇堕ちイベントを回避しようとするファンタジーミステリ。なお人類を滅ぼす可能性のある人物は百人近く存在し、その中から本作では二人のヒロインを取り上げているため二編の中編集のような構成となっている。
タグ:
posted at 19:27:34
上川景「闇堕ちヒロインを幸せにする計画~魔本使いの少年と予言《首切り姫の絶望》否定~」読了。少年リオが手にしたのは未来を告げる魔本。そこに記されていたのは皇女シャルナにこれから降りかかる悲劇と悪しき《首切り姫》への変貌という絶望の未来で――予言の力を以て少女の悲劇を打破せよ!
タグ:
posted at 19:27:18
2021年05月20日(木)
だが本作最大のサプライズは本編よりもむしろ次回予告を兼ねたNEXT MISSIONの方で、まさかあの物語の後にこうくるとは思わなかった。面白い展開のためならどんな手も辞さないという作者のスタンスをありありと見せつけられると共にフーダニット興味を煽る次の趣向にはミステリ的にも大いに期待したい。
タグ:
posted at 14:45:22
一応今回もミステリ要素はあるものの、これまでのように策謀に直接関わってくるものではないので人によってはやや物足りなさを覚えるかもしれない。しかしながらチーム『灯』の結束力を高めるという意味では効果的であると同時に、エルナというキャラの特異性を充分際立たせている。
タグ:
posted at 14:44:41
少女たちのスパイチーム『灯』の活躍を描く長編シリーズの五作目。これまでは数々の不可能ミッションにチーム『灯』が挑むというのが主な内容だったが、本作では一転『灯』のボス・クラウスを巡り養成学校の落ちこぼれチーム『灯』と優等生チーム『鳳』が対決するという割りとベタな内容となっている。
タグ:
posted at 14:44:04
竹町「スパイ教室05 《愚人》のエルナ」読了。全スパイ養成学校のトップ6で編成された機関『鳳』はボス不在という問題を抱えていた。そこで目をつけたのは凄腕のスパイでチーム『灯』のボス・クラウスだった。チーム『灯』に崩壊の危機が訪れる……!
タグ:
posted at 14:43:47
次点は倒叙ミステリの表題作で、恐ろしい運命の悪戯を描きつつもそれに抗おうとしてしまう人間の業が実に強烈。その他、避難所での将棋大会で目にした不可解な手の意味に迫る「弱い者」も将棋の対局というシチュエーションが絶妙な盲点となって、ある社会的問題を際立たせるようになっている点が○。
タグ:
posted at 00:31:55
収録作はどれもクオリティーが高いがベストを挙げるなら詰将棋の不完全作に隠されたある法則性を探る「ミイラ」で、異形の論理で読み解く暗号物としても秀逸ながら、謎が解けることにより浮き彫りになる悲痛な思いをどう受け止めるかが小説としての一番の読みどころとなっている。
タグ:
posted at 00:31:28
全五編の将棋ミステリ短編集。収録作はいずれも将棋を題材にしつつも将棋の対局から駒師の話までシチュエーションは様々であり、更にミステリとしてみてもホワイダニットや倒叙ミステリ、暗号物に日常の謎などバリエーションに富んだ趣向でじっくりと読ませてくれる。
タグ:
posted at 00:30:55
芦沢央「神の悪手」読了。避難所での将棋大会で目にした不可解な手、追い詰められた男の将棋人生を賭けたアリバイ作り、謎めいた詰将棋の不完全作、認識障害を負った棋士が見る世界、一度は選ばれた駒が否定された理由……将棋に魅了された者たちの苛烈な運命を描いた五編を収録。
タグ:
posted at 00:30:12
2021年05月19日(水)
収録作四編中、良かったものを挙げるなら第二話「亀甲怪人、襲来」で、トリックよりもむしろ冒険活劇部分におけるさりげない描写が後々犯行手段や犯人を示唆する伏線として活きてくる点が○。あと作者の作品にしては珍しいベタなツンデレキャラが出てくるのも興味深い。
タグ:
posted at 16:28:30
それはさておきミステリとしては作者らしい派手な不可能犯罪が目を惹く反面、冒険活劇や伝奇ネタ、史実の有名人を数多く登場させるなど作者がやりたいことを盛り込みすぎた結果、全体的に駆け足気味でせっかくの見せたいものが淡白に感じてしまうのが難(あと見取り図がなくて分かりづらいのも✕)。
タグ:
posted at 16:26:27
豊臣秀吉の弟である大和大納言の養子として十三歳で当主となった豊臣秀保が探偵役を務める連作ミステリ。まず本作はハヤカワ文庫JAから刊行されているがなぜコテコテの時代ミステリであるにも拘わらずハヤカワ時代ミステリ文庫から出さなかったのかがやや疑問(帯裏の宣伝は時代ミステリ文庫なのに)。
タグ:
posted at 16:26:12
獅子宮敏彦「豊臣探偵奇譚」読了。夜空に出現する巨大な手、異形の亀甲怪人の襲来、密室で切り裂かれた死骸……少し気弱だが頭脳明晰な少年・豊臣秀保は強く美しい散楽芸の娘・日魅火らの力を借りながら魔性や災厄など超常的に見える事象を解明していく。
タグ:
posted at 16:25:56
2021年05月17日(月)
加えて登場人物の一人一人が生き生きと描かれているのも好印象で、台湾の今を活写しつつも時おり宮崎駿や横溝正史といった日本人に馴染みのあるものが出てくるのも面白い。ミステリを読み慣れていると犯人の正体に気付きやすいかもしれないがウイットに富んだ主人公の語りで読ませてくれる秀作である。
タグ:
posted at 16:27:57
そして、それは事件に関わる主人公の内面を掘り下げると同時に犯人の異常性を際立たせるのにも一役買っており、導入部がやや長いことに不満を持ったとしても最後まで読めば、なぜこういう構成なのか納得がいくことだろう。
タグ:
posted at 16:27:38
台北を舞台に変わった経歴の素人探偵と世間を騒がせる殺人鬼が対決するハードボイルド作品。作者の経歴と被るところがある元劇作家で大学教授という設定に関して一見すると奇を衒っただけのように思えるかもしれないが、物語が進むにつれてその設定でなければ描けない事件が展開される点がまず秀逸。
タグ:
posted at 16:27:18
紀蔚然「台北プライベートアイ」読了。劇作家で大学教授でもある呉誠は一念発起して私立探偵の看板を掲げることになる。やがて彼は台北中を震撼させる六張犂連続殺人事件に巻き込まれ警察から犯人と疑われる羽目に――。監視カメラの網の目をかいくぐり、殺人を続ける〈六張犂の殺人鬼〉の正体は?
タグ:
posted at 16:26:51
2021年05月14日(金)
言うなればクイーンの某中編と某長編を合体させたような話で謎が謎を呼ぶ展開もさることながら死体が裸にされていた謎がある仕組まれていた奸計を暴く絶妙な気付きになっている点、そして金田一が犯人に対して仕掛けた常識外れな罠がいい。ベストは「霧の山荘」だが他の二編も味わい深い作品集である。
タグ:
posted at 23:48:43
続く「女怪」は殺害方法に関してはそれほど驚きはないかもしれないが、むしろ見所は最後に明かされるある意外な事実であり、それに対する犯人の心情が金田一の苦悩と相俟って忘れ難い印象を残す。だが何といっても本作の一番の目玉はトリを飾る「霧の山荘」だろう。
タグ:
posted at 23:48:30
降誕祭パーティーの殺人を予告する悪魔のような犯人を描いた表題作含む三編を収録した中編集。表題作は行き当たりばったりの犯人の行動にやや疑問が残るものの、第二の殺人の不可能状況とその大胆な真相には見るべきものがある。
タグ:
posted at 23:48:08
横溝正史「悪魔の降誕祭」読了。金田一耕助の事務所で起きた殺人。しかも犯人は日めくりカレンダーを使い次の殺人の予告をしていた――。表題作の他、墓荒らしが続発する中、頭蓋骨だけ盗まれる「女怪」、奇妙な依頼に端を発した死体の消失と再び出現した死体が裸だった謎に迫る「霧の山荘」の二編収録。
タグ:
posted at 23:47:43