麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年01月31日(月)
ただこれに関しては、あとがきで作者が「ひと区切り」と語っているところから見るに、恐らく作者的にも不本意な終わり方だったと見るべきだろう。物語としてではなく、ミステリとしてであれば、本作は素直にお勧めできる良作である。
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posted at 21:06:59
言い伝えの意外な解釈もさることながら、自分としてはただのおちゃらけイベント(爆)だとばかり思っていたアレが伏線だったことにまずびっくりした。毎度のことながら伏線の張り方にはつくづく感心させられる。だが物語の終わらせ方としては正直、疑問と言わざるを得ない。
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posted at 21:05:44
シリーズ第三弾にして最終作の本作が扱う謎はズバリ、神隠しである。過去に起こった奇妙な神隠し事件。それから十年の時を経て再び繰り返される怪異。個人的にこのシリーズの醍醐味は怪異をどう現実的に説明するかだと思っているのだが、それに関しては今回も申し分ない「解決」が用意されている。
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田代裕彦「セカイのスキマ3」読了。学園の夏の行事、山林ボランティアに参加するため伊豆にある合宿所に向かった「四つ辻の会」の面々はそこで知り合った高校生、和良から「カクシガミ」なる怪異の話を聞かされる。和良は言う。自分の母親や神隠しに遭った後、死体となって発見されたのだ――と。
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posted at 21:04:12
2011年01月30日(日)
誰もが馴染みのあるものだからこそ、結末の恐怖の光景をありありと思い描くことができる。そういった意味では題材のチョイスの仕方が絶妙であり、恐怖とは常に隣り合わせだということをつくづく思い知らせてくれる作品と言えるだろう。
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posted at 02:00:56
飛鳥部勝則「シルエット・ロマンス」読了。本作は影を恐れる男を描いたホラー短編である。何故、自分が影に対し異常なまでの恐怖を覚えるのか、男自身にも分からない。そうして、あれこれ原因を探ってみたあげくに迎える結末は正に怪談そのものだ。
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2011年01月29日(土)
しかし、それが単なる作者の趣味と思ったら大間違い。全ては読者の目の前に奇想の光景を現出させるための重大な伏線なのだ。ラストに描き出されるその絵はグロテスクだが、同時に奇妙な美しさを覚えることだろう。本作は画家でもある作者らしい幻想ホラー短編の秀作である。
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posted at 23:06:34
本作は密室から消えた凶器の謎を中心に話が展開する一方で、合間合間に数点の古典絵画の紹介が挿入されるという風変わりな構成となっている。話の途中に何らかの紹介が挿入されるというと「堕天使拷問刑」におけるお勧めモダンホラーを思い出すが、本作の古典絵画紹介もそれに近い脈絡のなさだ。
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飛鳥部勝則「デッサンが狂っている」読了。窓ガラスをぶち破って、血みどろの頭が飛び出した。ガラスの破片がアスファルトに飛び散る。思考が停止し、身動きすることすらできなかった。目の前に、血塗られた顔がある。五十歳前後の男の顔が、窓から突き出している。いったい何だ?どういうことなのだ?
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2011年01月28日(金)
一見無関係と思われた二つのエピソードが一つに繋がった瞬間、読者はあっと驚くに違いない。道具立てこそホラーだが、作者が弄した仕掛けや見せ方は正に本格ミステリのそれだ。自分が思うに、この仕掛けは飴村初心者よりも飴村ファンの方が引っ掛かるのではないだろうか。
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posted at 21:41:21
本作の見所は何と言っても、平行して語られる二つのエピソードの関係性だろう。かたや独房に監禁され、夜な夜な憲兵から凄惨な拷問を受ける記憶喪失の男。こなた突然母親が学校の不良と付き合い出すという笑えない状況に陥った男子高校生。
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posted at 21:39:43
飴村行「爛れた闇の帝国」読了。初めて「粘膜蜥蜴」を読んだ時、自分はこの作者にそこはかとないミステリセンスを感じたものだが、その判断は間違っていなかった。本作は「粘膜蜥蜴」を遥かに凌ぐ傑作であると同時に、飴村行が満を持して本格ミステリとホラーの融合に挑んだ記念すべき作品である。
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posted at 21:38:52
一見意味不明なタイトルも読んでみると至極納得……というか、あまりにも人を食ったそのタイトルに苦笑すること必至。「こんなバカな話があるんだよ」と思わず誰かに聞かせたくなるバカミスの傑作である。
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posted at 00:56:48
冒頭からぶっとんでいる本作は掌編というべき長さであるにも関わらず、サプライズが複数仕掛けられているという驚異の作品である。実際事件としては極めて単純なのだが、ある要素のおかげでややこしい、もとい秀逸なミステリとして昇華されるにまで至っている。
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posted at 00:55:20
斎藤肇「足し算できない殺人事件」読了。それは極めて単純な事件であった。だが少しだけ複雑でもあった。事件の現場である山荘で名探偵の山上を迎えたのはたった一人だった。山上がその人物に名刺を差し出しながら聞く。「で、あなたが犯人さんで?」「そうです。私がご連絡いたしました以上犯人です」
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posted at 00:53:06
そして、その疑いは恐らく正しい。だが、作者はそこにホラーならではのオチを用意して、まんまと見抜いたつもりの読者を唖然とさせてみせる。ちなみに本作を読んで個人的には「黒と愛」に出てくるあるキャラを思い出したのだが、もしかしたら発想のヒントにはなっているのかもしれない。
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posted at 00:15:28
飛鳥部勝則の書くホラーにはいつも本格ミステリ的センスが感じられるが、それは本作も例外ではない。本作は叔父の遺した日記を主人公である僕が読者に紹介するという構成をとっているが、ミステリ読みであればそこにある疑いを持つことだろう。
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posted at 00:13:55
飛鳥部勝則「洞窟」読了。肺病で亡くなった叔父の遺品整理をした際に出てきた一冊の日記帳。そこには村人たちが忌み嫌う「禁断の林」の奥の洞窟で出会った女を巡る、ある異常な体験が記されていた。
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posted at 00:12:39
2011年01月24日(月)
ミステリ的には犯人の絞り込みに若干不満があるものの、何故犯人がバラバラ死体を壁に埋め込んだのかという理由に関してはよく考えられていると思う。竹本健治ミーツ横溝正史という内容に惹かれる人は勿論のこと、横溝風のミステリが好きな人であれば本作を読んでみてもいいかもしれない。
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posted at 21:54:50
あとがきによると本作の横溝的な内容は編集部からの要望だったらしい。成る程、どおりで竹本健治っぽくないわけだ……と納得がいったが、だからと言って本作がダメというわけではない。作者が取材旅行までしたと語るだけあって、その再現ぶりはなかなかのものだ。
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posted at 21:53:20
竹本健治「凶区の爪」読了。一人の狂女にまつわる陰惨な言い伝えが残る会津地方にある名家、四条家を襲った惨劇。史上最年少で囲碁・本因坊となった牧場智久ら一行が四条家に招かれた翌朝、蔵の壁に首なしのバラバラ死体が埋め込まれていたのだ。それはあたかも言い伝えをなぞったかのように……。
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posted at 21:51:52
2011年01月21日(金)
ジュブナイル物ということで真相は他愛のないものが多いが、それでも短編の名手と言われた作者らしい伏線の妙は充分に味わうことができる。ミステリーランドみたいな作品が好きな人は読んでみてもいいかもしれない。個人的なベストは「幽霊教室の怪人事件」。
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posted at 20:12:30
北森鴻が唯一手掛けたジュブナイル物である本作は「電脳探偵」と謳ってはいるものの話自体はいたってオーソドックスなものである。ちょっと変わった美少女探偵とその美少女探偵に淡い恋心を寄せるワトソン役の主人公が巻き込まれる様々な事件はいい意味で童心に返ったようなワクワク感を与えてくれる。
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posted at 20:10:47
北森鴻「ちあき電脳探偵社」読了。桜町小学校に転校してきた鷹坂ちあきは笑窪がかわいい普通の女の子だが、不思議な事件に遭遇すると一転、バーチャルシステムを駆使した電脳探偵に大変身。ワトソン役の僕と共に日常で起こった六つの謎に挑んでいく。
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posted at 20:08:45
2011年01月20日(木)
しかも終盤、わざわざミスリードまで用意して嬉しいサプライズを演出。ノベライズ作品としてはこれ以上ない最高の出来だったと思う。もうぶっちゃけ原作の方も虚淵にシナリオをやってもらえば(以下ループ)。
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posted at 20:44:08
ぶっちゃけ原作の方も虚淵にシナリオをやってもらえばいいんじゃないかな……そう言いたくなる位今回のノベライズもよく出来ている。最初は散々待たせた割に薄くて文句を言いたくなったが読み終わってみるとこれだけ思惑が渦巻く話をよくぞここまでコンパクトに纏めあげたなと逆に感心することしきり。
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posted at 20:42:59
虚淵玄「ブラック・ラグーン(2)罪深き魔術師の哀歌」読了。ノベライズ第二弾の今回は悪徳の街、ロアナプラにやってきた米国の大富豪令嬢を巡りCIAや中国マフィア、ラグーン商会の面々などが丁々発止のやり取りを繰り広げることになる。しかもどうやら騒動の鍵を握るのはあの男らしいのだが……。
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posted at 20:41:43
2011年01月19日(水)
それは例えるならば「あの清純派アイドルが脱いだ!」的な意外性とでも言おうか(爆)。とはいえ、その悪仕掛け以外のトリックも色々と考えられており、ただの一発ネタに頼った作品でないのはさすが。残念ながら自分はこの悪仕掛けには引っ掛からなかったものの方向性としては嫌いではない作品である。
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posted at 00:03:08
正直この人がこういう作品を書くとは思わなかった。オペラと猟奇に彩られた豪華絢爛な殺人劇の裏に隠された著者畢生の悪仕掛け――個人的には鮎川哲也推薦でデビューしたこの作者は、その手のものとは縁遠い所にいると思っていただけに、なかなか感慨深いものがある。
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posted at 00:00:55