麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年03月09日(水)
収録作のうち最もミステリ度が高い「犯人のお気に入り」はアレ系の先駆けとも言うべき作品だが、その内容は今読んでも全く古さを感じさせない。また「殺人者と踊れば」も実にこの作者らしい仕掛けでアッと驚かせてくれる。多分赤川次郎の黒い作品が好きな人であれば本作も気に入るのではないだろうか。
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posted at 18:33:45
小泉喜美子「またたかない星」読了。本作のジャンル名を見ると「青春本格ミステリー」となっているが、実際は「女は帯も謎もとく」のようにミステリーあり、リドル・ストーリーあり、ホラーありといったバリエーションに富んだ短編集に仕上がっている。
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posted at 18:32:58
2011年03月08日(火)
あえて言うなら、ただのご都合主義であり、個人的にはこれをトリックと言ってしまうのはどうかとさえ思う。色々辛辣なことを言ってしまったが、デビュー作から追い掛けている作者だけに次回こそは頑張ってもらいたい。
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posted at 21:38:58
だが本作の場合その見せ方すらも手垢まみれなのがいただけない。他にも無神経とも言える文章の誤りや、あからさますぎる手掛かりの出し方にはゲンナリ。あと「白魔の囁き」のトリックについて作者は『「バカミス」と受け取られかねませんが』と語っているが、こういうのはバカミスとは言わないと思う。
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posted at 21:37:48
だが、残念ながら自分は本作を読んで、ただの「古臭い本格」としか感じなかった。例えば本作の収録作の幾つかは手垢のついたトリックを使っているが、別にそれを悪いと言うつもりは毛頭ない。何故なら手垢のついたトリックでも見せ方一つ変えただけで見違えるくらいの効果を発揮する場合があるからだ。
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posted at 21:36:28
加賀美雅之「縛り首の塔の館」読了。本作は加賀美作品ではお馴染みの「人狩り紳士」ことパリ警視庁の予審判事、シャルル・ベルトランが五つの不可能犯罪に挑むミステリ連作集である。本作について良い言い方をすれば「古きよき本格」ということになるのだろう。
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posted at 21:35:06
2011年03月07日(月)
ちなみに個人的なベストは「酒と薔薇と拳銃」。「故郷の緑の……」の意外性ある作品も捨て難いが、本作のコンセプトである「洒落た雰囲気を味わう」という意味ではこの短編がもっとも相応しいような気がする。
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posted at 22:03:09
収録作は基本的に謎解きの醍醐味よりもミステリの洒落た雰囲気を味わうことに重点が置かれているが、中には思わぬサプライズが仕掛けられたものもあるので油断ならない。「故郷の緑の……」は「弁護側の証人」を書いた作者らしい「やられる」ミステリとしてお勧めしたい一編である。
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posted at 22:02:21
小泉喜美子「暗いクラブで逢おう」読了。まず本作のあとがきで作者は次のように語っている。「ミステリとは、もっと余裕のある、しゃれた小説分野なのです。花や香水のようにして選んで、そして楽しむものなのです」――本作はそんな作者のミステリ観がよく表れたミステリ短編集である。
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posted at 22:01:25
他にも麻耶雄嵩を思わせる「妖精の学校」やラスト一行にその手のミステリ好きは狂喜する「恋煩い」など見逃せない短編が目白押しな本作は、間違いなく今年を代表する本格と言っていいだろう。
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posted at 21:52:16
書き下ろしは表題作と「終の童話」の二編だが、個人的には表題作よりも「終の童話」の方を推したいと思う。この短編は「少年検閲官」同様、トリックのために一つの世界を作り上げた「異世界本格」であり、そこでしか成立し得ない異形の論理が素晴らしい。
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posted at 21:51:19
北山猛邦「私たちが星座を盗んだ理由」読了。一見、ミステリとは思えない物語。だが、ラストでそれは見事に反転し、ミステリとしての本性が明らかになる……そんな五つの短編が収録された本作は、久々に「これぞ北山猛邦」と胸を張って言える出来に仕上がっている。
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posted at 21:50:03
2011年03月06日(日)
ミステリとしての醍醐味を求めると些か物足りないかもしれないが、物語的にはそこそこ楽しめた作品だった。ライトな恋愛ミステリが好きな人であれば、もしかしたら気に入るのかもしれない。
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posted at 11:15:46
始まりこそ作者のデビュー作である「パララバ」と似ているが、SF要素のあった「パララバ」とは異なり、こちらは完全に現実に則した物語となっている。何故、予言通りのことが起きるのか? その理由はなんてことはないものだが、落としどころとしては妥当なところだと思う。
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posted at 11:14:58
静月遠火「ボクらのキセキ」読了。女子高生の有亜の許にかかってきた未来の恋人と名乗る男からの電話。男は自分と絶対付き合ってはいけないと言いもし付き合ったら起こるであろう未来の予言をする。実はそれは隣の高校に通う久則がかけた悪戯電話だったのだが数日後予言通りの事が本当に起こり始める。
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posted at 11:13:25
2011年03月04日(金)
あえて本作を例えるならミステリ形式の人間ドラマ。ただ同じ路線の「赤い指」や「新参者」の時はまだミステリを読んだという実感があったのにどうしてこうなった……。とりあえず本作が加賀シリーズ中最もミステリ度が低い作品なのは間違いない。因みに自分の「加賀シリーズ最高傑作」は「悪意」です。
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posted at 20:41:55
帯には「加賀シリーズ最高傑作」。そして、それを保証する自信に満ちた作者の言葉……だが、残念ながら本作は自分にとっての「加賀シリーズ最高傑作」にはならなかった。別に悪い作品ではないと思うのだけど、どうにもあまりミステリを読んだ感じがしないのだ。
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posted at 20:39:17
東野圭吾「麒麟の翼」読了。ある寒い夜、日本橋の欄干に凭れかかっていた男の胸にナイフが刺さっているのを巡査が発見、直ちに病院に搬送されたものの、間もなく死亡が確認された。それから一時間後、今度は被害者の免許証と財布を所持していた男がトラックに撥ねられたという情報が入る――。
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posted at 20:37:50
2011年03月02日(水)
だが、その一方で本作は欠点も多く、例えば暗号講義から始まる蘊蓄にあそこまでページを割く必要があったのか甚だ疑問ではあるし、最後の試みもお世辞にも成功しているとは言い難い。(ちなみに最後の試みに関しては何となく大谷羊太郎の「殺意の演奏」を思い出した)
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posted at 22:16:33
「//小説の中の私『鹿野信吾』と一緒になって暗号の解読を楽しんでしまうんだ。そうすると最後の『尾崎凌駕』の遺書にハッとさせられるんだよ。//正直言って参ったよ。これが『本格推理小説』かどうかという疑問もあるが、それこそ、新しい『本格推理小説』に対する模索は感じられる//」
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posted at 22:15:42
尾崎諒馬「思案せり我が暗号」読了。一言でいえば、暗号に始まり暗号に終わる小説。ここまで暗号にこだわった作家は近年では倉阪鬼一郎くらいだろう。個人的に最も面白かったのは作中作である「ワルツ 思案せり我が暗号」で、これに関しての感想は作者自身が本文P229で的確に言い表している。
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posted at 22:14:48
このうち個人的なベストは「器憶」だが「危憶」のある矛盾点に関して推理する流れがミステリっぽいのも○。「奇憶」はとにかく「ダメだこいつ、早く何とかしないと」と思わせるキャラ描写が秀逸だった。「セピア色の凄惨」を読んだ時も思ったが小林泰三はこの手のキャラを描くのが抜群に上手いと思う。
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posted at 18:25:07
小林泰三「忌憶」読了。タイトルにある通り「記憶」をテーマにした三編が収録されたホラー連作集。何をやってもうまくいかないダメ男が幼い頃よく見たという奇妙な夢「奇憶」、腹話術の人形に自分の体を乗っ取られた男の奮闘「器憶」、記憶障害になった男がメモしているノートに隠された秘密「危憶」。
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posted at 18:24:09
この言葉からも分かる通り、本作のメインは動機にある。それさえ分かってしまえば謎のほぼ九割は解けたも同然と言っていいだろう。しかしながら作者が自信を持つだけあって、この問題を解くことはなかなか容易ではない。我こそはと思う人には是非とも挑戦して頂きたい、ホワイダニット物の秀作である。
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posted at 14:15:56
まず本作について作者はこう語っている。「推理小説では、犯行や罪の隠匿がトリックを作ることが多いが、犯行の動機がトリックを作ることもある……と、こう書いたら、中身を読む前にここを読んだ方には、ヒントの与え過ぎだろうか? それでも読者は見破れまいという自信があるのだが……(後略)」
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posted at 14:14:24
梶龍雄「蝶々、死体にとまれ」読了。大学の学園祭のさなか、女子大生の死体が昆虫同好会の展示室で発見され、密室と化した部屋からは高価な蝶の標本が消えていた。更にこの蝶を巡って次々と起こる怪事件。果たしてこの事件の真相とは。そして作者が語る「動機のトリック」とは何なのか?
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posted at 14:13:06